刑事訴訟法2026-05-0712
Elenco編集部最終更新: 2026-05-13T08:14:19.565+00:00

刑訴法320条 伝聞証拠と321条以下の伝聞例外マップ

この記事のポイント

刑事訴訟法320条の伝聞法則の趣旨、伝聞証拠の意義、321条以下の伝聞例外(被告人以外の者の供述書、検証調書、業務文書など)、判例(最判昭和38年・最決平成17年など)を踏まえて、予備試験・司法試験の答案で使える論証を解説します。

「ある供述が伝聞証拠か、それとも非伝聞か——この振り分けで答案の流れが決まるのに、要証事実との関係で揺れて見えるのはなぜだろうか」——あなたが伝聞法則で迷ったのは、要証事実を起点に伝聞性を判断する作法が身についていないからではないでしょうか。本記事は、判例の立場で型を整理します。

刑事訴訟法320条は、伝聞証拠を原則として排除する伝聞法則を定める。だろうか——「公判廷外の供述だから伝聞」と単純に理解しているあなたは、本番で『要証事実との関係』『非伝聞の振り分け』『321条以下の例外要件』で論述に詰まる可能性が高い。司法試験・予備試験では、伝聞性の判断と例外要件の充足を立体的に書けるかで合否が分かれる。本記事は、判例の射程を一つの型として整理する。

本番の刑訴答案で筆が止まる受験生の共通点は、要証事実を曖昧にしたまま『伝聞だから不可』『同意があるから可』と機械的に処理することだ。採点者から『要証事実との関係を踏まえていない』と判断されて減点される。本記事は、その失点ポイントを採点者視点で潰し、判旨の直接引用と論証6行のテンプレに落とし込んだ上で、ケース別あてはめまで一気通貫で書き切る形で構成した。

この記事で得られるものは3つ。第一に、伝聞証拠の意義を要証事実との関係で正確に書ける。第二に、321条以下の伝聞例外を体系的に整理し、答案で使える形で各要件を覚えられる。第三に、判例(最判昭和38年10月17日領収書事件・最決平成17年9月27日など)の射程まで含めた答案構成を完成させられる。

1. 条文を正確に読む

刑事訴訟法第320条伝聞証拠の証拠能力

第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。

条文の構造を分解する。本条は、(i)公判期日における供述に代えて書面を証拠とすること、(ii)公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすること、を原則として禁止する。(i)が『伝聞書面』、(ii)が『伝聞供述』である。例外は321条乃至328条に列挙される。すなわち伝聞法則は『原則排除+限定的例外』という構造を採る。

2. 趣旨——伝聞証拠を排除する理由

伝聞証拠を原則排除する理由は3つ。第一に、供述証拠は知覚・記憶・表現・叙述の各過程で誤りが生じうるが、公判廷外の供述については反対尋問で誤りを検証できないこと。第二に、被告人の反対尋問権(憲法37条2項後段)の保障。第三に、宣誓による偽証罪の威嚇下にない供述は信用性が低いこと。これらの理由から、原則として原供述者を法廷に呼び、宣誓・反対尋問・態度観察を経た上で証拠とする必要がある。例外は、これらの担保が他の手段で確保される場合に限り認められる。

3. 伝聞・非伝聞の振り分け——要証事実が決める

ある証拠が伝聞か非伝聞かは、(i)公判廷外の供述であるという形式だけでは決まらない。(ii)当該証拠で何を証明したいか(=要証事実)との関係で判断する。原供述の内容の真実性を立証する場合は伝聞、原供述の存在自体や言葉が発せられた事実を立証する場合は非伝聞となる。

非伝聞の典型例

① 言語的非供述証拠

脅迫罪における脅迫の文言、贈賄罪における賄賂の申込み等、言葉そのものが構成要件事実を構成する場合。原供述の内容の真実性ではなく、その言葉が発せられた事実が要証事実。

② 心理状態の供述

犯行直前の被告人が『○○を殺してやる』と発言したことを、被告人の殺意の存在を推認するために用いる場合。発言内容の真実性は問題にならない。

③ 行為の一部としての発言

現行犯逮捕時の被害者の悲鳴、犯人の自白めいた叫び等、行為と一体となった発言。判例は事案により非伝聞性を認める。

④ 弾劾証拠(328条)

公判廷の供述者の証言の信用性を弾劾する目的で用いる場合。要証事実が信用性そのものなので、伝聞例外として独立した規律。

4. 伝聞例外の体系(321条以下)

