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抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
抵当権消滅請求
抵当不動産の第三取得者は抵当権者に対し383条所定の書面を送付し抵当権の消滅を請求できる。
請求権者
所有権を取得した第三取得者のみ。地上権・永小作権の取得者は不可。主たる債務者・保証人・その承継人は不可(380条)。
性質
形成権ではなく要約者からの申込み。抵当権者の選択(承諾または競売申立て)で帰結が決まる。
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主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
規律
主たる債務者・保証人およびこれらの承継人は、抵当権消滅請求(379条)をすることができない。
趣旨
主たる債務者・保証人は債務全額弁済義務を負うため、第三取得者と異なり「不動産の価格相当額の支払」で抵当権を消滅させる優遇を認める必要がない。
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抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
規律
抵当不動産の停止条件付き第三取得者は、その条件成否が未定の間は、抵当権消滅請求をすることができない。
趣旨
所有権取得が確定していない段階での消滅請求を排除し、抵当権者の地位を保護。
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抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。
請求時期
抵当権消滅請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前にしなければならない。
趣旨
競売手続が進行を始めた後は、手続の安定と抵当権者保護のため消滅請求を遮断する。
実務
第三取得者は登記取得後、速やかに評価額算定書面を準備し、競売申立てに先行する必要がある。
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抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
2取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
3抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
4債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
書面の送付(柱書)
第三取得者は登記をした各債権者に対し、所定書面を送付しなければならない。
送付書面の内容(1〜3号)
①取得原因・年月日・譲渡人・取得者の氏名住所、不動産の表示、②抵当権の登記事項、③第三取得者が代価または特に指定した金額を弁済・供託する旨の申出。
趣旨
債権者全員に情報提供し、消滅請求に対する競売申立てか承諾かの判断機会を保障。
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次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
2その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
3その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
4第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
5第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条第三項若しくは第六十八条の三第三項の規定又は同法第百八十三条第一項第二号ニに掲げる文書が提出された場合における同条第二項の規定による決定を除く。)が確定したとき。
みなし承諾事由
次のいずれかに該当するときは、債権者は第三取得者の申出を承諾したものとみなされる。①書面送付後2か月以内に競売申立てをしないとき、②競売申立てを取り下げたとき、③競売手続を取り消す決定が確定したとき(第三取得者の責めに帰すべき事由による場合除く)、④競売による売却代金が抵当権者の優先弁済額に満たないことが明らかなとき。
効果
申出額の弁済・供託により抵当権が消滅する(386条)。
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第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。
競売申立て期間
債権者は383条の書面送付を受けた日から2か月以内に競売の申立てをしなければならない。
通知義務
競売申立てをした債権者は、債務者および第三取得者に対しその旨を通知しなければならない。
効果
期間内に競売申立てをすれば消滅請求は阻止される。逆に怠れば384条1号によりみなし承諾。
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登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。
消滅効果
登記したすべての債権者が第三取得者の提供額を承諾し、かつ第三取得者がその額を払渡し・供託したときは、抵当権は消滅する。
支払いの効果
代価弁済(378条)と並ぶ抵当権消滅事由として機能。第三取得者の地位安定を図る。
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登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
賃借権の抵当権者への対抗(1項)
登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意し、かつその同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗できる。
同意の登記の意義
後順位賃借権を保護する制度。賃貸借を抵当権より優先させることで、競売時にも賃借人が保護される。
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土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。
2この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
法定地上権の成立要件
①抵当権設定当時に土地上に建物が存在、②土地と建物が同一所有者、③土地・建物の一方または双方に抵当権設定、④競売の結果、土地と建物が別人所有となる、の4要件を満たすと法定地上権が成立する。
趣旨
建物所有者の土地利用権を保障し、建物収去という社会的損失を回避する。当事者意思の合理的推測。
更地への抵当権設定後の建物建築(判例)
更地に抵当権を設定した後に建物を築造した場合、法定地上権は成立しない(最判昭36・2・10)。抵当権者の把握価値を害するため。
共有関係(判例)
土地共有・建物単独所有で建物に抵当権設定→競売、法定地上権成立しない(最判昭29・12・23)。土地共有者全員の同意が擬制できないため。
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抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。
2ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
3前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
抵当地上の建物の一括競売(1項本文)
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売することができる。
優先弁済の範囲(1項但書)
優先弁済を受けられるのは土地の代価についてのみ。建物代価は所有者に帰属。
趣旨
更地に抵当権設定後の築造建物について法定地上権が成立しないため、競売の困難(建物所有者からの収去)を回避する。
