刑法2026-04-289

刑法第60条(共同正犯)の構成要件と論証 — 共謀共同正犯・一部実行全部責任の原則

刑法60条「共同正犯」の要件(共謀・共同実行の意思・共同実行)と一部実行全部責任の原則を解説。共謀共同正犯の成立要件、間接正犯との区別、実行行為者が不明な場合の処理まで網羅する。

刑法第60条共同正犯

二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

刑法60条の共同正犯は「二人以上が共同して犯罪を実行した場合、一部しか実行行為をしていない者も全部の責任を負う(一部実行全部責任の原則)」という規定である。共謀のみで実行しなかった者が正犯となりうるかという共謀共同正犯の問題が試験の中心的論点。

共同正犯の3要件

刑法60条 要件分析

① 共謀(共同実行の意思)

二人以上の間で、特定の犯罪を共同して実行しようとする意思の連絡(相互的意思連絡)が必要。明示的な謀議だけでなく、黙示の意思連絡でも足りる(最大判昭和33年・練馬事件)。

② 正犯意思(自己の犯罪として)

共同正犯と幇助犯の区別に使われる基準。「自己の犯罪として関与したか」(正犯意思説・判例の傾向)または「重要な役割を果たしたか」(重要な役割基準)。判例は正犯意思と客観的な役割の両方を考慮する。

③ 共同実行

共謀に基づいて実行行為が行われること。共謀者の一部が実行すれば、実行していない者も共同正犯(一部実行全部責任)。共謀共同正犯は実行を全くしていない者が共謀だけで正犯となる。

共謀共同正犯の成立要件

判例(最大判昭和33年・練馬事件)は共謀共同正犯の成立を認め、「共謀に参加した以上、実行した者の行為は自己の行為と同視できる」とした。要件は①共謀の存在 ②正犯意思(自己の犯罪として関与) ③共謀に基づく実行の3つ。

承継的共同正犯

犯罪の途中から加担した場合(例:傷害が始まった後から加わった場合)の責任の範囲が問題となる。判例は「加担後の行為についてのみ共同正犯となる」とする立場(最判平成24年)。加担前の結果については幇助にとどまる。

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