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債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
連帯債務の意義
債務の目的がその性質上可分である場合に、法令の規定または当事者の意思表示により、数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は各債務者に対し全部または一部の履行を請求できる。
効果
各債務者は債権全額について履行義務を負う。1人の弁済等は他の債務者の利益にもなる(絶対的効力事由:弁済・更改・相殺・混同)。
債権者の選択
債権者は同時または順次にすべての債務者に対し全部・一部の履行を請求できる。
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連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。
連帯債務の無効・取消し
連帯債務者の1人について法律行為の無効・取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務はその効力を妨げられない。
趣旨
連帯債務の独立性。各連帯債務は独立の債務であり、1人の事情は他に影響しない。債権担保の実効性確保。
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連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
連帯債務における更改の絶対効
連帯債務者の一人と債権者間に更改があったときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
絶対効の理由
更改は債権を消滅させ新債権を成立させる行為。連帯債務全体について旧債権が消滅し、新債権関係は当該債務者と債権者間のみとなる。
他の連帯債務者の地位
他の連帯債務者は旧債権消滅により責任を免れる。求償関係は内部的に処理(負担部分相当の利得清算)。
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連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
連帯債務者の1人による相殺
連帯債務者の1人が債権者に対して反対債権を有する場合、その者が相殺を援用したときは債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する(1項:絶対的効力)。
相殺援用権なき他の連帯債務者(2項)
反対債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その者の負担部分の限度で他の連帯債務者は債権者に対して債務履行を拒絶できる。
改正のポイント
改正前は他の連帯債務者が代位して相殺援用できたが、改正後は履行拒絶権のみとなった。
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連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。
連帯債務における混同の弁済擬制
連帯債務者の一人と債権者間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされる。
効果
弁済擬制により債権が消滅し、他の連帯債務者も債務を免れる。混同した連帯債務者は他の連帯債務者に求償できる(442条)。
趣旨
混同は経済的に弁済と同視できる。求償権を通じて公平な分担を確保しつつ、債権関係は一元化する。
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第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
2ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
相対的効力の原則
438条(更改)、439条1項(相殺)、440条(混同)に規定する場合を除き、連帯債務者の1人について生じた事由は他の連帯債務者に効力を生じない。
別段の合意(但書)
債権者と他の連帯債務者の1人との間の合意により、別段の意思表示があるときはその意思に従う。
履行請求の相対効化(改正)
改正前は履行請求も絶対効だったが、改正後は相対効。時効更新・遅滞も個別に発生する。
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連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。
2前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
求償権発生要件(1項)
連帯債務者の1人が弁済その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるか否かにかかわらず、他の連帯債務者に対し各自の負担部分に応じて求償できる。
求償の範囲(2項)
免責のために支出した財産の額・避けることができなかった費用・弁済日以降の法定利息および損害賠償。
事前・事後通知義務
443条により事前通知・事後通知を怠ると求償が制限される(他の連帯債務者の対債権者抗弁または二重弁済保護)。
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他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。
2この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
3弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる。
事前通知を怠った弁済者への対抗(1項)
他の連帯債務者の存在を知りながら事前通知せず弁済等で共同免責を得た場合、他の連帯債務者は債権者対抗事由をもって弁済者に対抗できる(負担部分の限度)。
相殺対抗時の取戻し(1項後段)
相殺を弁済者に対抗したときは、その連帯債務者は債権者に対し相殺で消滅すべきだった債務の履行を請求できる(不当利得的調整)。
事後通知を怠った場合(2項)
弁済者が事後通知を怠ったため他の連帯債務者が善意で重ねて弁済した場合、他の連帯債務者はその弁済を有効なものとみなすことができる。
趣旨
連帯債務者間の通知義務を定め、二重弁済・対抗事由の喪失を防ぐ。事前通知=対抗事由保護、事後通知=二重弁済防止の二段構造。
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連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。
2前項に規定する場合において、求償者及び他の資力のある者がいずれも負担部分を有しない者であるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、等しい割合で分割して負担する。