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抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
抵当不動産の第三取得者の競売人資格
抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
趣旨
第三取得者が自己の取得した不動産を競売で再取得することを認め、価格形成を活性化する。
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抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。
費用償還請求権
抵当不動産の第三取得者は、その不動産について必要費・有益費を支出したときは、196条(占有者の費用償還請求)の区別に従い、抵当不動産の代価から最優先で償還を受けることができる。
趣旨
第三取得者の支出により不動産価値が維持・増加すれば、結果として抵当権者も利益を受けるため、優先償還を認める。
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債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
2債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
3この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
同時配当(1項)
共同抵当において数個の不動産を同時に競売したときは、各不動産の代価に応じて被担保債権額を按分して配当する。
異時配当と次順位代位(2項)
ある不動産のみを競売した場合、抵当権者は代価から全額弁済を受けられるが、その不動産の後順位抵当権者は1項の按分なら受けるはずだった額について先順位者に代位できる。
趣旨
共同抵当による後順位抵当権者への不利益(先順位者が一つの不動産から全額回収して他を残す)を防止する利害調整。
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前条第二項後段の規定により代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を付記することができる。
後順位抵当権者の代位(1項)
共同抵当のうち1個の不動産の代価のみが配当される場合に、次順位抵当権者は、その不動産につき先順位の共同抵当権者が他の不動産から弁済を受けえたであろう額を限度として、先順位抵当権者に代位して抵当権を行使できる。
趣旨
共同抵当の同時配当(392条)の利益を、異時配当の場合にも実現するための調整規定。後順位抵当権者の期待を保護。
判例
代位の登記がなくても代位そのものは生じるが、第三取得者・転得者への対抗には付記登記が必要(最判昭53.7.4)。
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抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。
2前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。
3この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。
原則(1項)
抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。
例外(2項)
抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合、抵当権者は他の財産の代価から先に配当を受けられるが、その配当金は供託される。
趣旨
一般債権者の引当てとなる責任財産(無担保財産)を尊重し、抵当権者は担保不動産から優先弁済を受けた後の残額についてのみ一般財産にかかれる。
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抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
2競売手続の開始前から使用又は収益をする者
3強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
4前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
抵当建物使用者の引渡し猶予(1項)
抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用または収益をする者は、競売の場合において買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは建物を買受人に引き渡すことを要しない。
対象
競売手続開始前から使用または競売手続開始後に強制管理または担保不動産収益執行管理人の管理権限に基づき使用する者。
賃料支払義務(2項)
1項の使用者は買受人の買受けの時より後にその建物の使用をしたことの対価について、買受人の請求に応じ相当の期間を定めて支払うべき。これに応じないと猶予を失う。
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抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
消滅時効の制限
抵当権は、債務者および抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
趣旨
債務者・設定者との関係では、被担保債権が存続する限り抵当権だけ独立に時効消滅することを否定し、担保機能を確保。
第三取得者・後順位抵当権者との関係
本条の反対解釈により、第三取得者・後順位抵当権者に対しては抵当権が単独で20年(167条2項旧)の消滅時効にかかりうると解されてきた(167条改正後は債権の時効と一致させる議論あり)。
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債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。
抵当不動産の時効取得と抵当権の消滅
債務者または抵当権設定者ではない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権はこれにより消滅する。
趣旨
時効取得した第三者の所有権の完全性を保障。占有による外形信頼の保護。
債務者・設定者を除外
債務者・抵当権設定者自身は時効取得で抵当権を消滅させられない。担保価値破壊の濫用防止。
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地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。
抵当権の目的である地上権等の放棄禁止
地上権または永小作権を抵当権の目的とした地上権者または永小作人は、その権利を放棄しても、これを抵当権者に対抗することができない。
趣旨
抵当権の目的物である用益物権を一方的放棄により消滅させ抵当権を空洞化することを防止。
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抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
根抵当権の意義(1項)
一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するため不動産につき設定した抵当権。継続的取引から生ずる債権の集合担保。
被担保債権の範囲(2項)
債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるもの、その他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限り定めることができる。
特定債権の例外(3項)
手形上または小切手上の請求権・電子記録債権法上の請求権も例外的に被担保債権の範囲に含めうる。
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根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。
3ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
