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報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
規律
報酬は仕事目的物の引渡しと同時に支払う(本文)。ただし物の引渡しを要しない請負は624条1項を準用(ただし書)。
趣旨
請負の引換給付関係。注文者は目的物受領まで報酬支払を拒否でき、請負人は報酬未払なら目的物引渡しを拒否できる構造(533条同時履行抗弁の応用)。物の引渡し不要の場合は雇用と同じく後払(仕事完成後)。
同時履行関係
引渡し義務と報酬支払義務は対価関係。注文者は仕事完成・引渡しを請求でき、請負人は報酬支払を請求できる。一方の不履行は他方の履行拒絶の根拠。
ただし書(624条1項準用)
建築設計・コンサルティング等の引渡し不要請負は、仕事完成後に報酬支払。634条と一体で部分完成時の割合報酬規律と整合。
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次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。
2この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
3注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
4請負が仕事の完成前に解除されたとき。
規律
①注文者の責めに帰せない事由で仕事完成不能、②仕事完成前に請負解除、の場合に、既履行部分の可分な給付で注文者が利益を受けるとき、その部分を完成とみなし、利益割合に応じた報酬を請求できる。
趣旨
2020改正で新設。旧法では完成しなければ報酬請求できないのが原則だったが、既履行部分の利益帰属の公平を図り、可分な部分の対価を確保する明文規律を整備。
要件
①完成不能(注文者帰責不要)又は解除、②既履行部分が可分、③注文者が現実に利益を受けている。3要件充足で部分完成擬制と割合報酬請求権が発生。
解除との関係
請負人帰責で解除された場合でも、既履行部分の利益帰属を割合報酬で清算。請負人の責に帰すべき完成不能(債務不履行)でも、注文者の利得部分は本条で清算される構造。
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削除
削除条文(635条)
民法635条は2020年改正で削除。旧635条(請負人担保責任の解除制限・土地工作物特則)は、現行559条・564条の契約不適合解除制度に統合された。請負特有の解除制限が廃止された重要改正。
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請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
請負人の契約不適合責任(本文)
請負人が種類・品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき、または仕事の目的物の引渡しを要しない場合において仕事が終了した時に仕事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、562条以下の売買規定が準用される。
注文者提供材料による不適合の例外(但書)
注文者の供した材料の性質または注文者の与えた指図によって生じた不適合については請負人責任なし。請負人がその材料・指図が不適当であることを知りながら告げなかったときを除く。
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前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
規律
636条本文の場合(種類・品質契約不適合)、注文者が不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、追完請求・報酬減額・損害賠償・解除が不能(1項)。引渡時(引渡し不要なら仕事終了時)に請負人が不適合を知り又は重過失で知らなかったときは1項不適用(2項)。
趣旨
2020改正で旧法「引渡時から1年」を「知った時から1年」へ起算点変更。注文者の権利保護を強化しつつ、請負人の長期的不安定地位回避のため期間制限を維持。
通知の効果
1年以内通知で各種救済権を保存。通知後の具体的請求は別途消滅時効(166条1項:知ってから5年)に従う。通知は救済権の存続要件で、具体的請求の時効起算とは別概念。
2項の意義
請負人が不適合を知っていた又は重過失で知らなかった場合は、悪意者保護の制限的立場として1項適用なし。買主保護に類似する。566条買主救済の規定と並行的構造。
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削除
削除条文(638-640条)
民法638条から640条までは2020年改正で削除。旧638条(請負人担保責任存続期間)・旧639条(延長特約)・旧640条(責任免除特約)は、契約不適合責任への移行で時効規定統一に伴い削除。
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請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
注文者の任意解除権
請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除ができる。
趣旨
注文者にとって不要となった仕事を強制する社会的損失を回避し、損害賠償により請負人の利益を保護する。
損害賠償の範囲
請負人が現に被った損害(材料費・人件費等)と仕事完成により得たであろう利益(履行利益)を含む。
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注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。
2ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
3前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
4第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。
5この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。