3前二項の規定にかかわらず、償還を受けることができないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。
無資力者がある場合の負担割合分担(1項)
連帯債務者中に償還資力のない者があるときは、償還不能部分を求償者および他の資力ある者間で各自の負担部分に応じて分割して負担する。
全員無負担部分の場合(2項)
求償者および他の資力ある者がいずれも負担部分を有しない場合は、償還不能部分を等しい割合で分割負担する。
求償者過失の場合の分担拒絶(3項)
償還を受けられないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に分担を請求できない。
趣旨
無資力者の存在による損失を一人だけが負担しないよう公平に分散する。ただし求償者の過失で取り逃した分は自己負担。
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連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第四百四十二条第一項の求償権を行使することができる。
免除・時効後の求償権存続
連帯債務者の一人に対し債務免除がされ、または時効が完成した場合でも、他の連帯債務者はその一人に対し442条1項の求償権を行使できる。
趣旨(改正による明確化)
改正前は免除・時効に絶対効があり求償も問題化したが、改正で相対効化された結果(441条)、免除・時効を受けた債務者も負担部分の求償義務を負うことを明文化。
実質的負担
免除・時効を受けた連帯債務者は債権者には支払わなくて済むが、他の連帯債務者から内部的に求償を受ける。実質的負担は免れない構造。
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保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
保証債務の意義(1項)
保証人は主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
書面要件(2項)
保証契約はその内容を記載した書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じない。
性質
①主たる債務との別個独立の債務、②付従性(主たる債務に内容・存在において従属)、③補充性(催告・検索の抗弁)、④随伴性。
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保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
規律
保証債務は主たる債務の利息・違約金・損害賠償その他従たるすべてを包含する(1項)。保証人は保証債務についてのみ違約金・損害賠償額を約定できる(2項)。
趣旨
保証の付従性の量的側面。主債務に従属して内容が決まる原則を明示。2項は保証債務独自の制裁条項設定を許容し、契約の自由を保障。
付従性の3側面
①成立上(主債務なくして保証なし)、②内容上(本条1項・主債務以下)、③消滅上(主債務消滅で保証消滅)。本条は内容上の付従性。
2項の意義
違約金・損害賠償額の特約は「保証債務についてのみ」可。主債務を超える内容にも法定可能の例外。例: 主債務不履行時に保証人独自の遅延損害金率を設定。
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保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。
2主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。
保証債務の付従性(1項)
保証人の負担が主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減縮される。
主たる債務の加重への影響なし(2項)
主たる債務の目的・態様が保証契約締結後に加重されても、保証人の負担は加重されない。
趣旨
保証人保護。保証契約時の合意内容を超える負担を負わせない。
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行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。
規律
行為能力の制限により取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約時に取消原因を知っていたときは、主債務不履行又は債務取消しの場合に、主債務と同一目的の独立債務を負担したものと推定する。
趣旨
通常は主債務取消しなら付従性により保証も消滅すべきだが、悪意保証人については独立の担保を成立させ債権者を保護する例外規律。保証人が制限行為能力を承知で引き受けた以上、債権担保責任を果たすべきとの政策。
要件
①主債務が制限行為能力による取消可能、②保証契約時に取消原因を保証人が知っていた(悪意)、③主債務不履行又は取消し。要件充足で独立債務負担が推定。
効果
保証人は主債務取消しでも独立債務として履行責任を負う。推定なので反証可(独立債務負担意思がなかった証明)。詐害行為取消等の他の取消原因には類推されないのが通説。
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債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
2行為能力者であること。
3弁済をする資力を有すること。
4保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
5前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。
規律
債務者が保証人を立てる義務を負う場合、保証人は①行為能力者、②弁済資力を有する者でなければならない(1項)。資力を欠くに至ったとき債権者は要件具備者への代替を請求できる(2項)。債権者が指名した場合は不適用(3項)。
適用範囲
本条は「保証人を立てる義務がある場合」に限られる。任意保証ではこの要件は適用されない。法定保証や契約上の保証人提供義務がある場合の保証人適格要件。
要件の意義
①行為能力者(取消リスク排除)、②弁済資力(保証目的の実効性確保)。両要件は債権担保の実質を確保する政策。
3項の例外
債権者自ら指名した場合、債権者が自己責任で人選しているため要件を強制しない。債権者の自治と保証目的の調整。
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債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。
規律
債務者は、前条1項各号の要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。
趣旨
保証人を立てる義務の代替履行。人的担保の確保が困難な場合、物的担保(抵当・質)等の他の担保で債権者の利益を満たせる構造を提供。
「他の担保」の範囲
物的担保(抵当権・質権・譲渡担保)が典型。他の保証人(要件充足)でも可。担保価値は本来予定された保証と同等以上が必要。
