債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
民法415条は2017年改正で大幅に見直された。「帰責事由」の概念が過失主義から「契約・取引通念に照らした帰責」へと転換されており、試験でもこの変化を踏まえた論述が求められる。
3類型の整理
債務不履行の類型
① 履行不能
履行が物理的・法的に不可能になった場合。不能が債務者の責めに帰すべき事由による場合は損害賠償請求可(415条1項本文)。危険負担(536条)との区別が重要。2017年改正で「原始的不能」も契約の有効性に影響しなくなった(412条の2)。
② 履行遅滞
履行が可能なのに履行期を徒過した場合。確定期限のある債務は期限到来時(412条1項)、不確定期限は期限到来を知った時(2項)、期限の定めなき債務は請求時(3項)から遅滞。遅延損害金(法定利率:年3%・404条)の起算点として重要。
③ 不完全履行
履行はしたが債務の本旨に従っていない場合(瑕疵ある履行)。追完が可能なら追完請求→追完なき場合に損害賠償。売買における担保責任(562条以下)は不完全履行の特則として機能する。
2017年改正のポイント:帰責事由
改正前は「債務者の責めに帰すべき事由」=「故意・過失または信義則上これと同視すべき事由」と解されていた(過失責任主義)。改正後は「契約その他の債務発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」(415条1項但書)となり、契約内容・性質に応じた判断へと転換した。結果として、手段債務(医療・弁護)では過失が帰責事由となり、結果債務(製品の納品)では結果未達成が帰責事由となる傾向がある。
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