条文を読み込み中...
条文を読み込み中...
全 1372 条— 13 / 28 ページ
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。
2ただし、第三者の権利を害することはできない。
3前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
4第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
5解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
原状回復義務(1項本文)
解除権を行使したときは、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負う。解除の本質的効果として双方が既履行給付を返還する。
第三者保護(1項ただし書)
第三者の権利を害することはできない。判例(最判昭33・6・14)は対抗要件具備した第三者は善意悪意を問わず保護されると解する。解除の遡及効と取引安全の調整。
金銭返還への利息(2項)
金銭返還の場合、受領時から利息を付さなければならない。原状回復の完全性を確保する。
物の果実返還(3項)(2017改正で新設)
金銭以外の物を返還するときは、受領時以後に生じた果実も返還しなければならない。判例実務を明文化。
損害賠償併存(4項)
解除権の行使は損害賠償の請求を妨げない。原状回復+損害賠償の両立を確認。
この条文の練習問題を解く
第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。
規律
第533条の規定は、前条の場合について準用する。
趣旨
解除に伴う原状回復義務(545条)は双方が負うことが多い(金銭返還と目的物返還等)。これらは対価関係に立つため、同時履行の抗弁権(533条)を準用して給付の公平を確保。
判例
解除後の原状回復義務だけでなく、解除前から既に発生していた相手方の損害賠償義務との関係でも同時履行の関係を認める(最判昭和47.9.7等)。
この条文の練習問題を解く
解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
2この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。
規律
解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は消滅する。
趣旨
解除権を長期間放置されると、契約相手方の地位が不安定になる。相手方からの確答催告制度を設け、無期限の不確定状態を打破する手段を法定。
効果
催告期間内に解除の意思表示がなければ解除権は失効。期間内に解除すれば原則どおり解除の効力発生。
この条文の練習問題を解く
解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。
2ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない。
規律
解除権を有する者が故意もしくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、もしくは返還することができなくなったとき、または加工もしくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない。
趣旨
解除権者が自ら原状回復不能の事態を招いた場合、解除を許すと相手方が一方的に不利益を被る。信義則的観点から解除権を消滅させ、目的物返還不能なら解除権行使を否定。
例外
解除権の存在を知らずに目的物を処分・改造した場合は、解除権者を非難できないため、解除権は消滅しない(ただし書)。
この条文の練習問題を解く
定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
2定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
3定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
4前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
定型約款の意義(1項)
定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体。
みなし合意(1項各号)
定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、または定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときは、定型約款の個別条項について合意したものとみなす。
不当条項の不合意擬制(2項)
信義則に反して相手方の利益を一方的に害する条項は合意しなかったものとみなされる。
この条文の練習問題を解く
定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。
2ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
3定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。
4ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
規律
定型取引を行いまたは行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前または定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない(1項本文)。
趣旨
定型約款は548_2により個別合意なしでも契約内容となるため、相手方の内容認知機会を担保する制度として開示請求権を設ける。情報の非対称性を是正する手続的保護。
違反の効果