債権者の承諾
代替担保は債権者の承諾を要するのが通説。担保の種類選択が債権者の利害に直結するため、債務者の一方的選択は許されない。
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債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。
2ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
催告の抗弁
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人はまず主たる債務者に催告すべき旨を請求できる。
例外
①主たる債務者が破産手続開始決定を受けた場合、②その所在が知れない場合は催告の抗弁不可。
連帯保証では不適用
454条により連帯保証人は催告・検索の抗弁を有しない。
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債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
検索の抗弁
債権者が452条により主たる債務者に催告した後でも、保証人が主たる債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易であることを証明したときは、債権者はまず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
立証責任
弁済資力・執行容易性の立証は保証人が負う。
連帯保証では不適用
454条。
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保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
連帯保証の特則
保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、452条(催告の抗弁)および453条(検索の抗弁)の規定は適用されない。
性質
連帯保証も保証であり付従性・随伴性を有するが、補充性は否定される。連帯債務との違いは主たる債務との付従性の有無。
商事保証
商法511条2項により商行為による保証は連帯保証となる。
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第四百五十二条又は第四百五十三条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。
規律
452条催告抗弁・453条検索抗弁により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行を怠ったため主債務者から全部弁済を得られなかったとき、保証人は直ちに催告又は執行をすれば弁済を得られた限度で義務を免れる。
趣旨
催告・検索抗弁の実効性確保規定。抗弁が単なる手続的遅延に終わらず、債権者の怠慢による回収不能リスクを保証人が負わないことを保障。
要件
①保証人の催告又は検索の請求・証明、②債権者の懈怠(催告・執行の怠り)、③主債務者からの回収不能、④懈怠と回収不能の因果(直ちに行えば弁済を得られた限度)。
効果
懈怠がなければ回収可能であった限度で保証債務消滅。連帯保証人には452条・453条が適用されないため、本条の保護も及ばない(連帯保証は補充性なし)。
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数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
数人の保証人と分別の利益
数人の保証人が各別の行為により債務を負担した場合でも427条が適用される。427条は分割債権・分割債務の原則を定めるため、各保証人は債務額を頭割りした分のみ責任を負う(分別の利益)。
分別の利益の意義
1000万円の主債務に保証人が4人なら、各保証人は250万円のみ責任を負うのが原則。共同保証人間の責任分担を画定する保証人保護の中核ルール。
分別の利益が認められない場合
①連帯保証(458条により連帯債務の規定準用)、②保証連帯(保証人間の連帯特約)、③主債務が不可分の場合、はいずれも分別の利益なし。実務上は連帯保証が一般化しており、分別の利益が実際に機能する場面は限定的。
「各別の行為」の意味
同時に共同で保証契約を締結した場合だけでなく、別個の契約で順次保証人となった場合も含む。共同保証であるか否かは保証契約の成立態様ではなく主債務の同一性で判断する判例実務。
この条文の練習問題を解く
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
3主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
規律
主債務者に対する履行請求その他の時効完成猶予・更新は保証人にも効力(1項)。保証人は主債務者の抗弁を援用できる(2項)。主債務者が相殺権・取消権・解除権を有するとき、その行使で主債務者が債務を免れる限度で保証人は履行拒絶できる(3項)。
付従性の手続的・実体的反映
1項は時効中断効の付従性(債権者保護)、2項は抗弁の付従性、3項は反対債権存在の抗弁(保証人独自の履行拒絶権)。2020改正で3項を整備(旧法では相殺援用を認めていた点を理論的に整理)。
2項・抗弁の援用
主債務者が主張できる抗弁(弁済・消滅時効・同時履行等)を保証人は自己のために援用可。主債務に付従する保証債務の論理的帰結。
3項・履行拒絶権
主債務者が相殺権等を有していても、保証人は代位行使不可。代わりに主債務者が権利行使すれば消滅すべき限度で履行拒絶権を取得。2020改正で「相殺援用」から「履行拒絶」へ理論的整理。
この条文の練習問題を解く
第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
規律
438条(更改の絶対効)、439条1項(相殺の絶対効)、440条(混同の絶対効)、441条(その他相対効)の規定は連帯保証人について生じた事由について準用する。
趣旨
連帯保証人は連帯債務的性質を持つため、連帯債務の絶対効規定を準用。通常の保証より一体性が強い構造を反映。
準用される絶対効
①438条更改、②439条1項相殺、③440条混同。これらは連帯保証人について生じれば主債務者・他の連帯保証人にも効力が及ぶ。
441条原則相対効
上記以外は相対効(他の連帯債務者に影響しない)。2020改正で履行請求の絶対効が廃止され、連帯保証における時効完成猶予等は457条1項の主債務者基準が中心となる。
この条文の練習問題を解く
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
規律
委託を受けた保証人の請求があったとき、債権者は遅滞なく、主債務の元本・利息・違約金・損害賠償等の不履行有無・残額・弁済期到来額を保証人に情報提供しなければならない。
2020年改正・趣旨
保証人保護のため新設された情報提供義務。保証人は主債務者の履行状況を知る術が乏しく、不意打ち的に履行請求を受けるリスクがあったため、債権者に積極的開示義務を課した。
要件