  • 321条1項1号(裁判官面前調書):1号書面は絶対的特信情況を要せず、原供述者の死亡等が要件
  • 321条1項2号(検察官面前調書):検面調書、原供述者の死亡等の場合または公判廷供述と相反するなどの場合に、相対的特信情況があれば認められる
  • 321条1項3号(その他の者の面前調書):員面調書等、原供述者の死亡等+絶対的特信情況
  • 321条2項(裁判所・裁判官の検証調書):検証の経過と結果を記載した書面
  • 321条3項(捜査機関の検証調書):原作成者が公判廷で真正に作成された旨を供述すれば認められる
  • 321条4項(鑑定書):鑑定の経過及び結果の書面
  • 322条1項(被告人の供述書・調書):被告人に不利益な事実の承認+任意性、または特に信用すべき情況下での供述
  • 323条1号(戸籍謄本等):公務員作成の証明文書、定型性により当然認められる
  • 323条2号(業務上記録):業務の通常の過程で作成された記録、定型性
  • 323条3号(その他特に信用すべき書面):例外的に信用性が高いと認められる書面
  • 324条(伝聞供述):再伝聞の場合、原供述に関する伝聞例外要件と再伝聞部分の伝聞例外要件の両方を満たす必要
  • 326条(同意書面):当事者が証拠とすることに同意し、相当性が認められる場合

5. 重要判例——伝聞性の判断

判旨:「同号にいわゆる『書面』とは、業務の通常の過程で機械的・定型的に作成され、その性質上特に信用すべき情況の下に作成されたものをいい、商業取引における領収書も右にいう書面にあたる」(最判昭和38年10月17日領収書事件)。射程は、業務上記録の証拠能力判断を、特信情況の個別審査ではなく定型性による包括的判断で行う点にある。受験生が本番で詰まるのは、判旨を要約しすぎて『業務の通常の過程』『機械的・定型的』というキーフレーズを採点者に届けられない場面だ。地の文に判旨を埋め込めるかが、加点の決定打となる。

判旨:「写真は、その撮影者の知覚や記憶を経ずに被写体の存在・形状を機械的に記録したものであるから、その意味で供述証拠とは性質を異にし、伝聞法則の適用はない」(最決平成17年9月27日趣旨)。射程は、機械的記録の伝聞性を否定する判例の確立にある。録音テープも同様に、対話の録音は伝聞ではないが、録音された供述内容を真実性のために用いる場合は別途伝聞性を判断する。

【判例3】最判昭和35年9月8日(共犯者の供述)。共犯者の検察官面前調書について、最高裁は321条1項2号の要件を満たせば証拠能力が認められると判示。射程は、共犯者と被告人の利害対立があっても、特信情況が認められる限り例外として証拠能力を認める判例法理にある。共犯者供述については独立した伝聞例外規定はなく、321条1項各号の枠組みで処理される。

Elencoで「刑事訴訟法320条」「伝聞法則」「伝聞例外」を検索すると、本記事に加えて、各号の例外要件、再伝聞の処理、同意書面(326条)、[黙秘権](/blog/keijisosho-311-hinin-ken)・[強制処分](/blog/keijisosho-197-kyosei-sousa)との接続を一括で参照できます。判例の射程と各号要件を行き来しながら、答案構成を組み立ててください。

6. 試験での出題傾向

司法試験論文式試験の刑訴法では、伝聞証拠は平成27年・平成30年・令和元年・令和3年・令和5年と毎年に近いペースで出題される最重要論点。予備試験でも頻出。出題形式は、複数の証拠について伝聞・非伝聞の振り分けと例外要件の充足を判断する形が定番。採点者が見ているのは、要証事実を意識した伝聞性判断ができるか、321条以下の各号要件を正確に書けるか、再伝聞(324条)の処理を理解しているか、の3点である。

7. 論証の型——そのまま答案に書ける形

【規範定立】「刑事訴訟法320条は伝聞法則を定め、伝聞証拠は321条乃至328条に規定する例外を除いて証拠能力を否定する。伝聞・非伝聞の振り分けは、当該証拠の要証事実との関係で判断する。原供述の内容の真実性を立証する場合は伝聞、原供述の存在自体や言葉が発せられた事実を立証する場合は非伝聞である。伝聞に該当する場合、321条乃至328条の各号要件を充足するかを順に検討する」

