刑法第199条の条文
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
刑法199条は殺人罪を定める条文である。司法試験・予備試験において最頻出の刑法規定の一つであり、構成要件・違法性阻却・責任の各段階での論証が問われる。
構成要件の4要素
刑法199条 構成要件分析
① 実行行為(人を殺す行為)
「人を殺す」とは、自然人の生命を断絶させる行為をいう。作為による場合(刺突・絞殺等)だけでなく、不作為による場合(母親が乳児に授乳しない等)も、作為義務がある限り実行行為となりうる。
② 故意(殺意)
刑法38条1項により、故意犯が原則である。殺人罪の故意は「人が死ぬかもしれないと認識しつつ、それでもかまわないと意思決定すること」(確定的故意または未必の故意)で足りる。未必の故意と認識ある過失の区別が試験頻出論点。
③ 因果関係
実行行為と死亡結果の間に相当因果関係(判例:最判昭和25年)または危険の現実化(近時の有力説)が必要。介在事情がある場合(被害者の逃走中の事故、第三者の行為等)の因果関係の切断が頻出論点。
④ 既遂(人の死亡)
死亡結果が発生して初めて既遂となる。死亡の時点は「心臓・肺・脳の三徴候が永久停止した時」(三徴候説)が実務上の基準。未遂(刑法203条)とは結果発生の有無で区別する。
違法性阻却事由との関係
殺人行為が構成要件に該当しても、正当防衛(刑法36条)または緊急避難(刑法37条)が成立すれば違法性が阻却される。正当防衛の「急迫不正の侵害」「防衛の意思」「相当性」の3要件が試験で頻繁に問われる。
試験での論証の型
- ① 実行行為の特定(何が「人を殺す行為」に当たるか)
- ② 故意の認定(確定的故意 or 未必の故意。認識ある過失との区別)
- ③ 因果関係の検討(相当因果関係 or 危険の現実化。介在事情の有無)
- ④ 違法性阻却の検討(正当防衛・緊急避難)
- ⑤ 責任の検討(責任能力:刑法39条、違法性の意識の可能性)
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