民法423条とは
民法423条は「債権者代位権」を規定する。債務者が自己の権利を行使しないために責任財産が減少する場合に、債権者が債務者に代わって権利を行使する制度。詐害行為取消権(424条)とともに「責任財産保全」の制度の中核をなす。2020年改正で423条の2〜7が追加された。
成立要件
① 保全される被保全債権の存在
② 被保全債権の弁済期到来(原則)
③ 債務者の無資力(原則)
④ 債務者が権利を行使していないこと
転用型代位権(無資力不要)
「本来型」(金銭債権保全)以外に、「転用型」として特定物引渡請求権の保全目的で代位権が使われる。転用型では債務者の無資力は不要(判例)。典型例:
- 不動産登記請求権の代位行使:A→B→C と転売されたがBがAへの移転登記未了の場合、CがAに対するBの登記請求権を代位行使(最判昭和29.9.24)
- 賃借人による修繕請求権の代位:賃借人が賃借物について権利侵害を受けた場合の転用
2020年改正のポイント(423条の2〜7)
- 423条の2:代位行使の範囲(被保全債権額を超える部分は代位不可)
- 423条の3:相手方の債務者への直接引渡拒絶権(代位される第三債務者は、債務者への履行拒絶可)
- 423条の5:債務者は代位訴訟の係属中も自ら権利行使可能(自己処分権は失わない)
- 423条の6:代位訴訟を提起したら債務者に通知義務
- 423条の7:債権者が自己への直接の引渡を請求できるのは金銭・動産のみ
司法試験・予備試験の出題ポイント
- 本来型と転用型の区別(無資力要件の有無)
- 代位行使の範囲(423条の2の制限)
- 被代位者(債務者)は代位訴訟係属中も権利行使可能か(423条の5)
- 詐害行為取消権(424条)との比較
- 民法173条(短期消滅時効)の代位行使との関係
423条は改正で条文が大幅に整備された。改正前は判例で補っていた転用型の処理が、改正後も基本構造は変わっていないが、423条の2〜7で細部がルール化されたことを確認する。