①委託を受けた保証人(受託保証人)、②保証人の請求。委託のない保証人には適用なし(自発的保証への配慮)。法人保証も適用対象。
義務違反の効果
条文上明示の効果規定はないが、債務不履行責任(415)として損害賠償の対象。情報未提供で保証人が不利益を受けた場合の賠償根拠。
この条文の練習問題を解く
主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
2前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。
3前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。
規律
主債務者が期限の利益を喪失したとき、債権者は保証人に対し利益喪失を知った時から2か月以内に通知する義務を負う(1項)。期間内通知を怠れば、喪失時から通知時までの遅延損害金(喪失なくしても生じる分を除く)の保証債務履行請求ができない(2項)。法人保証には不適用(3項)。
2020年改正・趣旨
期限の利益喪失は遅延損害金累積の起点となり保証人に重大な影響を与える。保証人保護のため、債権者に通知義務を課し、懈怠の場合に保証範囲を制限する経済的サンクションを設計。
通知期間
「知った時から2か月以内」。知らなければ義務発生しない。債権者の主観的認識を基準とする規律で、調査義務まで課すものではない。
懈怠の効果
通知遅延期間中の遅延損害金分を保証債務から減免。主債務元本・利息・期限利益喪失なくとも生じる遅延損害金は依然請求可。保証人保護と債権者の本来の地位のバランス。
この条文の練習問題を解く
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
2第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
委託保証人の求償(1項)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合に、主たる債務者に代わり弁済等の財産的出捐をしたときは、出捐額および費用・利息等につき主たる債務者に求償できる。
求償範囲(2項)
442条2項の規定が準用される(支出財産・避けられない費用・法定利息・損害賠償)。
この条文の練習問題を解く
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。
2この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
3前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
4第一項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。
規律
委託受託保証人が主債務弁済期前に債務消滅行為をしたとき、主債務者がその当時利益を受けた限度で求償権を有する(1項前段)。主債務者が消滅行為日以前に相殺原因を有していたなら、保証人は債権者に当該相殺によって消滅すべき債務の履行を請求できる(1項後段)。法定利息は弁済期以後分のみ求償可(3項)。求償権行使は弁済期以後に限る(4項)。
2020年改正・趣旨
事前弁済保証人の求償権を明確化。委託受託保証人でも弁済期前の弁済は主債務者の意思に反し得るため、求償範囲・時期を制限する規律を整備。
範囲制限
①「利益を受けた限度」(消滅行為時点での主債務者の現存利益)、②法定利息は弁済期以後分のみ。早期弁済による主債務者の不利益を排除。
行使時期制限(4項)
求償権行使は主債務弁済期以後に限定。主債務者は期限の利益を保障される。早期弁済保証人の早期回収は許されない構造。
この条文の練習問題を解く
保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
2主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
3債務が弁済期にあるとき。
4ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
5保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。
規律
委託受託保証人は、①主債務者の破産開始決定+債権者の破産配当不参加、②債務が弁済期にあるとき(ただし保証契約後の許与期限は対抗不可)、③過失なく債権者に弁済すべき旨の裁判言渡し、のいずれかで主債務者に事前求償権を行使できる。
趣旨
保証人が現実弁済前から主債務者に対し求償権を行使できる例外的制度。保証人の弁済リスクが現実化した場合に、事前に主債務者の資力を確保する手段を提供。
3類型
①破産配当不参加(債権者が破産に参加しないため保証人弁済不可避)、②弁済期到来(債権者請求が近い)、③弁済裁判(敗訴判決による弁済義務確定)。いずれも保証人弁済の現実的危険が確定的。
461条による主債務者側の対抗
事前求償を受けた主債務者は、債権者完全弁済前は保証人に担保提供・免責請求でき、又は供託等で求償義務を免れる(461)。事前求償の濫用を防ぐ均衡規定。
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前条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。
2前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。
規律
460条による事前求償を受けた主債務者は、債権者が全部弁済を受けない間、保証人に担保提供を求め、又は免責を得させる請求ができる(1項)。主債務者は供託・担保提供・免責付与により償還義務を免れることができる(2項)。
趣旨
事前求償の濫用防止と二重弁済リスクの回避。主債務者が保証人に支払っても、保証人が債権者に支払わない場合、主債務者は二重弁済のリスクを負う。担保提供・免責請求でリスクを管理。
1項・主債務者の防御
①保証人への担保提供請求(保証人が確実に債権者に弁済するための担保)、②免責請求(主債務者の保証人への弁済と引換えに、主債務者が債権者から免責される措置)。
2項・免脱手段
①供託(債権者に直接弁済代用)、②担保提供(保証人への担保で代替)、③免責付与(保証人が主債務を免責される措置)。いずれかで主債務者は事前償還を免れる。
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第四百五十九条の二第一項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。
2主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。
3この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
4第四百五十九条の二第三項の規定は、前二項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。
規律
459_2第1項は委託を受けない保証人の債務消滅行為に準用(1項)。主債務者の意思に反する保証人は、主債務者が現に利益を受けている限度で求償権を有する(2項前段)。主債務者が求償日以前に相殺原因を有していたなら、保証人は債権者に相殺消滅債務の履行請求できる(2項後段)。459_2第3項は本条1項・2項の弁済期前消滅行為に準用(3項)。