規律
注文者破産時、請負人又は破産管財人は契約解除可。ただし請負人解除は仕事完成後不可(1項)。請負人は既履行報酬・含まれない費用について配当加入可(2項)。破産管財人解除時の損害賠償は請負人のみ請求可、配当加入する(3項)。
趣旨
注文者破産時の請負の特殊清算規律。事業継続困難な注文者と完成後の請負人の利害を調整し、配当加入で破産手続内の権利保護を確保。
1項・解除権
破産管財人は不要となった契約を解除でき、請負人は注文者破産で代金回収困難を見越し解除可。完成後の請負人解除は仕事完成の経済的意義を尊重して制限。
2項・3項・配当加入
既履行報酬・費用は破産債権として配当加入可。破産管財人解除時のみ損害賠償請求可(請負人解除時は不可)の非対称規律で、破産財団保護の優位性を反映。
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委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
委任の意義
当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することにより効力を生ずる契約。
性質
諾成契約。原則無償・片務契約だが、特約により有償・双務化(648条)。法律行為以外の事務処理を委託する準委任にも準用(656条)。
代理権との関係
委任は内部関係(事務処理義務)、代理権授与は対外関係。両者は別概念だが通常併存する。
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受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
受任者の善管注意義務
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。委任契約における中核義務。
善管注意義務の意義
受任者の職業・地位等から客観的に要求される注意の程度。自己の財産における同一の注意(659条寄託・918条相続)より高度な、専門性・社会的地位に応じた高水準の注意。
委任の本旨
委任契約の目的・趣旨に即した事務処理。委任者の意思の合理的推認・委任の経緯・取引慣行等を総合考慮する。判例(最判昭51・7・9)は弁護士・医師の専門性を考慮した善管注意義務の判断を行う。
違反の効果
善管注意義務違反は債務不履行となり、損害賠償義務を負う。重大な違反は委任の解除(651条)の理由ともなる。専門職の責任追及の根拠規定。
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受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
規律
受任者は委任者の許諾又はやむを得ない事由なき限り復受任者選任不可(1項)。代理権付与委任で受任者が代理権付き復受任者を選任したときは、復受任者は委任者に対し権限範囲で受任者と同一の権利義務(2項)。
趣旨
2020改正で新設。旧法では委任の自己執行義務が解釈上の原則だったが明文化。代理権付与委任の復代理(106条)と並行的に処理し、復受任者と委任者の直接の権利義務関係を確立。
1項・自己執行義務
委任の人的信頼関係に基づき自己執行が原則。例外は委任者承諾又はやむを得ない事由(受任者の傷病・専門外事項等)。違反は債務不履行となり損害賠償責任。
2項・復受任者の地位
代理権付与委任で復受任者が選任された場合、復受任者は委任者と直接の権利義務関係。報告義務(645条)・受取物引渡し(646条)等を委任者へ直接負う。委任者・受任者・復受任者の三角関係が明確化。
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受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
受任者の報告義務
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務処理の状況を報告し、委任終了後は遅滞なく経過・結果を報告しなければならない。委任の透明性を確保する義務。
請求時報告(中間報告)
委任者の請求があれば随時報告。受任者の自発的報告は義務ではないが、重要事項については信義則上自発的に報告すべき場合がある。
終了時報告
委任終了時は請求なくして報告義務。経過と結果の報告により委任者の事務処理把握・受任者責任の確認を可能とする。
656条準用範囲
656条により本条は準委任にも準用。専門サービス契約(弁護士・税理士・医師等)における説明義務の根拠として実務上極めて重要。
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受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。
2その収取した果実についても、同様とする。
3受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
規律
受任者は委任事務処理で受け取った金銭等を委任者に引き渡す。収取果実も同様(1項)。受任者は委任者のために自己名で取得した権利を委任者に移転する(2項)。
趣旨
委任事務処理で受任者が取得した利益はすべて委任者に帰属させる原則。受任者は他人の事務処理者であり、自己の利益を保持できないという基本構造の表れ。
1項・物の引渡し
金銭・動産・有価証券・収取果実(賃料・利息・配当等)。委任者の請求を待たずに引渡義務発生。引渡しの場所・時期は契約解釈・484条等で定まる。
2項・権利移転(間接代理)
受任者が自己名で取得した権利(不動産・債権等)の委任者への移転。間接代理(代理権なき委託)の典型場面。移転は債権譲渡・所有権譲渡等の各手続による。
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受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。
2この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
規律
受任者は委任者に引き渡すべき金額又は委任者のために用いるべき金額を自己のため消費したときは、消費日以後の利息を支払う。なお損害があれば賠償責任。
趣旨
受任者の流用責任の特則。委任者所有金銭の不正流用は受任者の信義違反として加重責任を負わせる。一般の遅延損害金より責任発生時点を「消費日」とする点で前倒し効果。