定型取引合意の前の開示請求を準備者が正当な理由なく拒んだ場合は、548_2の組入れ効果(個別条項のみなし合意)は生じない(2項)。合意後の請求拒絶は別途債務不履行責任が問題。
例外
準備者が既に相手方に定型約款を記載した書面・電磁的記録を提供していたときは、開示請求に応じる義務はない(1項ただし書)。
この条文の練習問題を解く
定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
2定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
3定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
4定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
5第一項第二号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。
6第五百四十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による定型約款の変更については、適用しない。
規律
定型約款準備者は、(1)変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または(2)変更が契約目的に反せず、かつ、変更の必要性・変更後の内容の相当性・本条の規定により変更可能である旨の定めの有無その他の事情に照らして合理的なものであるときは、定型約款の変更により、変更後の条項について合意があったものとみなし、個別合意なしに契約内容を変更できる(1項)。
趣旨
長期継続する定型取引(保険・通信契約等)では、社会情勢変化に応じた約款変更が必要だが、個別合意取得は実務上困難。一般利益適合性または合理性を要件として、一方的変更を法的に正当化する制度。
手続要件
準備者は変更の効力発生時期を定め、変更内容・効力発生時期をインターネット等で周知しなければならない(2項)。一般利益適合変更以外は、効力発生時期到来前の周知を効力要件とする(3項)。
548_2第2項適用除外
本条による変更には548_2第2項(不当条項の組入れ否定規律)は適用されない(4項)。変更内容の合理性は本条1項2号で別途審査されるため。
この条文の練習問題を解く
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
贈与の意義
当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し相手方が受諾することにより効力を生ずる契約。
性質
諾成契約・無償契約・片務契約。書面によらない贈与は550条により各当事者が解除できる。
この条文の練習問題を解く
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。
2ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
書面によらない贈与の解除権
書面によらない贈与は、各当事者がいつでも解除できる。贈与の軽率性防止のための形式要件。
立法趣旨
贈与は無償行為で贈与者の経済的負担が大きいため、書面によらない口頭贈与には軽率性のリスクが高い。書面化を促すと同時に、書面なき贈与には事後的取消し機会を残す。
履行終了部分の例外(ただし書)
履行が終わった部分は解除できない。既履行部分は当事者の意思が確固たるものとして確定し、原状回復による法律関係の不安定化を防ぐ。
「履行が終わった」の意義
判例(最判昭40・3・26)は動産は引渡し、不動産は引渡し又は登記移転で履行終了。一部履行は当該部分のみ解除不可、未履行部分は解除可能。
この条文の練習問題を解く
贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
規律
贈与者は、贈与の目的である物または権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡しまたは移転することを約したものと推定する(1項)。負担付贈与については、贈与者は負担の限度において、売主と同様の担保責任を負う(2項)。
趣旨
贈与は無償契約のため、贈与者の担保責任を限定。「特定した時の状態」基準は2017年改正で導入され、契約適合性概念(562条)と整合しつつ無償性を加味。負担付贈与は対価関係があるため、負担の限度で有償契約と同様の責任を負わせる。
推定の効果
「推定」のため反証可能。当事者間で別段の合意(より重い担保責任を負う旨等)があれば優先する。
この条文の練習問題を解く
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
規律
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。
趣旨
定期贈与(毎月一定額を贈与する等)は当事者の人的信頼関係に基づくため、死亡で当然消滅。相続による継続を否定し、贈与者の遺族に負担を残さない。
対比
通常の贈与は引渡し前なら書面なきものは解除可(550条)だが、履行済み部分は確定。定期贈与は将来部分が一律消滅する点で特殊。
この条文の練習問題を解く
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
規律
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
趣旨
負担付贈与は受贈者が一定の負担(債務)を負う点で対価性があり、純粋無償ではない。双務契約規定(同時履行抗弁・危険負担・解除)を準用して当事者の対価関係を保護。
準用される主な規定
533条同時履行抗弁、536条危険負担、541条催告解除、542条無催告解除等。負担不履行を理由とする贈与解除が可能になる。
この条文の練習問題を解く
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
規律
