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第七百三十二条の規定に違反して婚姻をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
重婚女出産時の父確定
重婚禁止(732条)違反で婚姻した女が出産し、772条で父を定められないときは、裁判所が父を定める。重婚状態下での嫡出推定の重複・不明状態の解消手段。
2022改正後の意義
2022改正で772条3項に「離婚後300日以内出生子は前夫の子と推定」「再婚後出生子は再婚夫の子と推定」が整備されたが、重婚事案では本条が必要。
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第七百七十二条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。
2前項の規定による子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が、子のために行使することができる。
3第一項に規定する場合において、母は、子が嫡出であることを否認することができる。
4ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
5第七百七十二条第三項の規定により子の父が定められる場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって、子の父以外のもの(以下「前夫」という。)は、子が嫡出であることを否認することができる。
6ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
7前項の規定による否認権を行使し、第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに子の父と定められた者は、第一項の規定にかかわらず、子が自らの嫡出であることを否認することができない。
嫡出否認の権利者(1項)
夫・前夫・子・母は嫡出否認の訴えを提起することができる。
改正のポイント(令和4年改正)
改正前は夫のみが否認権者だったが、改正後は子・母・前夫も加わり権利者が拡大された。
出訴期間(777条)
原則として子の出生を知った時から3年以内(子・前夫は子の出生時から3年)。
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次の各号に掲げる否認権は、それぞれ当該各号に定める者に対する嫡出否認の訴えによって行う。
2父の否認権
3子又は親権を行う母
4子の否認権
5父
6母の否認権
7父
8前夫の否認権
9父及び子又は親権を行う母
10前項第一号又は第四号に掲げる否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
嫡出否認権者の拡大(2022改正大)
改正前は父のみ。改正後は①父(被告:子又は親権母)、②子(被告:父)、③母(被告:父)、④前夫(被告:父及び子又は親権母)の4者に否認権付与。
母の否認権新設
改正前は母に否認権なく、嫡出推定が及ぶ子の母子関係解消手段がなかった。改正で母も否認権者となった。子の利益保護のための重要改正。
親権母不在時の特別代理人
父・前夫が親権母に対し行使しようとする場合、親権母不在なら家裁が特別代理人選任必須。否認訴訟手続の確保。
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父又は母は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失う。
嫡出否認権の喪失(嫡出承認)
父又は母は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失う。承認による否認権の喪失を定める形成権制限規定。
2022年改正の意義
改正前は父のみが否認権を有していたが、2022年改正で母にも否認権を認め、子・前夫にも否認権を拡張(774条)。本条もこれに対応し「父又は母」と並列。否認権の主体拡張に伴う放棄ルールの整備。
「承認」の意義
嫡出性を認める意思表示。明示の承認のみならず、相続放棄・養育費受領・命名届等の事実行為による黙示の承認も含む(最判昭46・4・20の判断枠組み)。
効果と射程
承認後は否認権を行使できず、嫡出推定が確定する。子の身分関係の安定性確保のため、承認後の翻意は許されない。承認は片面的・不可逆的な権利放棄行為。
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次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から三年以内に提起しなければならない。
2父の否認権
3父が子の出生を知った時
4子の否認権
5その出生の時
6母の否認権
7子の出生の時
8前夫の否認権
9前夫が子の出生を知った時
否認期間3年に伸長(2022改正大)
改正前は父1年。改正後は全否認権者につき3年(起算点は各者で異なる)。子の身分関係安定と否認権者の権利行使機会のバランス。
起算点
父:子の出生を知った時、子:出生時、母:子の出生時、前夫:前夫が子の出生を知った時。父・前夫は主観的認識起算、子・母は客観的起算。
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第七百七十二条第三項の規定により父が定められた子について第七百七十四条の規定により嫡出であることが否認されたときは、次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める時から一年以内に提起しなければならない。
2第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに子の父と定められた者の否認権
3新たに子の父と定められた者が当該子に係る嫡出否認の裁判が確定したことを知った時
4子の否認権
5子が前号の裁判が確定したことを知った時
6母の否認権
7母が第一号の裁判が確定したことを知った時
8前夫の否認権
9前夫が第一号の裁判が確定したことを知った時
再婚後子の否認後の再否認期間(2022改正で新設)
772条3項により再婚夫が父と定められた子が嫡出否認された場合、新たに父と定められた者(前夫)等の否認権行使期間を1年に短縮。連鎖的否認の長期化防止。
起算点
新父:新父が嫡出否認裁判確定を知った時。子・母・前夫:各々確定を知った時。連鎖否認の起点を統一して身分関係早期確定を図る。