「消費した日」起算
通常の金銭債務は履行期から遅延利息発生だが、本条は消費日から発生。引渡時期未到来の段階でも消費すれば利息発生し、受任者の不正流用を厳格に制裁。
損害賠償の加重
利息のほか実損害(為替損・運用機会喪失・第三者への支払不能等)の賠償責任。受任者の悪質性に比例した責任範囲。委任者の損害立証を要する。
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受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。
3ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
4受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
5委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
6委任が履行の中途で終了したとき。
委任の無償原則(1項)
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求できない。委任は原則無償。商法512条(商人の報酬請求権)の例外を除き、報酬は明示・黙示の特約により発生する。
後払原則(2項本文)
報酬を受けるべき場合、受任者は委任事務履行後でなければ報酬請求できない。後払原則は受任者の事務完遂を促す。
期間報酬の特則(2項ただし書)
期間によって報酬を定めたときは、624条2項(雇用の期間給)を準用。例:月額顧問報酬は月末に請求。期間経過時に発生する報酬構造。
途中終了時の割合報酬(3項)(2017改正で新設)
①委任者責なき事由で履行できなくなったとき、②委任が履行中途で終了したときは、既に履行した割合に応じて報酬請求可能。改正前の判例実務を明文化。
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委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。
規律
成果報酬型委任で成果が引渡しを要するとき、報酬は引渡しと同時払(1項)。634条を成果報酬型委任に準用(2項)。
趣旨
2020改正で新設。成功報酬型契約(弁護士成功報酬・成果連動コンサル等)の明文化。請負と委任の中間形態(仕事完成義務はないが成果に対し報酬)を整備し、引換給付関係と部分割合報酬を法定。
1項・同時履行
成果が「引渡しを要する」場合は引渡しと報酬支払が同時履行関係。633条請負報酬と同構造で、委任者の受領利益と受任者の報酬請求権を対価的に結合。
2項・割合報酬
634条準用により、注文者帰責不能で成果未完成又は途中解除でも、既履行可分部分で委任者が利益を受けるなら割合報酬請求可。請負と並行的な公平規律を委任にも拡張。
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委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
規律
委任事務処理に費用を要するとき、委任者は受任者の請求により前払しなければならない。
趣旨
受任者の費用立替負担の回避。委任は他人の事務処理であり、受任者は自己資金を投じる義務を負わない構造。請求権者である受任者の支配下に費用を移すことで委任の経済的中立性を保障。
前払請求の効果
受任者が請求すれば委任者は前払義務発生。委任者が前払を拒否すれば、受任者は事務処理を停止しても債務不履行とならない(同時履行的構造)。
650条との関係
650条は事後の費用償還(受任者立替後の請求)、本条は事前の費用前払。受任者は前払請求と事後償還の選択肢を持つが、立替費用が膨大な場合は前払請求が実務的に重要。
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受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
3この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
4受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
費用償還請求権(1項)
受任者は、委任事務処理に必要と認められる費用を支出したときは、委任者に費用及び支出日以後の利息の償還を請求できる。受任者の経済的負担を委任者に転嫁する仕組み。
代弁済請求権(2項)
受任者が必要と認められる債務を負担したときは、委任者に自己に代わる弁済を請求できる。債務が弁済期未到来の場合は相当の担保を供させられる。受任者の信用負担を保護する規定。
損害賠償請求権(3項)
受任者が委任事務処理のため自己の過失なく損害を受けたときは、委任者に賠償請求できる。無過失責任的構造で、受任者を事務処理リスクから保護する。
事務管理(702条)との比較
事務管理者の費用償還請求権(702条)と同型の構造。事務処理者の経済的中立性を確保する制度として共通する。委任と事務管理の連続性を示す。
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委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。
3ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
4相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
5委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
委任の任意解除権(1項)
委任は各当事者がいつでもその解除をすることができる。
損害賠償(2項本文)
①相手方に不利な時期に解除したとき、②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したときは、相手方の損害を賠償しなければならない。
やむを得ない事由による免責(2項但書)
やむを得ない事由があったときは損害賠償義務を免れる。
この条文の練習問題を解く
第六百二十条の規定は、委任について準用する。
規律
620条の規定(賃貸借解除の将来効)は委任について準用する。
趣旨
委任解除の将来効。継続的契約の解除は遡及効を持たせると既履行部分の処理が複雑化するため、賃貸借と同じく将来効のみとする規律を準用。
将来効の意義