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与(死因贈与)については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
趣旨
死因贈与は経済的機能が遺贈と類似(死亡を契機とする無償財産移転)するため、遺贈規定(964条以下)を準用。撤回・効力発生時期・対象財産の特定等は遺贈ルールに従う。
判例による限定
最判昭和47.5.25等:方式(遺言の厳格な要式性)に関する規定は準用されない。死因贈与は契約のため要式性は不要。
この条文の練習問題を解く
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
売買の意義
当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対して代金を支払うことを約することによって効力を生ずる契約。
性質
諾成契約・有償契約・双務契約。財産権の移転と代金支払が対価関係を構成。
他の契約への準用
売買の規定は売買以外の有償契約について性質に反しない限り準用される(559条)。
この条文の練習問題を解く
売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
3この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。
売買の一方の予約(1項)
売買の一方の予約は、相手方が売買完結の意思表示をした時から売買の効力を生ずる。予約完結権の行使により本契約が成立する形成権的構造。
再売買予約・買戻しの実務
実務で頻用されるのは買戻し(579条)や再売買予約。担保的機能として用いられ、譲渡担保・再売買予約は判例(最判平5・2・26)で同一視されることもある。
確答催告と失効(2項)
意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は相当期間を定めて確答催告でき、期間内に確答なき場合は予約は失効。予約関係の長期化を防ぐ。
予約完結権の譲渡・登記
予約完結権は譲渡可能で、判例(最判平19・11・29)は仮登記により対抗力を生じる。所有権移転請求権保全の仮登記の根拠としても機能。
この条文の練習問題を解く
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。
2ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
解約手付による解除(1項本文)
買主が手付を交付したとき、買主は手付放棄、売主は手付倍額の現実提供で契約解除できる。手付制度の中心的効果。
履行着手後の解除制限(1項ただし書)(2017改正で明確化)
「相手方」が履行に着手した後は解除不可。改正前は「当事者の一方」と規定され解釈に争いがあったが、判例(最大判昭40・11・24)に従い「相手方」着手後と明確化。
「履行の着手」(判例)
客観的に外部から認識できる形で履行行為の一部を行うこと(最大判昭40・11・24)。例:登記移転手続・代金準備等。単なる準備行為では足りない。
545条4項適用排除(2項)
解約手付による解除には545条4項(損害賠償併存)が適用されない。手付の損失自体が損害賠償の予定的機能を果たすため、別途損害賠償できない。
この条文の練習問題を解く
売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。
規律
売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。
趣旨
契約締結に伴う費用(公正証書作成・契約書印紙等)の負担を双方折半とする任意規定。当事者間の合意で変更可能。
対象範囲
契約締結費用に限定。履行に要する費用(登記費用・運搬費用等)は485条(弁済の費用)等に従い、原則として債務者負担。
この条文の練習問題を解く
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。
2ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
規律
この節(売買)の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
趣旨
売買を有償契約の典型として位置付け、賃貸借・請負・委任等の有償契約に売買規定(特に契約適合性・担保責任562条以下)を一般原則として準用。
実務上の重要性
請負での仕事の目的物の契約不適合(636条が562・564条等を準用)、賃貸借での売買規定準用等、横断的に機能。
この条文の練習問題を解く
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
売主の対抗要件具備協力義務(2017改正で新設)
売主は買主に対し、登記・登録その他売買目的権利移転の対抗要件を備えさせる義務を負う。判例実務を明文化。
立法趣旨
売買契約は所有権移転を目的とするが、第三者対抗のためには登記等の対抗要件具備が必要。売主の協力義務を明文化することで買主の権利保全を法律上担保する。
義務違反の効果
売主が登記移転に協力しない場合、買主は登記移転請求権を訴求できる。判決による意思表示の擬制(民執法177条)で実効性を確保。さらに損害賠償・解除も可能。
債権譲渡・他の権利移転への準用
売買目的の権利が債権・特許権等の場合も、対抗要件具備に必要な通知・承諾・登録手続への協力義務を含む。物権・債権の売買全般に妥当する一般則。
この条文の練習問題を解く
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
他人の権利の売買の効力
他人の権利を売買の目的としたときは、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う。
売買契約自体は有効
他人物売買も売主・買主間では債権的に有効。売主の権利取得義務違反は債務不履行責任(415条等)。
改正前561条との関係