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第七百七十七条(第二号に係る部分に限る。)又は前条(第二号に係る部分に限る。)の期間の満了前六箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができる。
2子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、第七百七十七条(第二号に係る部分に限る。)及び前条(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。
3ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。
4第七百七十四条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
5第七百七十七条(第四号に係る部分に限る。)及び前条(第四号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。
親権者不在時等の期間延長
否認期間満了前6か月以内に親権母・親権養親・未成年後見人不在の場合、親権回復・新養子縁組・後見人就職から6か月延長。子の権利保護のための特則。
子の特別延長権(同居期間短期)
父との同居期間が3年未満なら、子は21歳まで否認訴え可。短期同居で父子関係実体が乏しい場合、子に長期的否認権を保障。
父利益との調整
ただし父による養育状況に照らし父利益を著しく害する場合は不可。子の長期否認権と父の信頼利益のバランス調整。
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第七百七十四条の規定により嫡出であることが否認された場合であっても、子は、父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
監護費用償還義務の否定(2022年改正で新設)
774条により嫡出否認された場合でも、子は父であった者が支出した監護費用の償還義務を負わない。否認後の経済的調整について子を保護する規定。
立法趣旨
嫡出否認により遡及的に父子関係が否定されると、過去の養育費は法律上の根拠を失う。しかし子に対し過去の養育費返還を求めることは子の利益に著しく反するため、償還義務を法律で否定する。
「父であった者」の意義
嫡出推定により法律上の父とされていたが、否認により父でなかったことが確定した者。実際に養育に関与し費用を支出した期間が長期にわたる場合でも、子に対する償還請求は遮断される。
真の父との関係
本条は子と否認された父との関係のみを規律。否認された父が真の父(生物学上の父)に対して求償できるか否かは別途の問題で、703条不当利得等の枠組みで判断される。
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相続の開始後、第七百七十四条の規定により否認権が行使され、第七百七十二条第四項の規定により読み替えられた同条第三項の規定により新たに被相続人がその父と定められた者が相続人として遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときは、当該相続人の遺産分割の請求は、価額のみによる支払の請求により行うものとする。
否認後新被相続人の遺産分割請求権の価額化(2022年改正で新設)
相続開始後に774条による否認権行使と772条4項により新たに被相続人の父と定められた者が相続人として遺産分割請求する場合、他の共同相続人が既に分割等の処分をしていたときは、価額のみによる支払請求権となる。
910条との類似構造
910条(認知された相続人の価額支払請求権)と同型の規律。遡及的に相続人地位を取得した者の救済として、既了の遺産分割を覆さず価額のみで救済する取引安全・既了処理保護の思想。
立法趣旨
嫡出否認により実父子関係が確定する者が新たに相続人となる場合、既了の遺産分割を覆滅させると相続関係が著しく不安定化する。価額支払請求権により被認知者類似の救済を提供しつつ既了分割を維持。
改正前との比較
改正前は嫡出否認が父からしかできず、相続開始後の否認は実務上稀だった。改正で子・前夫等にも否認権が認められたことで、相続開始後の否認による相続人変動が想定され、本条が必要となった。
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嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
認知の意義
嫡出でない子は父または母が認知することができる。
性質
観念の通知(事実承認)。形成的効果を生ずる準法律行為的事実。届出により効力発生(781条)。
母の認知
判例は分娩の事実により当然に母子関係が発生するとし、母の認知は通常不要とする(最判昭37・4・27)。
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認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
認知能力の特則
認知は親が未成年者・成年被後見人であってもその法定代理人の同意を要しない。婚姻(738条)と同様、認知も身分行為として本人意思を最大限尊重。
本人の意思能力必要
ただし通説は認知意思能力(事理弁識能力)は必要と解する。意思無能力時の認知は無効。法定代理人の関与不要であっても本人意思は確保すべき。
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認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2認知は、遺言によっても、することができる。
認知の方式
認知は戸籍法届出による(生前認知)。届出は効力要件であり、口頭の認知意思では効力を生じない。要式行為。
遺言認知
遺言によっても認知可能(死後認知)。遺言効力発生時(死亡時)から認知効力発生。遺言執行者が届出(戸籍法64条)。
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成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
成年子認知の本人同意要件
成年子を認知するには本人承諾必要。認知遡及効により扶養義務発生(877条)等の効果が生じることへの本人保護。
趣旨:扶養強要防止
成年到達後の自由意思形成期に親子関係を一方的に押し付けないため。逆に未成年子は本人同意不要(保護的観点で認知の利益が大きいと推定)。