解除前の事務処理は有効に存続。既履行の報酬請求・費用償還・受任者の責任関係は解除後も解消されない。651条の任意解除も本条により将来効で処理される。
実務上の意義
弁護士委任の中途解除等で、解除前の弁護士業務に対する報酬は確定し、解除後の業務のみ消滅。複雑な原状回復不要となる構造。
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委任は、次に掲げる事由によって終了する。
2委任者又は受任者の死亡
3委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
4受任者が後見開始の審判を受けたこと。
規律
委任は次の事由で終了する。①委任者又は受任者の死亡、②委任者又は受任者の破産手続開始決定、③受任者の後見開始審判。
趣旨
委任の人的信頼関係を反映した終了事由。当事者の身分的・財産的変動で委任関係を継続する基盤が失われるため法定終了とする。
1号・死亡
受任者死亡で人的能力消滅、委任者死亡で事務処理目的消滅。死亡委任(任意後見・遺言執行)は意思表示で本条排除可(最判平4.9.22は死亡後の事務委託契約有効を承認)。
2号・3号
破産手続開始は財産管理能力喪失で委任の経済的基盤消滅。受任者の後見開始は事務処理能力喪失。委任者の後見開始は終了事由でない点に注意(委任者は法定代理人を通じ委任継続可能)。
この条文の練習問題を解く
委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
規律
委任終了時に急迫の事情あれば、受任者・その相続人・法定代理人は、委任者側が事務処理可能となるまで必要な処分をする。
趣旨
委任終了による事務空白の防止。当事者死亡等で委任が終了しても、急迫事情下では緊急処置義務を負わせ、委任者の利益を保護。事務管理に類似する性質。
緊急処置義務の主体
受任者自身(破産・後見開始の場合)又は相続人・法定代理人(死亡の場合)。受任者が動けなくても継承者が義務を負う点で広範。
義務の範囲
「必要な処分」のみ。委任関係の継続ではなく、急迫の損害回避に限定された応急措置。委任者側が事務処理可能となれば義務終了。
この条文の練習問題を解く
委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
規律
委任終了事由は、相手方への通知又は相手方の認知がなければ、相手方に対抗できない。
趣旨
委任終了の対抗要件。受任者死亡等の事実を委任者が知らずに受任者に事務処理を依頼し続けた場合の保護。終了事由の客観的発生と対抗関係を分離し、当事者の認識を保護。
対抗不能の効果
通知・認知前は委任が継続しているものとして扱われ、相手方の善意行為は有効。例: 委任者死亡を知らない受任者の事務処理は有効と扱われ、相続人は事務処理結果を承認する立場。
代理権消滅との比較
代理権消滅も112条で善意第三者保護の対抗要件規律あり。本条は委任当事者間の関係を規律し、112条は対外的代理関係を規律する点で機能領域が異なる。
この条文の練習問題を解く
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
準委任
本節(委任)の規定は法律行為でない事務の委託について準用する。
適用範囲
法律行為でない事務(事実行為)の処理を委託する契約に広く適用される。医療契約・教育契約・コンサルティング契約等が典型。委任(643条)が法律行為の委託に限定されるのに対し、本条で事実行為処理も委任規律で統一する。
効果
善管注意義務(644条)・費用償還請求権(650条)・任意解除権(651条)等が準用される。
この条文の練習問題を解く
寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
寄託の意義
当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することにより効力を生ずる契約。
性質
諾成契約(改正前は要物契約)。原則無償・片務契約だが、特約により有償化(665条)。
寄託物受取り前の解除(657_2)
寄託者は受寄者が寄託物を受け取るまでは契約の解除ができる。受寄者は無報酬の場合書面によらないときは受取り前に解除可。
この条文の練習問題を解く
寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。
2この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
3無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。
4ただし、書面による寄託については、この限りでない。
5受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
規律
寄託者は受寄者が寄託物受取りまで解除可、解除で受寄者損害あれば賠償請求可(1項)。無報酬受寄者は受取まで解除可、ただし書面寄託は除く(2項)。受寄者は受取り時期経過後に寄託者の引渡し懈怠あれば催告で解除可(3項)。
趣旨
2020改正で寄託を諾成契約化(657条改正)に伴い、受取り前の解除規律を新設。当事者の意思と書面要件で解除権を調整し、契約成立後の柔軟性と当事者利益を両立。
1項・寄託者解除
寄託者は理由不問で受取り前は解除可。書面・無書面とも可。ただし受寄者の準備費用等の損害は賠償。柔軟性確保と受寄者の信頼利益保護の調整。
2項・無償受寄者の解除
無報酬で口頭寄託の受寄者は受取り前ならいつでも解除可(拘束緩い)。書面寄託は対価がなくとも書面化された信頼利益保護のため解除不可。
この条文の練習問題を解く
受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
2受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
3再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。
規律
受寄者は寄託者承諾なく寄託物を使用できない(1項)。受寄者は寄託者承諾又はやむを得ない事由なしに第三者に保管させられない(2項)。再受寄者は権限の範囲で受寄者と同一の権利義務(3項)。
趣旨
寄託の人的信頼関係。受寄者は預かった物を保管するだけで使用権・転寄託権を当然には持たない。寄託者の意思に拘束される構造を明示。
1項・使用禁止
保管目的の物を勝手に使用することは寄託の本質に反する。違反は債務不履行で損害賠償責任。承諾あれば消費寄託(666条)等の使用権付与寄託となる。