4債務者の支払の停止
5債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
6抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え
被担保債権の範囲(1項)
根抵当権者は、確定した元本ならびに利息その他の定期金および債務不履行による損害賠償の全部について、極度額を限度として優先弁済を受ける。
手形・小切手・電子記録債権(2項)
債務者との取引によらず取得した手形・小切手・電子記録債権上の請求権も、所定の事由ある場合は被担保債権に含まれる。
趣旨
普通抵当(375条)と異なり、根抵当は極度額の枠内であれば利息・損害金も2年制限なくフルカバー。
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元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。
2債務者の変更についても、同様とする。
3前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
4第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。
債権の範囲・債務者の変更(1項)
元本確定前は、根抵当権の被担保債権の範囲および債務者を変更できる。後順位抵当権者その他第三者の承諾は不要。
登記要件(3項)
変更につき元本確定前に登記をしなければ、変更がなかったものとみなされる(登記が効力要件)。
趣旨
根抵当の流動性を維持しつつ、極度額が公示されている以上、後順位者に不測の損害を与えないため承諾不要。ただし登記公示は厳格に要求。
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根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
原則
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければすることができない。
趣旨
極度額は後順位抵当権者・第三取得者の利害の核となる公示数値であり、増減はそれら者の地位を直撃するため承諾を必須とする。
債権範囲・債務者変更との違い
398条の4と異なり、極度額変更は確定前後を問わず利害関係人の承諾を要する点で要件が厳格。
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根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。
元本確定期日の定め(1項)
根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め、または変更することができる。
期日の制限(3項)
確定期日は定めた日・変更した日から5年以内でなければならない。
登記(4項)
変更につき元の期日前に登記しなければ、定めた期日に元本が確定する。
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元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。
2元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
3元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
4元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。
5元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。
6元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。
確定前の随伴性否定(1項)
元本確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使できない。元本確定前に債務を引き受けた者の債務についても根抵当権は及ばない。
免責的債務引受(2項)
元本確定前に免責的債務引受があった場合、根抵当権者は引受人の債務に根抵当権を移すことができない。
更改(3・4項)
更改により債権を取得した者・新債務者にも根抵当権は及ばない。
趣旨
確定前の根抵当は特定の継続的取引から生じる債権群を担保するものであり、債権譲渡等により担保が散逸することを防ぐ(普通抵当の随伴性とは正反対)。
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元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
2元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3第三百九十八条の四第二項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
4第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
原則(1項・2項)
元本確定前に根抵当権者・債務者に相続があったときは、根抵当権は相続開始時に存する債権、および相続人と根抵当権者との合意により定めた相続人が相続後に取得(負担)する債権を担保する。
合意の登記(4項)
相続開始後6か月以内に上記合意の登記をしないときは、元本は相続開始時に確定したものとみなす。
趣旨
相続を機に取引継続するか確定させるかを当事者の合意に委ね、不確定状態の長期化を6か月で打ち切る。
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元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
2元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。
3前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。
4ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
5前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
6第三項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。
7合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。
原則(1項・2項)
元本確定前に根抵当権者・債務者について合併があったときは、根抵当権は合併時に存する債権および合併後に存続会社・新設会社が取得(負担)する債権を担保する。
確定請求権(3項)
設定者は、合併を知った日から2週間以内、かつ合併日から1か月以内に元本確定請求をすることができる(債務者と設定者が同一の場合を除く)。
効果(4項)
確定請求により元本は合併時に確定したものとみなされる。
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元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。
2元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。
3前条第三項から第五項までの規定は、前二項の場合について準用する。
規律
元本確定前に根抵当権者・債務者を分割会社とする会社分割があったときは、根抵当権は分割時に存する債権および分割後に分割会社・承継会社・新設会社が取得(負担)する債権を担保する。
確定請求権
398条の9を準用し、設定者は所定期間内に元本確定請求が可能。
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元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。
2ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
3第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。
原則