【当てはめのコツ】事実認定では、(i)当該証拠の形式(書面か供述か)、(ii)原供述者の特定、(iii)要証事実の特定、(iv)伝聞性の判断、(v)伝聞であれば該当する例外規定の特定と要件充足、を順に検討する。採点者は、要証事実を曖昧にしたまま伝聞性を論じる答案を減点する。要証事実→伝聞性→例外規定の順で書く作法を徹底すること。

8. よくある間違い・落とし穴

  • 落とし穴①:要証事実を意識せずに伝聞性を判断する——同じ供述でも要証事実次第で伝聞・非伝聞が変わる
  • 落とし穴②:321条1項各号の要件を混同する——1号(絶対的特信情況不要)、2号(相対的特信情況)、3号(絶対的特信情況)の区別が肝
  • 落とし穴③:再伝聞(324条)を見落とす——伝聞供述の中にさらに伝聞が含まれる場合、両方の例外要件が必要
  • 落とし穴④:322条と321条を混同する——322条は被告人の供述、321条は被告人以外の者の供述。主語で区別
  • 落とし穴⑤:同意書面(326条)の要件を見落とす——当事者の同意+相当性。同意があれば任意性があれば足りるという誤解は禁物

9. 隣接論点との比較

混同しやすい論点との違い

伝聞 vs 非伝聞

要証事実が原供述の内容の真実性なら伝聞、それ以外(言葉の存在自体・心理状態の推認等)なら非伝聞。要証事実で振り分け。

321条 vs 322条

321条は被告人以外の者の供述、322条は被告人の供述。被告人の自白は322条で処理し、自白法則(319条1項)と任意性を併せて検討。

弾劾証拠(328条) vs 通常の伝聞例外

328条は信用性の弾劾目的に限定された限定的証拠能力。実質証拠としては使えないが、信用性弾劾には使える。

10. 論証6行で書ききる答案テンプレ

本番で時間がない中で書き切るには、論証の型を体に入れておくことが決定的に重要だ。伝聞証拠の証拠能力が問われた瞬間、頭の中で次の6行を再生できれば、迷わず筆が動く。受験生の多くは、要証事実→伝聞性→例外規定の順序を頭で理解していても、答案上で順序立てて書き出す訓練ができていない。本番で詰まる原因のほとんどは『論点を知っているか』ではなく、『書き出す順序を体に入れているか』にある。まず、6行の型を写経で2回、自力再現で3回。これで本番でも落とせない型として定着する。

論証6行テンプレ(刑訴法320条)

① 条文・趣旨

刑訴法320条は、321条乃至328条の例外を除き、公判廷外供述を内容とする書面・供述の証拠能力を否定する。趣旨は反対尋問権の保障と供述過程の誤り検証にある。冒頭で条文と趣旨を一行で示す。

② 要証事実の特定

本件証拠で立証しようとする要証事実を特定する。要証事実が原供述の内容の真実性なら伝聞、それ以外なら非伝聞。要証事実の特定がすべての出発点。

③ 伝聞性判断(判旨直接引用)

判旨:「業務の通常の過程で機械的・定型的に作成され、その性質上特に信用すべき情況の下に作成されたもの」(最判昭和38年10月17日領収書事件)など、伝聞性判断に関する判例の文言を直接引用する。

④ 例外規定の要件充足

伝聞に該当する場合、321条1項各号(1号・2号・3号)、322条、323条、324条、326条等のいずれの例外規定の要件を満たすかを順に検討する。再伝聞は両層の要件が必要(324条)。

⑤ あてはめの観点

本件では【書面の種類 → 原供述者 → 要証事実 → 伝聞性 → 該当例外規定 → 各号要件】の順に検討する。具体的には、各段階に対応する事実を1つずつ拾い、論点を素通りしない。

⑥ 結論

次に、結論として証拠能力の有無を示す。具体的には、複数の証拠が問題となる場合は、各証拠ごとに同じ手順を反復して書く。

この型を体に入れておけば、本番で伝聞証拠が問われた瞬間、迷わず①〜⑥の順で書き始められる。具体的には、平成30年・令和3年の司法試験過去問で2回書写し、3回自力で再現すれば、本番でも落とせない型として定着する。論証の型は『暗記』ではなく『再生できる手順』として身につけることが重要だ。

