刑法42条1項の自首は、犯人が捜査機関に発覚する前に自ら申告した場合に、刑を減軽することができる旨を定める。あくまで任意減軽であり、必ず減軽されるわけではない点、3要件のいずれかを欠けば自首として認められない点に注意が必要である。本稿で、この制度を整理する。
扱うのは、①42条1項の3要件、②任意出頭との違い、③任意減軽の意味、④自首が認められない典型場面、の順である。
条文と3要件
1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。 2項 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
自首(42条1項)の3要件
捜査機関への発覚前
犯人の身元または犯罪事実が、捜査機関に発覚していないことが必要である。すでに犯人として疑われ、所在も把握されている状況では、自ら出頭しても自首には当たらない方向で整理される。
自発的な申告
犯人が自らの意思で進んで申告したことが必要である。捜査機関からの呼出しに応じた場面や、職務質問を受けて初めて自白した場面では、自発性を欠くと評価される余地が出てくる。
捜査機関への申告
申告先は、捜査の権限を有する機関(警察、検察など)である必要がある。家族や知人への告白、報道機関への告白だけでは、ここでいう申告には当たらない。
任意出頭との違い
任意出頭は、すでに捜査機関に犯人として把握されている状況で、捜査機関の呼出しに応じて自ら出頭する場合などを指して用いられる。これは自首とは区別される概念であり、出頭それ自体は刑法42条の自首にはあたらない。任意出頭が量刑上有利に評価される場面はあるが、自首として刑の減軽がされるためには、上記3要件を満たす必要がある。
任意減軽の意味
42条1項は『減軽することができる』と定めており、自首が認められたからといって、自動的に刑が減軽されるわけではない。裁判所は、自首の動機、申告内容の真摯さ、犯罪の内容、被害者との関係などを踏まえて、減軽するか否か、減軽する場合にどの程度減軽するかを判断する。自首は減軽の可能性を開くものであり、減軽の効果を保証するものではない、という理解が前提となる。
自首が認められない典型場面
自首にあたらないと判断されうる場面
捜査機関に犯人として把握された後の出頭
捜査機関がすでに犯人として身元・所在を把握している場合は、自ら出頭しても自首には当たらない方向で整理される。任意出頭としての評価にとどまる。
職務質問・取調べの過程での自白
職務質問や任意の取調べを受け、その流れのなかで初めて自白した場面では、自発性を欠くとして自首にあたらないと評価される余地がある。
申告内容が事実と異なる場合
申告内容が客観的事実と大きく異なる場合や、責任を他人に転嫁する内容にとどまる場合は、自首としての評価が制限されることがある。
よくある質問
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