元本確定前の根抵当権は、377条1項(順位譲渡・順位放棄)を除き、抵当権の処分(376条)をすることができない。
ただし書
ただし、被担保債権の譲渡・代位弁済等による随伴は確定前は生じない(398_7)ので、債権処分と一体での処分を制限する趣旨。
趣旨
確定前の根抵当は債権との切り離しが原則であり、債権処分に従属する376条型の処分を許せば極度額の枠が攪乱されるため制限。
この条文の練習問題を解く
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。
3この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
4前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
全部譲渡(1項)
元本確定前は、根抵当権者は設定者の承諾を得て根抵当権そのものを譲渡することができる(被担保債権と切り離した処分)。
分割譲渡(2項)
極度額を分割して、各分割後の根抵当権を譲渡することもできる。後順位抵当権者・転抵当権者がいる場合はその承諾が必要。
趣旨
根抵当の財産的価値の流動化を図る制度。普通抵当の処分(376条)と異なり、債権と切り離された純粋な担保の譲渡が可能。
この条文の練習問題を解く
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。
規律
元本確定前は、根抵当権者は設定者の承諾を得て根抵当権の一部を譲渡し、譲受人とともに共有することができる。
効果
譲渡により根抵当権は譲渡人・譲受人の共有となり、398条の14の配当ルールが適用される。
この条文の練習問題を解く
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。
2ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
3根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。
原則(1項)
共有根抵当権者は、それぞれの債権額の割合に応じて弁済を受ける。
別段の定め(1項但書)
債権額の割合と異なる定めをし、または優先順位を定めることもできる。
持分の処分(2項)
共有者の1人は、他の共有者の同意を得て持分を譲渡することができる。
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抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。
規律
抵当権の順位の譲渡・放棄を受けた根抵当権者は、その根抵当権を譲渡または一部譲渡したときは、譲受人は順位の譲渡・放棄の利益を受ける。
趣旨
順位譲渡・放棄により得た優先弁済の利益が、根抵当権の譲渡に随伴して譲受人に移転することを明示。
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第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。
規律
数個の不動産を共同担保とする根抵当権は、その設定と同時に共同担保とする旨の登記をした場合に限り、共同根抵当権としての効力(392条・393条の共同抵当規律)が及ぶ。
趣旨
根抵当の共同担保は意思表示と登記を同時に要求し、後発的な共同根抵当化を排除して関係者の予測可能性を確保。
対比
登記をしない場合は累積式根抵当(398条の18)となり、各不動産ごとに極度額まで独立に責任を負う。
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前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。
2前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。
変更の効力要件(1項)
共同根抵当権の被担保債権の範囲・債務者・極度額の変更または譲渡・一部譲渡は、すべての不動産について登記をしなければ効力を生じない。
元本確定の連動(2項)
共同根抵当権の元本は、1個の不動産についてのみ確定事由が生じた場合でも、すべての不動産について確定する。
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数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。
規律
数個の不動産に根抵当権が設定された場合に、共同根抵当権の登記(398条の16)がないときは、根抵当権者は各不動産の代価から極度額に至るまで優先弁済を受けることができる(累積式)。
効果
結果として極度額×不動産個数まで担保枠を確保できるが、共同抵当の392条のような同時配当・393条の代位は適用されない。
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根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。
2この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
3根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。
4この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
5前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。
設定者からの確定請求(1項)
根抵当権設定後3年を経過したときは、設定者は元本の確定を請求できる。請求の時から2週間を経過すると元本が確定する。
根抵当権者からの確定請求(2項)
根抵当権者はいつでも元本の確定を請求できる。請求と同時に元本が確定する。
適用除外(3項)
元本確定期日(398条の6)の定めがある場合は、本条の確定請求はできない。
趣旨
期日を定めなかった場合の終了ルートを設定者・根抵当権者双方に保障し、根抵当の不確定状態を解消する手段を提供。
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次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
2根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。
3ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
4根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
5根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
6債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
7前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。
8ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
元本確定事由(1項)
①根抵当権者が抵当不動産について競売・担保不動産収益執行・物上代位による差押え等を申し立てたとき、②滞納処分による差押え、③根抵当権者が抵当不動産に対する競売・差押えを知り2週間経過したとき、④債務者または設定者の破産手続開始決定。
効果
確定により被担保債権が特定し、根抵当権は普通抵当権と同様の性質となる。以後発生する債権は担保されない。
確定後の処分
確定により譲渡(376条)等通常の抵当権処分が可能となる。
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元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
2第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。
減額請求権(1項)
元本確定後、設定者は、現に存する債務額に以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務不履行による損害賠償の額を加えた額に、極度額の減額を請求できる。
共同根抵当の場合(2項)
1個の不動産について減額請求すれば、他の不動産についても効力が及ぶ。
趣旨