2項・3項・再寄託
原則自己保管。例外は寄託者承諾・やむを得ない事由。3項で再受寄者の権利義務を明確化し、寄託者・受寄者・再受寄者の三者関係を整序。
この条文の練習問題を解く
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
規律
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。
趣旨
無償受寄者の注意義務の軽減。有償受寄者は善管注意義務(400条)を負うが、無償受寄者は自己物保管程度の主観的注意で足りる。対価の有無による責任の濃淡を法定。
「自己の財産に対するのと同一の注意」の意義
客観的・標準的な注意(善管注意)ではなく、当該受寄者個人の事実上の注意水準。乱雑な人は乱雑な保管でも免責、慎重な人は慎重な保管が要求される主観的基準。
商法595条との対比
商人の無償寄託でも善管注意(商法595条)。本条は民事の純粋無償寄託に限定される。商人間取引や友人間の有償寄託では適用されない。
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寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。
2ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
3第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。
4ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
5受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。
規律
寄託物について第三者が訴え提起・差押え等したとき、受寄者は遅滞なく寄託者に通知。ただし寄託者が既に知っていたときは不要(1項)。第三者主張があっても受寄者は寄託者の指図なき限り寄託者に返還、ただし第三者引渡し命令の確定判決があり実際に引渡したときは免責(2項)。寄託者へ返還した場合の第三者損害は受寄者の責任を負わない(3項)。
趣旨
寄託物に第三者の権利主張があった場合の受寄者の二重弁済リスク回避と通知義務。寄託者は所有者として情報を必要とし、受寄者は中立的保管者として寄託者への返還を原則とする。
1項・通知義務
第三者の権利主張で寄託物が紛争対象となれば、寄託者は防御の機会が必要。受寄者の通知懈怠は債務不履行となり、寄託者の損害(権利喪失)を賠償する責任。
2項・3項の二重保護
原則は寄託者返還(寄託契約の本質)、確定判決による第三者引渡し命令ある場合のみ第三者引渡し可。寄託者返還した受寄者は第三者損害を負わない(3項)構造で受寄者の中立的立場を保護。
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寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。
2ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。
規律
寄託者は寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償。ただし、寄託者が過失なく性質・瑕疵を知らなかったとき又は受寄者がこれを知っていたときは賠償不要。
趣旨
寄託物に内在する危険を寄託者の責任とする原則。受寄者は預かった物の通常リスクは受容するが、隠れた瑕疵による損害は寄託者の情報提供責任に帰結。
ただし書(免責)
①寄託者の善意無過失(性質・瑕疵を知り得なかった)、②受寄者の悪意(瑕疵を知っていた)。両場合は寄託者責任発生せず。情報の優越関係に応じた責任配分。
瑕疵の例
化学薬品の引火性・腐食性、生物の感染症、危険物の爆発等。受寄者の保管中に他の物への波及損害・受寄者自身の被害等が想定される。
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当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
2前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
規律
返還時期定めある寄託でも寄託者はいつでも返還請求可(1項)。寄託者が時期前返還を請求して受寄者に損害が生じたときは寄託者が賠償(2項)。
趣旨
寄託は寄託者の利益のための契約という基本構造。寄託者は所有者として返還請求自由を持ち、受寄者の保管期間の利益(保管料収入等)は損害賠償で塡補。寄託者の処分自由優位。
1項・期限前返還
返還期日定めても寄託者は拘束されない。受寄者は期日前でも返還義務発生。寄託者の財産権・利益優先の構造で、賃貸借の期間拘束と対照的。
2項・損害賠償
期日前返還で受寄者が予定保管料・準備費用等の損害を被ったときの塡補。寄託者の自由を確保しつつ受寄者の信頼利益を金銭で保護する調整。
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当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。
規律
返還時期定めなき寄託では受寄者いつでも返還可(1項)。時期定めあるときは受寄者はやむを得ない事由なき限り期限前返還不可(2項)。
趣旨
受寄者側からの返還の柔軟性と拘束のバランス。期間定めなき場合は受寄者の保管継続義務を強制せず、期間定めある場合は寄託者の保管利益を保護。
1項・期間定めなし
受寄者は理由不問でいつでも返還可。寄託者の保管継続期待利益は法的保護せず、受寄者の自由を優先する構造。
2項・期間定めあり・やむを得ない事由
受寄者の事業継続困難・保管場所喪失等の重大事情のみで期間前返還可。受寄者の単なる便宜では返還不可で、寄託者の保管利益を強く保護。
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寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。
2ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。
規律
寄託物返還は保管すべき場所でしなければならない(本文)。ただし、受寄者が正当な事由で保管場所を変更したときは現在の場所で返還可(ただし書)。
趣旨
