民法94条とは
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民法94条は「通謀虚偽表示」を規律する。相手方と通じてなした虚偽の意思表示は無効(1項)だが、その無効を善意の第三者に対抗できない(2項)。94条2項は「外観法理」の根幹として、類推適用により広く解釈されてきた。
成立要件
① 意思表示の存在
② 相手方との通謀
③ 内心の意思と表示の不一致
94条2項の「第三者」
- 虚偽表示による法律関係について「利害関係を有するに至った第三者」(判例)
- 仮装売買された不動産の転買人・抵当権者・差押え債権者等が典型
- 善意で足り、無過失は不要(通説・判例)
- 転得者が94条2項で保護されるか:最判昭和45.7.24参照
94条2項の類推適用(外観法理)
通謀がない(一方的な外観作出)場合でも、① 虚偽外観の存在 ② 真の権利者の帰責性 ③ 第三者の善意(類推の態様により無過失も要求)という要件が満たされれば、94条2項を類推適用して外観を信頼した第三者を保護する(外観法理・権利外観法理)。
- 最判昭和45.9.22(登記名義人への同意型):真の所有者が不実の登記に同意した場合→善意の第三者に94条2項類推
- 最判昭和45.4.16(積極的関与型):所有者自身が登記作出に積極的に関与→善意の第三者に94条2項類推
- 最判昭和48.6.28(類推+110条法意型):真の権利者に帰責性があり第三者が善意無過失の場合→94条2項・110条の法意による類推
- 最判昭和29.8.20:悪意の第三者は94条2項の保護を受けない(当然)
司法試験・予備試験の出題ポイント
- 94条2項の「善意」の範囲(登記の有無は問わないが、登記欠缺がある場合との関係)
- 94条2項類推適用の要件(帰責性の程度・第三者の善意無過失の要否)
- 177条(不動産登記)との関係(どちらが優先するか)
- 94条・95条・96条の「意思表示の瑕疵」を体系的に整理できるか
94条2項の類推適用は司法試験の超頻出論点。外観法理のパターン(同意型・積極関与型・類推+110条型)を判例とともに押さえること。