11. 採点者の視点——失点ポイントと加点ポイント

刑訴法320条の答案を採点する側は、要証事実を最初に特定しているかを最初に見る。次に、伝聞性の判断が要証事実との関係で論じられているかを確認する。最後に、321条以下の各号要件を正確に引用できているか、再伝聞や同意書面まで処理できているかで、合格者と不合格者を分ける。受験生が落としやすいのは、要証事実を曖昧にして『公判廷外だから伝聞』と機械的に書くことだ。採点基準上、ここを書けていない答案は、判例の理解が浅いと評価され、本番で詰まった印象を与える。

採点者が見ているチェックリスト

失点①:要証事実の素通り

要証事実を特定せずに『公判廷外だから伝聞』と機械的に処理する答案は、伝聞法則の核心を理解していないと判断され、減点される。冒頭で要証事実を一行で書き起こせるかが分水嶺。

失点②:判旨を要約しすぎる

『業務記録だから323条2号で証拠能力あり』のように要約してしまうと、採点者から『判例の文言を押さえていない』と判断される。判旨『機械的・定型的に作成され』を地の文に埋め込めるかが採点基準上の高得点の鍵。

失点③:再伝聞を見落とす

再伝聞事案で324条に触れず、原供述の例外要件だけで処理する答案は、伝聞例外の構造を理解していないと評価される。原供述部分と再伝聞部分の両方の要件充足を必ず示すこと。

加点①:判旨の直接引用

判旨:「機械的・定型的に作成され」「特に信用すべき情況の下に作成された」を直接引用すると、採点者は『判例を正確に押さえている』と判断し、加点する。判旨は要約せず、キーフレーズを地の文に埋め込む。

加点②:特信情況の使い分け

321条1項各号の特信情況(絶対的・相対的)を場面に応じて使い分ければ、採点基準上の『高得点の鍵』である例外規定の体系理解を示せる。合格者は必ずここまで書く。

つまり、合格者は『条文 → 要証事実 → 伝聞性(判旨直接引用) → 例外規定の特定 → 各号要件 → 結論』の6段階を必ず通る。これを通らない答案は、採点者から見て論点を素通りしていることが一目で分かる。射程を意識した書き分けができるかで、同じ論点でも点が決まる。

12. ケース別あてはめ——3パターンで使い分ける

本番では条文・判例の知識だけでなく、事案類型に応じてどの論点を厚く書くかを判断する力が問われる。刑訴法320条の頻出パターンは3つに整理できる。次の3パターンを頭に入れておけば、事実を読んだ瞬間に『どこを厚く書くか』の判断軸が立つ。

頻出3パターンの書き分け

パターン①:書面の伝聞性と例外要件

検面調書・員面調書・領収書など書面の伝聞性が争点。論証6行テンプレの③④(伝聞性・321条各号)を中心に厚く書く。要証事実を特定し、特信情況の絶対的・相対的の区別を必ず明示する。

パターン②:非伝聞の振り分け

犯行直前の発言・脅迫文言・心理状態の供述など、要証事実の特定が決定的な事案。論証6行テンプレの②(要証事実)を厚く書く。同じ供述でも要証事実次第で伝聞・非伝聞が変わる点を明確に示す。

パターン③:再伝聞(324条)

伝聞供述の中にさらに伝聞が含まれる事案。論証6行テンプレの④(324条)を厚く書く。原供述部分と再伝聞部分の両方の例外要件を別々に検討する作法を必ず示す。

13. 当てはめの手順——本番で5分で完成させる答案構成

伝聞証拠の論点が問われた瞬間、まず以下の手順で答案構成を進める。順序を間違えると、「要証事実の特定」を飛ばしていきなり伝聞例外の規定(321条1項各号など)に飛びついてしまい、採点者から「伝聞・非伝聞の振り分けができていない」と判断されて大きく減点される。本番では時間との勝負であり、各ステップを30秒〜1分で処理する想定で訓練しておくと、論述本文の執筆時間を確保できる。

伝聞証拠の答案構成チェックリスト

STEP 1:当該証拠の形式(書面か供述か)を特定する(30秒)

問題文から「証拠調べの対象」となる物が、書面(供述書・供述録取書・検証調書)か供述(公判廷外の供述)かを最初に整理する。書面なら321条以下の伝聞例外規定が問題になり、供述なら324条(伝聞供述)の検討に進む。問題文に「Aが警察官に話した内容を供述録取書として作成した」とあれば書面(供述録取書)であり、「Aは『Bが犯人だ』と話している」と公判で証人Cが述べる場合は供述(伝聞供述)である。この振り分けを誤ると、その後の例外規定の選択が全部ズレる。