改正前は売主善意のときの解除権(旧561条但書)が認められていたが、2017改正で削除。改正後は売主の善意悪意を問わず権利取得移転義務を負い、義務違反は債務不履行責任(415条等)として処理される。
この条文の練習問題を解く
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
2ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
3前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
追完請求権(1項本文)
引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対し目的物の修補・代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求できる。
売主の異なる方法による追完(1項但書)
売主は買主に不相当な負担を課すものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による追完ができる。
買主帰責事由による排除(2項)
契約不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合は追完請求できない。
この条文の練習問題を解く
前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
3履行の追完が不能であるとき。
4売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
5契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
6前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
7第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
契約不適合時の代金減額請求権(1項)(2017改正で新設)
契約不適合の場合、買主が相当期間を定めて履行追完を催告し、期間内に追完なきときは、不適合の程度に応じて代金減額を請求できる。
改正の意義
改正前の瑕疵担保責任を契約不適合責任に転換。代金減額請求権は売買の対価関係の不均衡を直接調整する救済として新設。追完請求権(562)・損害賠償・解除と並ぶ4つの救済手段の一つ。
催告なし減額の事由(2項)
①追完不能、②売主が追完拒絶意思を明確表示、③定期行為の時期経過、④その他催告しても追完見込なきとき。催告解除(541・542)と同型の構造。
減額方法
不適合の程度に応じた減額。基準時は契約時又は引渡時。判例実務での蓄積を待つが、減額相当額の判断には不適合の客観的価値減少を基礎とする。
この条文の練習問題を解く
前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
他の救済手段との関係(2017改正で新設)
562条(追完請求)・563条(代金減額)の規定は、415条(損害賠償)並びに541条・542条(解除)の規定による解除権行使を妨げない。
立法趣旨
契約不適合責任の救済として、追完請求・代金減額・損害賠償・解除の4手段が並列することを確認。買主は事案に応じて最適な救済を選択でき、複数手段を組み合わせることも可能。
選択・併用関係
追完請求と代金減額は択一関係的(追完無理なら減額)。損害賠償・解除は他の救済と併用可能。例:追完を求めつつ追完までの遅延損害賠償を請求するパターン。
改正前の構造との対比
改正前は瑕疵担保責任(旧570)として損害賠償・解除のみが救済手段だったが、改正で追完請求・代金減額が加わり救済の充実化。一方、責任の性質を契約責任に統合(債務不履行の特則として位置づけ)。
この条文の練習問題を解く
前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
規律
売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないとき(権利の一部が他人に属する場合に一部を移転しない場合を含む)について、562条〜564条(追完請求・代金減額・損害賠償・解除)を準用する。
趣旨
2017年改正前の旧561条〜570条の「権利の瑕疵」と「物の瑕疵」の二元構造を解消し、契約不適合責任に一元化した規定。物の不適合と権利の不適合を同一の救済枠組(追完・減額・損害賠償・解除)で処理する。
適用場面
用役地役権・抵当権等の負担が付着していた場合、地上権・賃借権が存在していた場合、権利の一部が他人に属する一部他人物売買等。
この条文の練習問題を解く
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
種類品質不適合の通知義務(本文)(2017改正で新設)
売主が種類・品質に関する契約不適合の目的物を引き渡した場合、買主は不適合を知った時から1年以内に売主に通知しないと、追完請求・減額請求・損害賠償・解除の権利を失う。
改正前の比較
改正前は瑕疵を知った時から1年以内に「権利行使」(裁判上の請求)が必要とされ買主に過酷だった。改正で「通知」で足りるとし、買主の負担を大幅軽減。
悪意・重過失売主の例外(ただし書)
売主が引渡時に不適合を知り、又は重大な過失で知らなかったときは適用なし。悪意売主は通知期間制限の保護を受けない。
数量不適合・権利不適合は適用外
「種類又は品質」の不適合のみが対象。数量不適合・権利不適合は本条の通知期間制限がなく、消滅時効(166条)の一般則によることとなる。
この条文の練習問題を解く
売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
3売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
規律
