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条文全文・解説 — 司法試験・予備試験・法学部生向け
土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
2前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
4第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。
5この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。
6第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。
7ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。
8第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
9第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
出典: e-Gov 法令データベース(法務省)
ライフライン設備設置使用権(2021改正で新設)
電気・ガス・水道等の継続的給付を受けるため必要なときに限り、他の土地に設備を設置し、又は他人所有の設備を使用できる権利。旧法下では明文規定がなく解釈に委ねられていたが、空き家・所有者不明土地問題への対処として2021年改正(2023年4月施行)で新設された相隣関係規定の中核。
損害最小の原則(2項)
設置場所及び使用方法は他の土地等のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。209条隣地使用権と同じ思想で、権利行使の限界を定める。違反すれば差止め・損害賠償の対象。
事前通知義務(3項)
あらかじめ他の土地等の所有者及び使用者に通知が必要。急迫事情があるときは事後でもよい(4項類推適用論あり)。通知を欠いた設置使用は不法行為となる余地がある。
償金支払義務(5項・6項)
設備設置による土地使用の損害には償金を支払う(一時金可)。他人設備の使用については利益を受ける割合に応じた費用分担(継続的償金)。設置と使用で償金方法を区別する点が特徴。