趣旨
委託なき保証人(事務管理類似)の求償権を制限する規律。主債務者意思の有無で「当時の利益」と「現存利益」を使い分け、主債務者保護の程度を差別化。
1項・意思に反しない保証
459_2第1項準用。委託あり保証人と同じく「消滅行為時の利益限度」で求償可。委託がないものの主債務者意思に反しない場合の取扱い。
2項・意思に反する保証
「現に利益を受けている限度」のみ。求償時点の現存利益基準で、それ以前に主債務者が反対債権・抗弁で消滅させ得た部分は求償不可。最も制限的な扱い。
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保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。
2この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
3保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
4保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
規律
委託受託保証人が主債務者に事前通知せず消滅行為をしたとき、主債務者は債権者対抗事由をもって保証人に対抗できる(1項前段)。相殺対抗時は保証人が債権者に相殺消滅債務の履行請求できる(1項後段)。委託受託保証人に消滅行為通知を怠ったため保証人が善意で消滅行為をしたとき、保証人は自己の行為を有効とみなせる(2項)。保証人消滅行為後の主債務者消滅行為は、保証人が主債務者意思に反する場合、又は保証人が事後通知を怠ったため主債務者が善意で消滅行為をしたときも、主債務者は自己行為を有効とみなせる(3項)。
趣旨
保証人・主債務者間の通知義務違反による二重弁済リスクの調整規律。事前通知・事後通知の懈怠に対応する複数の救済を設計。
1項・事前通知懈怠
委託受託保証人が主債務者に事前通知せず弁済すると、主債務者がもともと持っていた抗弁(弁済・相殺等)を保証人に対抗される。保証人の独走を抑止する規律。
2項・債権者の通知懈怠
債権者が主債務者弁済の事実を保証人に通知しなければ、保証人の二重弁済を保証人有利に扱う(保証人が自己の弁済を有効とみなせる)。本条は2020改正で2項に主体を変更(債権者ではなく主債務者の通知義務として再構成)。実務上は主債務者通知懈怠で同様の処理。
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連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。
規律
連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。
趣旨
連帯債務者の一部のみの保証人が弁済した場合の他連帯債務者への求償範囲を明確化。保証された主債務者以外の連帯債務者は本来直接の主債務者ではないため、その負担部分に限定。
求償構造
保証人が全額弁済→保証された主債務者には全額求償可→主債務者が他の連帯債務者に負担部分求償可。本条は中間段階を省略して、保証人が他の連帯債務者に直接求償する場合の範囲を負担部分に限定。
具体例
A・B・Cが各300万円ずつ負担の900万円連帯債務。Aの保証人XがX→900万円弁済→XはAに900万円求償権。Xは本条によりB・Cにそれぞれ300万円(負担部分)を直接求償可。
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第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
共同保証人間の求償権(1項)
442条〜444条の連帯債務求償規定は、数人の保証人がある場合に①主債務が不可分のため、又は②各保証人が全額を弁済すべき特約があるため、一人の保証人が全額・自己の負担部分超過額を弁済したときに準用される。
対象となる場面
不可分債務の保証・保証連帯特約のある場合。これらは連帯保証ではないが各保証人が全額弁済義務を負う点で連帯債務に類似するため、求償権ルールを準用する。
通常の保証連帯なき場合(2項)
互いに連帯しない保証人の一人が全額・自己の負担部分超過額を弁済したときは、462条(事前通知のない弁済の求償制限)を準用する。本来分別の利益のある保証人が他人の分まで弁済した場合の事後調整。
実務での意義
実務では連帯保証が一般化しており本条が直接適用される場面は限定的だが、不可分保証や保証連帯の典型例(家族間の連帯保証契約等)で重要となる。
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一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
個人根保証契約の意義(1項)
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)であって保証人が法人でないものを個人根保証契約という。
極度額の定め(2項本文)
個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じない。
書面要件(3項)
極度額の定めは保証契約の書面・電磁的記録の方式によらなければ効力を生じない。
趣旨
保証人保護。包括根保証による予期せぬ過大負担を防止する。
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個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
2個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。
3個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。
4ただし、元本確定期日の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは、この限りでない。
5第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。
規律
個人貸金等根保証契約の元本確定期日が契約締結日から5年経過後の日と定められれば、その定めは無効(1項)。期日定めなき場合(無効含む)は締結日から3年経過日が確定期日(2項)。変更後期日が変更日から5年経過後なら変更無効(3項本文)。ただし元本確定期日前2か月以内の変更で、変更後期日が変更前期日から5年以内なら有効(3項但書)。書面要件等を準用(4項)。
趣旨
個人保証人保護の根幹。期間制限により保証人の責任範囲を予測可能化し、無期限・長期間の根保証から個人を守る。5年上限と3年法定確定期日のセット規律。
5年上限の意義
個人貸金等根保証は5年を超える元本確定期日設定が無効。継続的取引の保証責任が無限に拡大することを防ぐ強行規定。法人保証は対象外(個人保護のみ)。
3年法定確定期日
期日定めがなければ自動的に締結日から3年経過日が確定期日。期日設定の不備による無期限化を防止。書面・電磁的記録要件(446条2・3項準用)と合わせて要式行為性を確保。