売主が特定した目的物を買主に引き渡した後に当事者双方の責めに帰すことができない事由で滅失・損傷したときは、買主は追完請求・代金減額・損害賠償・解除をすることができず、代金支払を拒めない(1項)。売主が契約適合の目的物の履行を提供したのに買主が受領拒絶・受領不能の場合、提供時以後の双方無責の滅失・損傷も同様(2項)。
趣旨
危険の移転時期を「引渡し時」(または受領遅滞時)に明示。536条1項(双務契約の危険負担=債権者の反対給付拒絶権)の特則として、買主側に危険を移転する。
受領遅滞による危険移転
2項は受領遅滞(413条)の効果として危険の移転を定める。買主が正当理由なく受領拒絶した時点で目的物が滅失・損傷しても、買主は代金支払義務を免れない。
適用要件
①特定物または特定された種類物、②引渡し(または契約適合の履行提供)、③引渡し後(提供後)の滅失・損傷、④双方無責。
この条文の練習問題を解く
民事執行法その他の法律の規定に基づく競売(以下この条において単に「競売」という。)における買受人は、第五百四十一条及び第五百四十二条の規定並びに第五百六十三条(第五百六十五条において準用する場合を含む。)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。
2前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
3前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。
4前三項の規定は、競売の目的物の種類又は品質に関する不適合については、適用しない。
競売における担保責任(1項)
民事執行法等の規定に基づく競売における買受人は、541条・542条(解除)・563条(代金減額)の規定により、債務者に対し契約解除・代金減額請求できる。競売特有の担保責任ルール。
債務者無資力時の特則(2項)
債務者が無資力のとき、買受人は代金の配当を受けた債権者に代金返還を請求できる。債務者からの回収不能を債権者に負担させる連鎖的補償構造。
債務者・債権者の悪意責任(3項)
債務者が物・権利の不存在を知りながら申し出ず、又は債権者が知りながら競売請求したときは、買受人は損害賠償請求可能。悪意者への制裁的責任。
改正の意義
改正前1568は売買担保責任の準用構造だったが、改正で売買と独立した規定として整理。競売の特殊性(強制執行による取引・買受人の自己責任)に配慮しつつ、悪意者責任を明示。
この条文の練習問題を解く
債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。
2弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。
規律
債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する(1項)。弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する(2項)。
趣旨
債権売買の担保責任の特則。債権存在の担保(562条以下)と別に、債務者資力の担保特約をした場合の担保時点を法定。資力担保は明示特約が必要であり、当然には負わない。
この条文の練習問題を解く
買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
抵当権等の負担と費用償還
買い受けた不動産に契約内容不適合の先取特権・質権・抵当権が存していた場合、買主が費用を支出して所有権を保存したときは、買主は売主に費用償還を請求できる。
「契約内容不適合の」の意義
契約上想定されない第三者の担保権が付着している状態。買主が契約締結時に知らなかった担保権、又は約定により売主が消除すべきだった担保権が残存していた場合。
「所有権の保存」
競売による所有権喪失を回避するため買主自ら被担保債権を弁済して担保権を消除する行為等。買主の出捐により所有権が保たれた場合の経済的調整。
費用償還請求権の性質
売主の契約不適合責任に基づく損害賠償的性格。買主の出捐額相当の償還が認められる。第三取得者の弁済による代位(502条)等とは別系統の救済。
民法
売主の契約不適合責任の追完・減額・解除・損害賠償
民法
契約不適合責任と錯誤・詐欺の競合(改正後)
この条文の練習問題を解く
削除
削除条文(571条)
民法571条は2020年改正で削除。旧571条(売主担保責任の免除特約効果)は、現行566条等の契約不適合責任制度への再編に伴い削除。
この条文の練習問題を解く
売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
規律
売主は、562条1項本文(追完請求)または565条(移転不能)に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実および自ら第三者のために設定しまたは第三者に譲渡した権利については、その責任を免れることができない。
趣旨
担保責任免除特約の限界。売主の悪意ある不告知(信義則違反)と売主自身の第三者処分による不適合については特約を無効とし、買主保護を貫徹。
対比
557条手付解除特約の自由とは対照的に、572条は担保責任免除に強行法的限界を設ける。情報優位者の機会主義を抑止する制度。
この条文の練習問題を解く
売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。
代金支払期限の推定
売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。引渡しと代金支払の同時履行関係を推定により補強する規定。
推定の性質
「推定する」であって擬制ではないため、当事者間に別段の合意があればそれが優先する。任意規定として作用。
533条同時履行抗弁との関係
533条により売買は双務契約として原則同時履行の関係に立つが、代金支払期限が前後する場合は同時履行抗弁が成立しない。本条は引渡しに期限がある場合に代金も同期限と推定し、同時履行関係を実質的に維持する。
「引渡し」要件
本条は「引渡し」に期限があることを発動条件とする。所有権移転時期や危険負担移転時期とは別概念。代金以外の付随義務についても類推適用される余地がある。