返還場所原則の明示。寄託契約の保管場所を返還場所とし、寄託者の予測可能性を保護。受寄者の正当事由による場所変更は柔軟に許容し受寄者の事業継続性も確保。
本文・原則
契約上の保管場所=返還場所。寄託者は契約締結時に明示・黙示に保管場所を理解しており、その場所での返還が予測可能。
ただし書・例外
正当事由(事業移転・災害・保管設備故障等)で受寄者が保管場所を変更したときは現在地で返還可。寄託者は移動費用を負担する構造となるが、ただし書全体としては受寄者保護。
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寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
規律
寄託物の一部滅失・損傷による損害賠償と受寄者支出費用償還は、寄託者が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない(1項)。1項の損害賠償請求権について、返還時から1年経過まで時効は完成しない(2項)。
趣旨
2020改正で新設。寄託物返還後の損害賠償・費用償還を短期1年に区切ることで法律関係の早期確定。同時に時効完成猶予で寄託者の権利行使を実効的に保障する二重構造。
1項・1年除斥期間
寄託者が返還を受けた時から1年。寄託物の状態確認に時間を要する場合があるため返還時を起算点とする実質的判断。1年経過で権利消滅(除斥期間説が通説)。
2項・時効完成猶予
返還時から1年は時効完成不可。一般時効(166条1項:知ってから5年)が短くても本条で延長。返還前から時効進行することを防ぎ、寄託者の請求機会を保護。
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第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄託について準用する。
規律
646条〜648条、649条、650条1項・2項の規定は寄託について準用する。
趣旨
寄託に委任の付随義務規定を準用。受寄者と受任者は他人の物・事務を扱う点で類似し、報告・引渡し・費用前払・償還等の義務を共通に規律。
準用される委任規定
①646条受取物引渡し(受寄者が寄託中に得た果実等の引渡し)、②647条金銭流用責任、③648条報酬(有償寄託の場合)、④649条費用前払、⑤650条1項・2項費用償還・債務代弁。
650条3項の非準用
650条3項(受任者が過失なく損害受けたときの賠償)は本条で準用されない。寄託では661条が寄託物性質・瑕疵による損害を別途規律しており、競合を避ける整理。
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複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
2前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
3前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。
4この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
規律
複数寄託者の種類・品質同一物について、受寄者は各寄託者の承諾を得たときに限り混合保管可(1項)。混合保管された場合、寄託者は同数量の返還請求可(2項)。一部滅失時は寄託物割合に応じた数量の返還請求可、損害賠償請求は妨げない(3項)。
趣旨
2020改正で新設。代替性ある物(穀物・燃料等)の倉庫保管実務を明文化。各寄託者承諾を要件として混合を許容し、滅失時の按分清算を法定して実務の安定化を図る。
1項・要件
①寄託物の種類・品質が同一、②全寄託者の承諾。両要件で混合保管可。承諾なき混合は寄託契約違反で損害賠償責任。
3項・滅失時の按分
混合保管中の一部滅失は各寄託者の割合(寄託量比例)で按分。残存分から各寄託者は割合分の返還を受ける。受寄者の過失あれば3項後段で損害賠償請求も併存。
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受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
2第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
3第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
規律
受寄者が契約で寄託物を消費できる場合、種類・品質・数量同じ物で返還しなければならない(1項)。590条・592条を準用(2項)。591条2項・3項は預金又は貯金契約による金銭寄託に準用(3項)。
趣旨
消費寄託の特殊規律。預金・倉庫業(米穀等)で典型。寄託物の所有権が受寄者に移転し、種類物による返還義務を負う構造。消費貸借に近い性質を持ちつつ、目的は寄託者の便宜にある点で消費貸借と区別。
預金との関係
銀行預金は本条による消費寄託。預金者が銀行に金銭を寄託し、銀行は所有権取得し運用、同種同額の金銭で返還義務。預貯金の法的性質の根拠条文。
591条2項・3項準用
預貯金は寄託者の返還請求があれば期限前でも返還義務。銀行は自己の都合で期限前返還不可。預金者保護の構造。
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組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2出資は、労務をその目的とすることができる。
組合契約の意義(1項)
各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することにより効力を生ずる契約。
出資の種類(2項)
出資は金銭その他の財産のほか労務をその目的とすることができる。
性質
諾成契約・有償契約・諸務契約(双務とは異なる多数当事者間の合意)。共同事業性が本質的要素。
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第五百三十三条及び第五百三十六条の規定は、組合契約については、適用しない。
2組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。
規律
533条・536条の規定は組合契約に適用しない(1項)。組合員は他の組合員の債務不履行を理由として組合契約を解除できない(2項)。
趣旨