確定後は被担保債権が特定されるため、過大な極度額を保持する必要がなく、設定者の処分自由・後順位者の枠拡大を促す。
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元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。
2この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
3第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
4第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。
消滅請求権(1項)
元本確定後、現に存する債務額が極度額を超えるときは、他人の債務を担保するため根抵当権を設定した者、抵当不動産の第三取得者、または地上権・永小作権・第三者対抗要件を備えた賃借権を取得した者は、極度額相当額を払渡し・供託して根抵当権の消滅を請求できる。
弁済との関係(2項)
極度額相当額の払渡し・供託は債務の弁済と同一の効力を有し、被担保債務はその限度で消滅。
趣旨
債務額が極度額を超える場合でも、第三取得者等は極度額分の弁済で抵当権の負担から不動産を解放できる救済制度。普通抵当の消滅請求(379条)の根抵当版。
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債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
債権の目的の非金銭性
債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
趣旨
金銭評価不能な利益(精神的利益・人格的利益・芸術的価値等)でも債権の目的足り得ることを明文化。広く債権の対象を認める。
強制履行との関係
金銭評価不能な債権でも履行請求は可能。ただし強制執行は債務の性質により制限される(414条但書)。
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債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
特定物債権における善管注意義務
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は引渡しまで善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって保存しなければならない。
注意義務の基準(改正による明確化)
善管注意の内容は、契約その他の債権発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる。抽象的・一律ではなく契約類型ごとに具体化される(2020年改正で明文化)。
違反の効果
保存義務違反により目的物を滅失・毀損させた場合、債務不履行責任(415条)を負う。自己物と同一の注意では足りない。
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債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
種類債権の品質(1項)
種類債権で法律行為の性質または当事者意思によって品質を定められないときは、債務者は中等の品質を有する物を給付しなければならない。
種類債権の特定(2項)
債務者が物の給付に必要な行為を完了し、または債権者の同意を得て給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする(特定)。
特定の効果
特定により以後は特定物債権に変化し、400条の善管注意義務が発生。危険負担・所有権移転・履行不能の判定も特定物として扱う。
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債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。
2ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
3債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
4前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。
金銭債権の通貨選択(1項)
金銭債権では債務者は各種通貨で弁済できる。ただし特定種類の通貨給付を目的としたときは別。
特定通貨が強制通用力喪失の場合(2項)
特定種類通貨が弁済期に強制通用効力を失っているときは、他の通貨で弁済する。
外国通貨への準用(3項)
前二項の規定は外国通貨給付を目的とした場合に準用される。
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外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。
外貨建債権の代用給付権
外国通貨で債権額を指定したときは、債務者は履行地の為替相場により日本通貨で弁済できる(代用給付権)。
債権者側の請求
本条は債務者の代用給付権を定めるが、判例は債権者にも日本通貨での請求権を認める(最判昭50・7・15)。
換算基準時
実際の弁済時の為替相場を基準とする(履行地の為替相場)。
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利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2法定利率は、年三パーセントとする。
3前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。
法定利率の適用(1項)
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、利息が生じた最初の時点における法定利率による。
法定利率の固定(2項)
法定利率は年3パーセント。2020年改正で旧5パーセントから引下げ。
3年ごとの変動制(3項・4項)
法定利率は3年を一期として、基準割合の変動に応じて1パーセント未満を切り捨てて変動する。直近変動期との差を加減算する仕組み。
基準割合(5項)
基準割合は短期貸付け(1年未満)の平均利率を6年前から前々年12月までの60か月分平均で算定し法務大臣告示。
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利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。
利息の元本組入れ要件
利息支払が1年分以上延滞した場合に債権者が催告しても債務者が支払わないときは、債権者は延滞利息を元本に組み入れることができる。
趣旨
重利(複利)の発生を限定的に認める。延滞期間1年・催告・債務者不払いの三要件で慎重に認める(自動的複利は否定)。
効果
組入れにより組入れ分が新たな元本となり、それに対しても利息が発生する(複利化)。
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債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。
選択債権の選択権
債権の目的が数個の給付の中から選択により定まるときは、選択権は債務者に属する(原則債務者)。
趣旨
債務者は履行する義務を負う者として、複数の給付候補のうちどれを履行するか決める権限が原則的に与えられる。
特約による変更
当事者特約により選択権を債権者または第三者に与えることが可能(409条参照)。
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前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。
2前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。
選択権の行使方法(1項)
選択は相手方に対する意思表示によって行使する。
撤回の制限(2項)
選択の意思表示は相手方の承諾を得なければ撤回できない。
趣旨
選択により債権の目的が確定するため相手方の信頼を保護し、一方的撤回を認めない。
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