この条文の練習問題を解く
次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。
2ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
3債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
4保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
5主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
6前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。
7ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
8債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
9主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
規律
個人根保証契約は次の場合に元本確定: ①債権者が保証人財産につき強制執行・担保権実行申立(開始時)、②保証人破産開始決定、③主債務者又は保証人の死亡(1項)。個人貸金等根保証契約はさらに: ④債権者が主債務者財産につき強制執行・担保権実行申立(開始時)、⑤主債務者破産開始決定でも確定(2項)。
趣旨
保証人の責任範囲を一定の事由発生時で打ち切る規律。継続的取引による責任拡大を強制執行・破産・死亡等の客観的事由で確定させ、保証人の予測可能性を確保。
1項・全個人根保証共通
①保証人側の事情(強制執行・破産)と②死亡(主債務者・保証人)の両事由で確定。死亡は相続人への保証承継を制限する規律として特に重要。
2項・個人貸金等根保証の追加事由
貸金等保証は危険性が高いため、主債務者側の事情(強制執行・破産)でも確定。一般個人根保証より広く保証人保護を強化。
この条文の練習問題を解く
保証人が法人である根保証契約において、第四百六十五条の二第一項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
2保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第四百六十五条の三第一項若しくは第三項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
3主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
4前二項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。
規律
保証人が法人の根保証契約で極度額定めなき場合、その保証人の主債務者に対する求償権に係る債務を主債務とする保証契約は無効(1項)。法人保証で貸金等債務含み、確定期日定めなき又は無効の場合、その求償権を主債務とする保証契約も無効(2項本文)。求償権に係る債務を含む根保証契約も同様(2項但書)。求償債務保証人が法人なら不適用(3項)。
趣旨
法人保証会社が個人を再保証として連れてくる「迂回保証」スキームを規制。法人根保証では極度額・確定期日が不要だが、求償権担保のため個人を更に保証人にすれば実質的に個人根保証の規制を潜脱できるため、これを無効化。
迂回保証規制の構造
①法人A(債権者)→法人B(根保証会社、極度額・確定期日定めなし許容)、②法人B→個人C(求償権の保証)。Cは実質的に法人Bと同じ責任を負わされるため、規制を潜脱。本条はCの保証を無効として個人保護を貫徹。
3項の例外
求償債務保証人も法人なら本条不適用。個人保護目的の規定であるため、法人間は規制対象外。
この条文の練習問題を解く
事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
2前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
3保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
4保証契約(ロに掲げるものを除く。)
5主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
前条第一項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証人の前で、同条第二項第一号イ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。
2この場合における同項第二号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
3前条第一項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第二項第二号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
4公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
規律
465_6第1項の保証契約・根保証契約の保証人が口がきけない者である場合、公証人前で口授事項を通訳人通訳により申述又は自書し、口授に代える(1項)。耳が聞こえない者である場合、公証人は筆記内容を通訳人通訳により保証人に伝え、読み聞かせに代えられる(2項)。公証人は方式に従って作成した旨を付記(3項)。
趣旨
口頭言語によらない意思確認手段を整備し、口話・聴力に障害のある者でも公正証書による保証が可能となるようにする障害者配慮規定。
口がきけない者
通訳人通訳による申述又は自書で口授代替。意思の真摯性確保のため公証人前での手続。
耳が聞こえない者
公証人が筆記後、通訳人通訳で内容を伝達。読み聞かせの代替手段。読み聞かせの趣旨(保証人の理解確認)を満たすための代替。
この条文の練習問題を解く
第四百六十五条の六第一項及び第二項並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。
2主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
3前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
規律
465_6第1項・2項及び465_7は、事業貸金等債務保証人の主債務者求償権に係る債務を主債務とする保証契約に準用(1項前段)。求償権に係る債務を含む根保証契約も同様(1項但書)。求償債務保証人が法人なら不適用(2項)。
趣旨
465_5(迂回保証規制)と並ぶ第二の規律。求償権担保のための更なる保証についても公正証書要件を課し、潜脱を防止する。
迂回保証と公正証書
465_6が直接の事業貸金等保証を要式化したのに対し、本条は求償権担保保証も要式化。実質的事業保証性を持つ場合すべてに公正証書要件を貫徹。
465_5との関係
465_5は迂回保証の無効化(極度額・確定期日定めなき法人根保証のみ)、本条は迂回保証の要式化(事業貸金等のみ)。重複的保護で個人保証人保護を多層化。