2020改正で新設。組合契約は多数当事者の共同事業契約であり、双務契約の一般原則(同時履行・危険負担・債務不履行解除)を機械的に適用すると組合関係全体を不安定化させるため、適用排除を明示。
1項・同時履行/危険負担の排除
組合員の出資義務は組合全体への貢献であり、他組合員の出資との直接的対価関係なし。533条同時履行・536条危険負担は組合関係に馴染まない。
2項・解除権否定
組合員の債務不履行は除名(680条)・脱退(678条)等で処理し、組合契約全体の解除は不可。組合関係の継続性と他組合員の信頼利益を保護する強い構造。
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組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない。
規律
組合員の一人について意思表示の無効又は取消し原因があっても、他の組合員間では組合契約の効力は妨げられない。
趣旨
2020改正で新設。組合契約の多数当事者性を反映し、一人の意思欠缺による組合全体の崩壊を防止。組合事業の継続性と他組合員の信頼利益を強く保護する。
適用場面
①未成年者の組合契約取消、②錯誤による取消、③公序良俗違反による無効等。当該組合員は脱退扱いとなり、他の組合員間の組合関係は存続。
組合と一般契約の差異
一般契約では一方当事者の取消で契約全体が消滅するが、組合は多数当事者の共同事業として一部当事者の問題が組合全体に波及しない構造。組合契約の独自性の重要な表れ。
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各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
規律
各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
趣旨
組合財産の合有的共有関係を規定。組合員は持分を持つが、組合の目的に拘束される特殊な共有形態(合有)。判例・通説は249条以下の通常共有とは異なる規律(持分処分制限・分割請求制限)を本条解釈で導く。
合有的性質
676条で持分処分・分割請求を制限。組合員は組合事業継続中は持分を自由に処分できず、分割もできない。通常共有との大きな差異であり、組合の事業遂行能力を確保する構造。
対外関係
組合財産は組合員全員の共有として対外的に表示されるが、業務執行組合員(670条)が代理して取引する。財産帰属と業務執行が分離する点で重要。
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金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。
規律
金銭出資の場合、組合員が出資を怠ったときは、利息を支払うほか損害賠償しなければならない。
趣旨
金銭出資不履行の責任の特則。一般の金銭債務不履行は遅延損害金(419条)のみだが、組合の場合は組合事業への影響が大きいため、利息+実損害賠償の二段構成で責任強化。
利息と損害賠償の重畳
419条1項では金銭債務不履行は法定利息で損害額が確定するが、本条は組合への実損害(事業遅延・機会喪失等)の追加賠償を許容。組合の継続性確保のための加重責任。
現物出資との比較
現物出資不履行は一般の債務不履行(415条)。本条は金銭出資特有の規律で、金銭の代替性ゆえ通常は損害立証が容易でないが、本条で立証障壁を緩和。
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組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
2組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
3前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。
4この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
5前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。
6組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。
7ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。
規律
組合業務は組合員過半数で決定、各組合員が執行(1項)。組合契約で1人又は数人の組合員又は第三者に業務委任可(2項)。業務執行者は業務を決定・執行、複数人は過半数で決定(3項)。総組合員同意で決定・全員執行可(4項)。常務は単独実行可、ただし他の組合員等が完了前に異議を述べたときは不可(5項)。
趣旨
組合の業務決定・執行の方法を多段階で規律。原則は組合員過半数+各員執行、契約で業務執行者集中可、総組合員同意の優位、常務の簡易処理という4階層構造で柔軟性を確保。
業務執行者の地位
2項で組合契約に基づき選任される業務執行者は組合の対外代表機能を担う。第三者選任も許容され、組合員以外の専門家を業務執行者とできる柔軟性。
5項・常務の単独実行
日常的・反復的業務(事務的決済等)は各組合員・各業務執行者の単独判断で可。ただし他の組合員・業務執行者の異議があれば停止する民主的牽制機能あり。
この条文の練習問題を解く
各組合員は、組合の業務を執行する場合において、組合員の過半数の同意を得たときは、他の組合員を代理することができる。
2前項の規定にかかわらず、業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理することができる。
3この場合において、業務執行者が数人あるときは、各業務執行者は、業務執行者の過半数の同意を得たときに限り、組合員を代理することができる。
4前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができる。
規律
各組合員は業務執行時、組合員過半数の同意で他の組合員を代理可(1項)。業務執行者があるときは業務執行者のみ代理可、複数なら過半数同意で代理可(2項)。常務は単独で代理可(3項)。
趣旨
2020改正で新設。組合の対外的代理権の規律を明文化。組合は法人格なき団体として組合員全員が当事者となるため、代理を通じた業務執行の効率化が必要。670条業務決定執行と一体的構造。
1項・組合員代理
業務執行者を選任していない組合では、各組合員が過半数同意で他の組合員を代理。組合の取引相手は代理権の有無を組合員過半数の同意で判断。