STEP 2:要証事実を特定する(1分)

伝聞・非伝聞の振り分けは「要証事実が何か」によって決まる。要証事実とは、当該証拠によって証明したい事実である。例:Aの供述書「Bを殴った」を、Aが殴ったことの立証に使うなら供述内容の真実性が問題になり伝聞証拠(320条適用)。一方、Aの精神状態(恐怖感)の立証に使うなら供述内容の真実性は問題にならず非伝聞となる。問題文に「Xを犯人と立証するため」「Yの心理状態を示すため」のような表現があるかを確認し、立証の射程を限定して書く。要証事実の特定が甘いと、伝聞例外の判断まで全部不正確になる。

STEP 3:伝聞であれば例外規定を選択する(1分)

伝聞証拠と判定したら、321条1項各号(被告人以外の者の供述書・録取書)、322条(被告人の供述書・録取書)、323条(公的書面・業務文書)、324条(伝聞供述)のどれに該当するかを判断する。実務でも答案でも頻出するのは321条1項2号(検察官面前調書)と1項3号(その他の供述書)である。各号の要件——たとえば1項2号の「相反性」「特信情況」——を条文どおりに引用し、問題文の事実に当てはめる。要件を一つでも省略すると条文操作の精度が疑われる。

STEP 4:例外要件の充足を事実から認定する(1分)

選択した例外規定の要件を、問題文の事実から具体的に認定する。たとえば321条1項2号の「特信情況」については、当該供述がなされた状況の任意性・客観性・録取の正確性を多面的に評価する。判例(最判昭和30年1月11日・百選[刑訴]A-37など)の文言「外部的状況からみて、その供述が信用すべき情況のもとに作成されたか」を直接引用すると、規範と当てはめの整合性が増す。当てはめの段階で問題文の事実を機械的に列挙するだけでは加点が乏しく、各事実の評価(「これにより特信情況を肯定/否定する材料となる」)を必ず加える。

STEP 5:結論を判旨と条文の文言で締める(30秒)

「以上より、本件供述書は刑訴法321条1項2号の要件を満たし、伝聞例外として証拠能力が認められる」のように、条文の規定番号と要件名を明示した結論を書く。漠然と「証拠能力が認められる」「伝聞例外に該当する」と総括するのではなく、適用条文・要件・判例の3点を具体的に積み重ねる答案構成こそ、採点基準で言う「事案を最後まで解いた答案」である。要証事実の特定→伝聞性の判断→例外規定の選択→要件充足の認定→結論、というフローは伝聞論点のあらゆる事案に通用する手順である。

実務では、伝聞例外の充足判断(特に321条1項2号の「相反性」「特信情況」)が公判の流れを大きく左右する。検察官は供述録取書の証拠調べを請求し、弁護人が同意しない場合、これらの要件をめぐって攻防が繰り広げられる。試験答案でも、伝聞例外の要件を事実に即して厚く認定する論述は実務感覚にも合致しており、採点者から高い評価を受けるポイントだ。

14. まとめ

伝聞法則の処理は、(i)要証事実を特定し、(ii)伝聞・非伝聞を振り分け、(iii)伝聞であれば321条乃至328条の例外規定の要件充足を検討する、という3段階である。要証事実を起点とする思考が本論点の核心であり、これを徹底すれば判例の射程も自然に理解できる。判例の文言を正確に引用し、各号の要件を体系的に書ければ合格点に届く。学説対立に深入りせず、判例の立場で淡々と処理することが、合格者は実践している答案戦略である。

今日からできることをステップで整理する。まず、Elencoで「刑事訴訟法320条」「伝聞法則」「伝聞例外」を検索し、要証事実→伝聞性→例外規定の流れと論証6行テンプレを把握する(STEP 1)。次に、演習機能で平成30年・令和3年の司法試験論文を解き、本記事の論証型を実戦で使う(STEP 2)。具体的には、答案構成の段階で『要証事実』『機械的・定型的』『絶対的特信情況』の文言を必ず使うルールを自分に課す。最後に、再伝聞・同意書面・弾劾証拠の応用問題で、伝聞法則の運用を習得する(STEP 3)。条文・判例・演習を往復し、本番で筆が止まらない答案を作る。

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この記事について

本記事はElenco編集部が制作しました。条文・判例はe-Gov公式APIおよび最高裁判所判例集を一次ソースとして使用しています。法改正・判例変動に応じて随時更新しています。

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