この条文の練習問題を解く
前三条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
2主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
3主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
4主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者
5主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
6主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
7株式会社以外の法人が主たる債務者である場合におけるイ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
8主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
規律
465_6〜465_8(公正証書要件)は、次の保証人については適用しない: ①主債務者法人の理事・取締役・執行役等、②主債務者法人の支配株主等、③主債務者個人と共同事業者又は現に従事する配偶者。
趣旨
実質的経営者・共同事業者は事業内容を熟知し、保証の重大性を理解しているため公正証書要件不要との立法政策。事業に責任を負うべき者からの保証保護を緩和。
経営者類型
①法人代表者・取締役クラス、②過半数議決権保有者(直接又は実質支配)、③共同事業者・現従事配偶者。形式的肩書ではなく実質的経営参画を基準。
配偶者要件の厳格性
「主たる債務者が行う事業に現に従事している配偶者」のみ。単なる法律上の配偶者は対象外。立法経緯で「現に従事」要件を厳格化し、配偶者保護を強化。
この条文の練習問題を解く
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
2財産及び収支の状況
3主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
4主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
5主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。
6前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。
規律
主債務者は、事業のため負担する債務を主債務とする保証・根保証の委託をするときは、委託を受ける者に①財産及び収支状況、②他債務の有無・額・履行状況、③他担保提供の有無・内容、を情報提供しなければならない(1項)。主債務者の情報未提供・虚偽情報により保証人が誤認して契約申込み・承諾をした場合、債権者が情報懈怠・虚偽を知り又は知り得たときは、保証人は保証契約を取り消せる(2項)。法人保証人は不適用(3項)。
2020年改正・趣旨
事業保証の重大性に照らし、保証人が主債務者の経済状況を正確に把握する権利を保障。主債務者に積極的情報提供義務を課し、債権者の認識を要件に取消可能とする。
情報提供事項
①主債務者の財産・収支(保証履行の現実的可能性)、②他債務(保証人の二重・三重保証リスク)、③他担保(保証人の責任分担見込み)。事業保証判断に不可欠の3要素。
取消要件
①主債務者の情報懈怠・虚偽、②保証人の誤認、③誤認による申込み・承諾、④債権者の悪意・有過失。債権者の認識要件が課されることで、債権者は主債務者の情報提供を確認する間接的義務を負う。
この条文の練習問題を解く
債権は、譲り渡すことができる。
2ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
3当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
4前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
5前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。
債権の譲渡可能性(1項)
債権は原則として譲渡可能。性質上譲渡を許さないものを除く。
譲渡制限特約の効力(2項)
譲渡制限特約があっても債権譲渡の効力は妨げられない(譲渡有効)。
悪意・重過失譲受人に対する履行拒絶(3項)
債務者は譲渡制限特約につき悪意又は重過失の譲受人に対し、債務の履行を拒絶し、譲渡人への弁済等で免責される。
供託・催告の特則(4項)
悪意・重過失譲受人による催告により債務者は履行又は供託を選択できる。
民法
債権譲渡の対抗要件と二重譲渡における優先関係
民法
債権譲渡禁止特約と善意の第三者の保護
この条文の練習問題を解く
債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
2前項の規定により供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。
3第一項の規定により供託をした金銭は、譲受人に限り、還付を請求することができる。
預貯金債権についての譲渡制限の意思表示の効果
預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、その意思表示がされたことを知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗できる(譲渡無効)。
趣旨
預貯金は金融機関の事務処理上譲渡禁止特約が必須であり、466条1項本文の一般原則(譲渡有効)の例外として譲渡制限の効力を強化する。
差押え債権者には対抗不可(3項)
差押え債権者には対抗できない。
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前条第一項に規定する場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人(同項の債権の全額を譲り受けた者であって、その債権の譲渡を債務者その他の第三者に対抗することができるものに限る。)は、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができる。
2この場合においては、同条第二項及び第三項の規定を準用する。
譲渡人破産時の供託請求権(2017改正で新設)
譲渡制限債権につき譲渡人について破産手続開始決定があったとき、債権全額を譲り受けた譲受人(対抗要件を備えた者)は、悪意・重過失でも債務者に債権全額相当の金銭を債務履行地の供託所に供託させることができる。
立法趣旨
譲渡制限債権の譲受人は債務者に対し履行請求できないのが原則(466条3項)だが、譲渡人の破産により譲渡人への弁済が破産財団に組み入れられる事態を回避し、譲受人の供託請求により取引の安定を確保する。
悪意・重過失の譲受人の保護
通常は譲渡制限の悪意・重過失譲受人は譲渡人にしか請求できないが、譲渡人破産時は供託請求権を行使できる点で例外的保護。倒産局面での実務的解決を図る規定。
前条2項・3項の準用
供託請求された債務者は供託義務を負い(466条2項類推)、供託後は譲受人が供託金還付請求できる(同条3項類推)。
