離婚協議で算定表通りの金額で合意したが、子が私立高校に進学した後に追加費用を請求しようとしたら相手方から「算定表に含まれている」と拒否された。弁護士に確認すると、私学加算は審判で別途申し立てが必要で、協議書に加算条項を入れていなければ後から請求しにくいケースだと分かった。算定表は「通常の公立相当費用」を想定した計算であり、私学費用・大学進学費用・再婚による増減は算定表の外の修正事由として別途主張しなければ請求できない。
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
養育費は民法766条・771条を根拠とし、子の権利として観念される。夫婦の合意で低額に定めた場合でも、事情の変更があれば事後的な増額申立が可能(家事事件手続法154条)。実務では東京・大阪の裁判官が作成した「標準算定方式」と「養育費算定表」(2019年改訂版)が調停・審判の基準となる。
2019年改訂では子の生活費指数が引き上げられ、月額が1〜2万円程度増加した。
なお改訂自体は「事情の変更」に当たらないとする実務が定着しており、改訂を理由に既合意の金額を増額請求することはできない。
算定表で取り損ねる5つの修正事由
① 私立学校・私学進学費用
算定表は公立相当費用を前提とする。義務者が私学進学に同意していた場合や、義務者自身が私学出身の場合は私学加算を申し立てられる。協議書に「私学加算条項」を入れておくと後からの紛争を防げる。
② 大学進学費用と養育費の終期
民法改正で成年年齢が18歳になったが、養育費の終期は「大学卒業まで」と合意するケースが多い。終期について明示しないと18歳終了と解釈される可能性があるため、協議書に終期を明記することが必須。
③ 義務者の再婚と扶養家族の増加
義務者が再婚して扶養家族が増えた場合、収入が同じでも実質的な負担が増えるため減額事由となりうる。減額が認められるかは再婚相手の収入・子の数等を総合考慮する。
④ 権利者の再婚と養子縁組
権利者が再婚し、子が再婚相手と養子縁組した場合、再婚相手が主たる扶養義務者となり実父の養育費が大幅に減額されることがある。養子縁組の有無が判断の分岐点となる。
⑤ 義務者・権利者の収入変動
リストラ・病気・昇給等による収入の大幅変動は増減額の申立事由となる。「大幅」の目安は実務上おおむね20〜30%程度の変化。わずかな変動では認められない。
養育費の支払継続率は3割台にとどまるとされ、未払いへの対応が実務上の重要課題である。2020年4月施行の改正民事執行法は、①第三者からの情報取得制度(銀行・勤務先等への照会が可能に)、②財産開示手続違反に対する刑事罰の導入(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)、③民事執行法152条3項による給与の1/2差押えを可能とした(通常は1/4が上限)。 また確定判決・調停調書・審判書等の債務名義があれば、強制執行の前置として「履行勧告」(家事事件手続法289条)を家庭裁判所に申し出ることができる。
よくある質問
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