この条文の練習問題を解く
売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。
代金支払場所の特則
売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。同時履行の場合の代金支払場所を引渡し場所に統一する規定。
484条との関係
484条は弁済場所の一般則として、特定物引渡しは債権発生時の物の所在地、その他の弁済は債権者の現在の住所と定める。本条は売買特則として、引渡しと代金支払が同時の場合は両方を引渡し場所に統合。
立法趣旨
同時履行関係にある引渡しと代金支払を異なる場所で行わせるのは実務上煩雑であり、当事者の合理的意思として引渡し場所での一括処理が想定される。任意規定だが実務上ほぼそのまま機能する。
「同時に」の要件
現実に同時履行の関係にある場合に限定。代金後払い・前払いの場合は本条適用外となり484条の一般則に戻る。
この条文の練習問題を解く
まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
2買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。
3ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。
規律
まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する(1項)。買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない(2項)。
趣旨
目的物の使用収益と代金利息の対価関係を引渡時点で交換する簡明なルール。引渡前の果実は売主に帰属し、買主は代金支払時期にかかわらず引渡時から利息発生(ただし弁済期未到来なら利息不要)。
判例
最判昭和49.4.12:未払い代金がある場合、買主は引渡し後の果実も売主に支払う義務はなく、575条1項は引渡前の果実に限定される。
この条文の練習問題を解く
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。
2ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
規律
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部もしくは一部を取得することができず、または失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部または一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
趣旨
権利取得・保持が脅かされる買主に、代金支払拒絶権を与え、危険の程度に応じた自己防衛を可能にする。事前抗弁により買主損失の発生を予防。
対比
533条同時履行抗弁は等価交換が前提だが、576条は権利取得自体が危ぶまれる場合の特則的拒絶権。
この条文の練習問題を解く
買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。
2この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。
3前項の規定は、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。
規律
買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる(1項)。前項の規定は、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権または質権の登記がある場合について準用する(2項)。
趣旨
抵当権付不動産を買い受けた買主の代金支払拒絶権を法定。抵当権消滅請求(379条)終了まで代金支払を拒めることで、買主が抵当権実行リスクから保護される。
判例
最判昭和50.12.1:契約適合性判断(旧法では「隠れた瑕疵」)は、抵当権登記の事実が表示されていたか等を総合判断。
この条文の練習問題を解く
前二条の場合においては、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができる。
規律
前二条の場合においては、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができる。
趣旨
買主が576・577条で代金支払を拒絶する場合、売主が無期限に代金回収不能となる不利益を回避するため、代金供託請求権を法定。供託すれば売主は確定的に代金を確保。
効果
供託すれば買主の代金支払拒絶事由が消滅し、代金債務は供託金から弁済される。買主は供託の事実をもって権利取得危険を別途主張可。
この条文の練習問題を解く
不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額。第五百八十三条第一項において同じ。)及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。
2この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
規律
不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)および契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
趣旨
売主の物的担保的機能を持つ買戻し制度。一定期間内の代金返還で売買解除を可能とし、不動産担保融資の実質を実現。2017年改正で「代金」要件を緩和(別段の合意も可能)。
対比
売渡担保・譲渡担保:買戻しは民法明文制度で第三者対抗のため登記必要(581条)。譲渡担保は判例法理で対抗要件構造が異なる。
この条文の練習問題を解く
買戻しの期間は、十年を超えることができない。
