刑法199条は「殺人罪」を定める規定である。日本の刑法典の中でも最も重い法定刑が設定された条文の一つで、死刑・無期懲役・5年以上の有期懲役という三段階の刑罰が定められている。
刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
「人を殺した」の意味
「人」とは自然人(生きている人間)を指す。胎児は「人」ではないため、胎児を死亡させた場合は堕胎罪(刑法212条以下)が問題となる。分娩開始(陣痛開始説・一部露出説)以降は「人」として扱われる。
法定刑の意味
- 死刑:最も重い刑罰。特に計画的・残虐な態様の事案で科される
- 無期懲役:終身刑に近い。仮釈放は10年経過後に可能(刑法28条)
- 5年以上の有期懲役:下限が5年と高く、刑事過失致死(5年以下)とは大きく異なる
類似罪名との違い
刑法199条と隣接罪名の比較
傷害致死罪(刑法205条)
傷害の故意しかなく、死亡結果は過失の場合。殺意(死の認識)がある199条と、傷害の認識しかない205条の区別が試験頻出。法定刑は3年以上の懲役(199条より軽い)。
同意殺人罪(刑法202条後段)
被害者の承諾があって殺した場合。殺意はあるが、承諾による違法性の減少を考慮して6月以上7年以下の懲役と大幅に軽い。安楽死問題と関連して出題される。
過失致死罪(刑法210条)
過失により人を死亡させた場合。50万円以下の罰金と極めて軽い。自動車運転致死には特別法(自動車運転処罰法)が優先適用される。
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