憲法31条は、刑罰権の発動に当たっての適正手続の保障を中心的な対象としつつ、判例・通説は、行政手続にも一定の場面で類推適用される余地があるとの整理を示してきた。成田新法判決(最大判平成4年7月1日)が示した枠組みは、行政手続への類推適用を論じる際の出発点である。本稿でこの構造を整理する。
扱うのは、①31条の保障内容、②刑事手続における適正手続、③行政手続への類推適用と成田新法判決、④行政手続法との関係、⑤論証の組み立て、の順である。
条文と保障内容
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
31条は、刑罰の科罰について、法律の定める手続によることを要求する規定として位置づけられる。判例・通説は、本条が、(i) 手続が法律で定められていること、(ii) 法律で定められた手続が適正であること、(iii) 実体(罪刑)が法律で定められていること、(iv) 実体規定が適正であることまで含む包括的な適正手続の保障を含むものと整理してきた。
行政手続への類推適用——成田新法判決
最大判平成4年7月1日(成田新法判決)は、行政処分による不利益が、財産権その他の権利・利益にどの程度の制約を加えるかなどを踏まえ、行政手続にも31条の保障の趣旨が及びうる旨を示した。もっとも、行政手続は刑事手続と性質を異にするため、常に同様の告知・聴聞などの手続が要求されるわけではなく、(i) 制約される権利・利益の内容と性質、(ii) 制約の程度、(iii) 行政上の必要性、などを比較衡量して、必要な手続保障の内容を判断する、という枠組みを示している。
論文では、本件処分が31条の趣旨が及ぶ場面か、及ぶとしてどの程度の手続保障が要求されるかを、上記の比較衡量の枠組みに沿って当てはめる流れになる。
行政手続法との関係
行政手続法は、不利益処分について、聴聞や弁明の機会の付与といった手続を整備している。31条の類推適用論との関係では、行政手続法が定める手続が憲法上要求される最低限度を上回って制度設計されているといえる場面が多く、行政手続法が適用される場面では、31条の類推適用の論点は表面化しにくい。論文では、行政手続法の規律の有無と、本件処分が同法上の不利益処分に該当するかをまず確認することになる。
論証の組み立て方
31条の論証
問題の所在
本件では、〇〇という処分(手続)が憲法31条の適正手続保障に違反するかが問題となる。
31条の保障
31条は、刑事手続を中心としつつ、手続および実体の法定と適正を要求する規定として理解されている。
行政手続への類推適用
本件が行政手続に関わる場面であれば、最大判平成4年7月1日(成田新法判決)が示した枠組みのもと、制約される権利の内容・性質、制約の程度、行政上の必要性を比較衡量して、要求される手続保障の内容を判断する。
規範の趣旨
刑罰権・行政権の発動による不利益から、個人の権利を手続面でも保障する趣旨である。
当てはめ
本件では、〇〇という権利・利益が〇〇の程度で制約され、行政上の必要性は〇〇であることから、要求される手続保障の内容としては〇〇が必要(あるいは不要)と評価される。
結論
以上から、本件処分(手続)は31条の趣旨に違反する(あるいは違反しない)。
よくある質問
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