刑法2026-04-199

刑法199条と正当防衛(刑法36条)の関係 — 違法性阻却の論証を完全解説

殺人罪(刑法199条)が成立しても正当防衛(刑法36条)で違法性が阻却される場合の論証方法を解説。「急迫不正の侵害」「防衛の意思」「相当性」の3要件の判断基準と試験の答案作成方法。

刑法199条(殺人罪)の構成要件に該当する行為であっても、正当防衛(刑法36条)が成立すれば違法性が阻却され、無罪となる。司法試験・予備試験では199条と36条が組み合わさった問題が頻繁に出題される。

刑法第36条正当防衛

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。 2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

正当防衛の3要件

刑法36条 要件分析

① 急迫不正の侵害

「急迫」とは侵害が現在し、または間近に迫っていること(過去の侵害や将来の侵害への予防的攻撃は急迫性を欠く)。「不正」とは違法であること(正当防衛に対する正当防衛は不可)。積極的加害意思がある場合は急迫性が失われる(最判昭和52年)。

② 防衛の意思

防衛の意思が必要か争いがある(必要説・不要説)。判例は必要説の立場を採り、「急迫不正の侵害を認識しながら、防衛に名を借りて侵害者に積極的に攻撃を加える意思」がある場合は防衛意思が欠ける(最判昭和50年)。

③ やむを得ずにした行為(相当性)

防衛行為が必要最小限度であることが必要。刃物を持った相手に素手で対応できるのに銃で射殺した場合は相当性を欠き過剰防衛(36条2項)になりうる。判例は「客観的に必要と認められる最小限の方法」を求める。

過剰防衛との区別

正当防衛の要件を満たす場合は完全に無罪(違法性阻却)。これに対し「防衛の程度を超えた」過剰防衛(36条2項)は刑が任意的に減軽・免除されるに留まる。答案上は①正当防衛の成否を検討→②成立しない場合に過剰防衛の検討という順序が定石。

答案作成の流れ

  • STEP 1:刑法199条の構成要件該当性を認定(実行行為・故意・因果関係・既遂)
  • STEP 2:違法性阻却の検討として刑法36条を持ち出す
  • STEP 3:急迫不正の侵害の有無(積極的加害意思・自招防衛も検討)
  • STEP 4:防衛の意思の有無
  • STEP 5:相当性の判断(過剰防衛 or 正当防衛)
  • STEP 6:結論(無罪 or 刑の減免)

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