2特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、十年とする。
3買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
4買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。
規律
買戻しの期間は10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は10年とする(1項)。買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない(2項)。買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内にしなければならない(3項)。
趣旨
買戻し関係の長期化による不動産取引の停滞を防ぐ強行規定。10年上限・伸長禁止・期間未定の5年デフォルトの三本柱で時間的限界を画定。
効果
期間経過で買戻権消滅。短縮特約は有効(最判昭和51.4.23)。
この条文の練習問題を解く
売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対抗することができる。
2前項の登記がされた後に第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中一年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。
3ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
規律
売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対抗することができる(1項)。前項の登記がされた後に605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない(2項)。
趣旨
買戻特約の対抗要件として登記を必要とし、登記後の賃借人の保護期間を1年に限定。買戻権者と買主・賃借人三者の利害を調整。
この条文の練習問題を解く
売主の債権者が第四百二十三条の規定により売主に代わって買戻しをしようとするときは、買主は、裁判所において選任した鑑定人の評価に従い、不動産の現在の価額から売主が返還すべき金額を控除した残額に達するまで売主の債務を弁済し、なお残余があるときはこれを売主に返還して、買戻権を消滅させることができる。
規律
売主の債権者が423条の規定により売主に代わって買戻しをしようとするときは、買主は、裁判所において選任した鑑定人の評価に従い、不動産の現在の価額から売主が返還すべき金額を控除した残額に達するまで売主の債務を弁済し、なお残余があるときはこれを売主に返還して、買戻権の消滅を請求することができる。
趣旨
売主の債権者による買戻権代位行使に対する買主の防御策。買主は鑑定額に基づき売主債務を弁済して買戻権を消滅させ、買主の地位確定を選択可。
この条文の練習問題を解く
売主は、第五百八十条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
2買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第百九十六条の規定に従い、その償還をしなければならない。
3ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
規律
売主は、580条に規定する期間内に代金および契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない(1項)。買主または転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は196条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(2項)。
趣旨
買戻し行使要件として期間内の代金等提供を必須化。買主側の不動産投下費用については占有者費用償還規定(196条)を準用し、買戻時の精算を保障。
この条文の練習問題を解く
不動産の共有者の一人が買戻しの特約を付してその持分を売却した後に、その不動産の分割又は競売があったときは、売主は、買主が受け、若しくは受けるべき部分又は代金について、買戻しをすることができる。
2ただし、売主に通知をしないでした分割及び競売は、売主に対抗することができない。
規律
不動産の共有者の一人が買戻しの特約を付してその持分を売却した後に、その不動産の分割または競売があったときは、売主は、買主が受け、または受けるべき部分または代金について、買戻しをすることができる。ただし、売主に通知をしないでした分割および競売は、売主に対抗することができない。
趣旨
共有持分の買戻特約付売却後、共有物分割・競売で持分が現物または代金に変換された場合の買戻権の物上代位的処理を規定。通知欠如は売主への対抗不能で売主保護。
この条文の練習問題を解く
前条の場合において、買主が不動産の競売における買受人となったときは、売主は、競売の代金及び第五百八十三条に規定する費用を支払って買戻しをすることができる。
2この場合において、売主は、その不動産の全部の所有権を取得する。
3他の共有者が分割を請求したことにより買主が競売における買受人となったときは、売主は、その持分のみについて買戻しをすることはできない。
規律
前条の場合において、買主が不動産の競売における買受人となったときは、売主は、競売の代金および583条に規定する費用を支払って買戻しをすることができる。この場合において、売主は、その不動産の全部の所有権を取得する(1項)。他の共有者が分割を請求したことにより買主が競売における買受人となったときは、売主は、その持分のみについて買戻しをすることはできない(2項)。
趣旨
584条の延長として、買主自身が共有物競売の買受人となった場合の処理を規律。売主は競売代金で全部所有権を取得可能(1項)。分割請求型では持分のみ買戻し不可(2項)として実務処理を統一。