2項・業務執行者排他
業務執行者選任後は組合員の代理権は喪失し業務執行者のみ代理可。組織化された組合の権限集中構造。複数業務執行者は過半数同意要件で組合内民主性を維持。
この条文の練習問題を解く
第六百四十四条から第六百五十条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する。
規律
644条〜650条の規定は組合業務を決定・執行する組合員について準用する。
趣旨
業務執行組合員の義務を委任に準じて規律。組合員は組合全体の事務を処理する立場で、受任者と類似の信認義務を負う。善管注意・報告・引渡し・費用償還等が一括準用される。
準用される義務
①644条善管注意義務、②645条報告義務、③646条受取物引渡し、④647条金銭流用責任、⑤648条報酬、⑥649条費用前払、⑦650条費用償還。広範な信認義務体系。
実務上の意義
業務執行組合員の責任は受任者と同等の重さ。組合への背任・流用は委任契約と同様の規律で処理され、組合員他人事務処理者として厳格な責任を負う。
この条文の練習問題を解く
組合契約の定めるところにより一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
2前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる。
規律
組合契約で1人又は数人の組合員に業務を委任したとき、その組合員は正当事由なく辞任不可(1項)。他の組合員一致で正当事由ある場合のみ解任可(2項)。
趣旨
業務執行組合員の地位を契約で固定化し、組合事業の安定運営を確保。受任者の随意解除(651条)と異なる強い拘束で、組合契約の特殊性を反映。
1項・辞任制限
正当事由(健康問題・他事業従事不能・組合員間の重大対立等)に限定。委任の随意解除(651条)とは大きく異なる強い拘束。
2項・解任要件
他組合員全員一致+正当事由の二重要件。業務執行組合員の地位安定を強く保護し、組合員間紛争による解任を抑制。組合の事業継続性優位の構造。
この条文の練習問題を解く
各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。
規律
各組合員は、業務決定・執行権がないときでも、業務・組合財産状況を検査することができる。
趣旨
非業務執行組合員の監督権の保障。業務執行を一部組合員に委ねても、他の組合員は出資者として組合運営を監視する権限を持つ。共同事業体としての透明性確保。
検査権の内容
①業務状況の検査(事業進捗・取引状況)、②組合財産の検査(帳簿・資産状況)。具体的閲覧方法は組合契約・慣行で決まり、業務妨害となる過度な行使は権利濫用となる。
違反の効果
業務執行者が検査を拒否すれば681条以下の解散請求や除名事由ともなりうる。組合員の信頼関係維持の基本権。会社法における株主の閲覧請求権(会433)と類似機能。
この条文の練習問題を解く
当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
2利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。
規律
損益分配割合の定めなきときは、各組合員の出資価額に応じて定める(1項)。利益又は損失のみ分配割合を定めたときは、利益・損失共通と推定(2項)。
趣旨
損益分配の補充規定。組合契約で明示の定めがなければ出資比例の合理的推定で処理。利益・損失どちらかのみ定めた場合は両者共通とする推定で当事者意思を補充。
1項・出資価額比例
金銭出資・現物出資・労務出資いずれも価額を評価して比例分配。労務出資の価額評価は実務上難しく、組合契約で明示することが推奨される。
2項・推定の意義
利益分配「6対4」と定めて損失について沈黙の場合、損失も6対4と推定。当事者が利益分配のみ意識して契約した実態を反映する合理的推定。反証で覆せる。
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組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
2組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。
3ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。
規律
組合の債権者は組合財産について権利行使可(1項)。組合の債権者は選択により各組合員に対し損失分担割合又は等しい割合で権利行使可(2項本文)。ただし債権発生時に債権者が各組合員の損失分担割合を知っていたときはその割合による(2項ただし書)。
趣旨
組合債務の責任主体規律。組合は法人格なく組合員個人が無限責任を負う構造。組合財産と組合員個人財産の双方が責任財産となる二重責任構造を明示。
1項・組合財産への請求
組合債務はまず組合財産に対し執行可。組合員固有財産との分離があるため、組合債権者は組合財産を一括して引当てにできる。
2項・組合員個人責任
組合財産不足時は組合員個人へ請求可。割合は債権者選択で「損失分担割合」(674条)又は「等しい割合」のいずれか。ただし債権者が損失分担割合を知って取引した場合は前者で固定。
この条文の練習問題を解く
組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
2組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。
3組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。
規律
組合員が組合財産の持分を処分しても組合・取引第三者に対抗不可(1項)。組合員は組合財産たる債権について持分権利を単独行使不可(2項)。組合員は清算前に組合財産分割を求めることができない(3項)。
趣旨
合有財産の処分制限。668条の合有関係を具体化し、組合員の個別処分・行使・分割を制限することで組合事業の財産的基盤を保護。共有(249条以下)との大きな差異。
1項・持分処分の対抗不能
組合員間では持分譲渡可だが、組合・取引第三者に対抗できない。組合事業の安定性のため対外的に持分変更を否定する構造。
2項・3項・単独行使と分割の禁止
組合債権の取立て・組合財産の分割は組合員単独では不可。清算(685条以下)まで分割を待つことで、組合事業の継続性と組合債権者の信頼利益を保護。
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