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工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の三箇月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
2不動産の保存
3不動産の工事
4不動産の売買
不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
2前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。
一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
2一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。
3ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。
2この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
3不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
4動産の保存の先取特権
5動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
6前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。
7第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
8果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。
同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百二十五条各号に掲げる順序に従う。
2同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。
一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。
2ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。
2この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
3工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。
2ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。
2ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。
2この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
2この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。
2設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
3不動産質権の設定は、更新することができる。
4ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。
不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
質権は、財産権をその目的とすることができる。
2前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。
債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。
4この場合において、質権は、その供託金について存在する。
5債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。
3この場合においては、この章の規定を準用する。
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。
2ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。