この条文の練習問題を解く
交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。
2当事者の一方が他の権利とともに金銭の所有権を移転することを約した場合におけるその金銭については、売買の代金に関する規定を準用する。
規律
交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる(1項)。当事者の一方が他の権利とともに金銭の所有権を移転することを約した場合におけるその金銭については、売買の代金に関する規定を準用する(2項)。
趣旨
交換契約の定義(諾成・双務・有償)と、補足金交付ある交換における金銭部分の処理を規律。金銭部分には売買代金規定(575条・576条等)を準用。
売買規定の準用
559条により売買規定は他の有償契約全般に準用される。交換は典型例。
この条文の練習問題を解く
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
消費貸借の成立(要物契約原則)
消費貸借は、当事者の一方が同種・同品質・同数量の物の返還を約して相手方から金銭等の物を受け取ることにより効力を生じる。物の交付を契約成立要件とする要物契約の典型。
要物性の意義
目的物の交付が契約成立要件のため、合意のみでは契約不成立。例:金銭消費貸借契約書を作成しても金銭交付がなければ契約不成立。判例(大判大11・10・25)は要物性を厳格に解する。
587_2との関係(2017改正)
2017改正で587_2が新設され、書面による消費貸借は諾成契約として認められた。本条の要物性は書面によらない消費貸借にのみ適用される構造に転換。実務上は書面契約が主流のため、要物性の射程は限定的となった。
「同種・同品質・同数量」
消費貸借の本質は物の所有権が借主に移転し(消費を許す)、別個の同種同品同数量物を返還する点にある。賃貸借(同一物の返還)・寄託(保管目的)と区別される基本構造。
この条文の練習問題を解く
前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
2書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。
3この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
4書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。
5消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
諾成消費貸借
書面でする消費貸借は当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し相手方がその受け取った物と種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約することにより効力を生ずる(1項)。
書面要件(4項)
電磁的記録によってされた契約は書面によりされたものとみなす。
貸主の引渡し前破産(3項)
貸主が引渡し前に破産手続開始決定を受けたときは契約は失効する。
借主の解除権(2項)
借主は金銭等の引渡しを受けるまで契約の解除をできる。これにより貸主に損害が生じた場合は損害賠償。
この条文の練習問題を解く
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
規律
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
趣旨
準消費貸借の規定。既存債務(売買代金債務・損害賠償債務等)を消費貸借債務に切り替える合意により、新たに金銭を交付することなく消費貸借を成立させる便宜的制度。
効果
旧債務と新債務の同一性は判例上原則として維持されるが、更改的に切り替える合意も可能(事案による)。消滅時効起算点・抗弁の承継は同一性の有無に応じて判断。
この条文の練習問題を解く
貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
2前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。
規律
貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない(1項)。前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる(2項)。
趣旨
消費貸借の利息は原則無利息とする民事法則。商人間消費貸借は商法513条で原則有利息となる対比規定。利息発生時期は受取日から(弁済期からではない)。
対比
商法513条:商人間消費貸借は法定利息発生。民法589条1項とは原則・例外が逆転。
この条文の練習問題を解く
第五百五十一条の規定は、前条第一項の特約のない消費貸借について準用する。
2前条第一項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
規律
551条(贈与者の引渡義務)の規定は、無利息消費貸借(589条1項の利息特約のないもの)について準用する(1項)。利息特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類・品質に関して契約不適合のときは、借主はその物の価額を返還できる(2項)。
趣旨
無利息消費貸借は無償契約のため、贈与者と同様に引渡義務を軽減する(1項)。一方、種類物の貸付では契約適合の同等物を返還するのが原則だが、不適合物を返還させるのは借主に酷なため、価額返還を認める(2項)。
1項の効果
無利息消費貸借では、貸主は契約時に特定した状態で引き渡せばよい(551条準用)。受贈者と同等の保護。
2項の効果(有償・無償共通)
利息特約があってもなくても、不適合物を受け取った借主は同等物返還の代わりに価額返還を選択できる。借主のオプション権。
この条文の練習問題を解く