(民法 第627条第1項(期間の定めのない雇用の解約の申入れ))
① 企業の正当な利益(営業秘密・顧客関係の存在)
保護すべき営業秘密や顧客関係が客観的に存在することが前提。一般的な業界知識・汎用スキルは保護の対象にならない。この要件を満たさない制限条項は目的が正当でないとして無効と判断される傾向がある。
② 労働者の地位(重要情報への接近度)
経営幹部・開発責任者・主要顧客担当者など、制限すべき情報に実際に接近していた立場かどうか。一般従業員や接触情報が限定的な職種への広範な競業制限は、地位との不均衡を理由に無効と判断されやすい。
③ 地域・期間の合理的な制限
「全国一律・5年間」のような広範な制限は無効と判断されやすい。下級審判例の集積では、地域は同一商圏内・期間は1〜2年以内が有効性の目安とされる。これを超える制限は比例原則に反するとして一部無効となることがある。
④ 代償措置の有無(退職金加算・在職中手当等)
競業制限の見返りとして退職金の上乗せや在職中の特別手当が支払われているか。代償なしの広範な制限は、労働者の職業選択の自由(憲法22条1項)を不当に制約するとして無効と判断されやすい。