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第四百六十六条第三項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
2前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。
譲渡制限債権への差押え(1項)
466条3項(譲渡制限の悪意・重過失譲受人に対する履行拒絶)は、譲渡制限債権を差し押さえた差押債権者には適用されない。差押債権者は譲渡制限の対抗を受けない。
立法趣旨
譲渡制限は当事者の合意に基づくが、強制執行は国家による強制的権利実現であり、当事者合意で排除させてはならない。判例(最判平10・9・10)の確立した法理を明文化。
悪意第三者の差押の例外(2項)
ただし、譲受人その他第三者が譲渡制限を知り又は重過失で知らなかった場合に、その者が差押をしたときは、債務者は履行を拒め、譲渡人への弁済等で差押債権者に対抗できる。
2項の趣旨
悪意・重過失譲受人が差押に転じることで譲渡制限を潜脱するのを防ぐ。譲受人としての地位より差押債権者として有利な地位を得る抜け道を封じる。
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預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。
2前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
預貯金債権の譲渡制限の対抗力(2017改正で新設)
預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、466条2項(譲渡制限の効力否定)にかかわらず、悪意・重過失の譲受人その他第三者に対抗できる。
原則と異なる強い譲渡制限
通常の譲渡制限債権は466条2項により譲渡自体は有効で、悪意第三者に対しても債務者の履行拒絶等の限定的効果のみだが、預貯金債権は譲渡自体が悪意・重過失第三者に対し無効。
立法趣旨
預貯金は不特定多数との大量取引で、譲受人の本人確認・反社チェック等の負担が膨大となるため、譲渡制限を強化して取引の効率性と安全性を確保。金融実務の要請に応じた特則。
差押債権者には適用なし(2項)
預貯金債権の譲渡制限も差押債権者には対抗できない。差押に対する保護否定は466_4と共通のルール。
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債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
3前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。
将来債権譲渡の許容(1項)(2017改正で新設)
債権譲渡は意思表示時に債権が現に発生していることを要しない。将来発生する債権の譲渡を明文で認めた規定。判例(最判平11・1・29)の確立した法理を明文化。
譲受人の当然取得(2項)
意思表示時に債権が未発生でも、譲受人は発生した債権を当然に取得する。発生と同時に譲受人に帰属し、別途の譲渡行為は不要。
対抗要件具備時までの譲渡制限(3項)
467条の対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示がなされたときは、譲受人その他第三者は譲渡制限を知っていたものとみなされ、466条3項(預貯金の場合は466_5第1項)が適用される。
実務での意義
売掛債権・賃料債権等の集合債権譲渡担保の有効性が立法的に確認された。金融実務での集合債権担保の利用拡大に寄与する。
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債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
債務者対抗要件(1項)
譲渡人から債務者への通知又は債務者の承諾。
第三者対抗要件(2項)
確定日付ある証書による通知又は承諾。
複数譲受人間の優劣
確定日付ある通知が債務者に到達した日時の先後で決する(最判昭和49・3・7)。同時到達は両譲受人が全額請求可能、債務者は弁済すれば免責(最判昭和55・1・11)。
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債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2第四百六十六条第四項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
債権譲渡における債務者の抗弁(1項)
債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できる。
改正のポイント
改正前は「異議をとどめない承諾」をした場合は抗弁を放棄したとされたが、改正後はその制度を廃止。承諾しても抗弁は当然には消滅しない。
効果
弁済・相殺・取消し・無効等の事由を譲受人にも主張可能。
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6根保証契約
7主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
8公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
9保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。
10ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
11公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
12前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
規律
事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約又は事業貸金等債務を含む根保証契約は、締結に先立つ1か月以内に作成された公正証書で保証人意思を表示しなければ無効(1項)。公正証書方式: ①口授(保証契約は債権者・債務者・元本・利息・違約金等・全額履行意思/根保証はさらに範囲・極度額・確定期日等)、②公証人筆記・読み聞かせ又は閲覧、③保証人承認・署名押印(署名不能なら付記)、④公証人方式付記・署名押印(2項)。法人保証は不適用(3項)。
2020年改正・趣旨
経営者でない個人が情緒的に事業保証を引き受けて破産するリスクを防止する制度。公正証書による要式行為化で、保証人の真摯な意思確認を強制。
公正証書要件の意義
①公証人による意思確認、②保証範囲・責任の口頭明示、③1か月内の作成(直前性)。事業保証の重大性に見合う厳格な手続。
対象範囲
「事業のため負担した貸金等債務」の保証・根保証のみ。事業性のない個人保証や貸金等以外の保証には不適用。465_9が例外類型(経営者等)を規定。
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