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父は、胎内に在る子でも、認知することができる。
2この場合においては、母の承諾を得なければならない。
3前項の子が出生した場合において、第七百七十二条の規定によりその子の父が定められるときは、同項の規定による認知は、その効力を生じない。
4父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。
5この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
胎児認知と母の承諾
胎児認知は母の承諾必要。母の名誉・プライバシー保護のため。出生後は不要(781条)。
嫡出推定との関係
胎児が出生し772条で父が定まる場合、胎児認知は効力を失う。嫡出推定優先の調整規定(2022改正で明文化)。
死亡子認知
死亡子も直系卑属あるとき限り認知可。直系卑属が成年なら承諾必要。死亡認知は通常、孫の代襲相続等の利益を意図する。
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認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。
2ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
認知の遡及効
認知は出生時に遡って効力。父子関係は出生時から存在したものとして扱われ、扶養請求・相続関係も遡る。
第三者既得権の保護
ただし第三者が既に取得した権利を害することはできない。例:被認知者出生後・認知前に他相続人がした遺産分割・取引は遡及効で覆らない。判例(最判昭和54.3.23)。
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認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
認知取消禁止
認知した父母は認知を取消すことができない。身分関係の安定確保のため、認知意思形成後の撤回的取消を禁止。
認知無効の訴えとの区別
「取消」は禁止だが、認知に反対の事実(血縁不存在)があれば786条の認知無効の訴え可能。本条は意思の翻意による撤回禁止であり、事実誤認・意思の瑕疵への対応は別途。
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次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第七百八十三条第一項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から七年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。
2ただし、第三号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
3子又はその法定代理人
4子又はその法定代理人が認知を知った時
5認知をした者
6認知の時
7子の母
8子の母が認知を知った時
9子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、前項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。
10ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りでない。
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。
2ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
認知の訴え(強制認知)(本文)
子・その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起することができる。
出訴期間(但書)
父または母の死亡の日から3年を経過したときは提起できない。
趣旨
任意認知(779条)を拒む親に対し血縁関係に基づく子の法的地位を確保する制度。DNA鑑定等により事実認定。
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第七百六十六条から第七百六十六条の三までの規定は、父が認知する場合について準用する。
認知後の監護費用等準用
766-766条の3(離婚時の監護事項・親族交流・法定養育費)を父が認知する場合に準用。認知父も離婚父と同様の養育費負担規律。
実務的意義
非嫡出子の認知後、認知父からの養育費取得の法的根拠。2024改正で766条の3(法定養育費)も準用対象となり、認知父も自動的な養育費支払義務を負う。
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父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。
婚姻準正
父が認知した子は父母の婚姻によって嫡出子身分を取得する(認知→婚姻の順)。判例(大判昭和3.10.30)は本条1項の場合、婚姻時から嫡出子身分取得。
認知準正
婚姻中父母が認知した子は認知時から嫡出子身分取得(婚姻→認知の順)。
死亡子準正
子が既に死亡していた場合も準正規定を準用。代襲相続等の利益を確保するため。
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嫡出である子は、父母の氏を称する。
2ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
3嫡出でない子は、母の氏を称する。
嫡出子の氏
嫡出子は父母の氏(婚氏)を称する。婚姻時の夫婦同氏(750条)の帰結。
離婚後出生子
子の出生前に父母が離婚したときは離婚時の父母の氏(婚氏)を称する。離婚後復氏した親に従わず、婚氏を出発点とする。
嫡出でない子
嫡出でない子は母の氏を称する。父子関係が法的に存在しない(又は認知のみ)ため母系での氏付与。
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子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
家裁許可による氏変更
子が父母と氏を異にする場合(離婚後復氏した親の子・嫡出でない子等)、家裁許可を得て父母の氏に変更可能。子の福祉のため家裁チェック。
親氏変更による連鎖変更(許可不要)
父母の婚姻中、父母が氏を改めたことで子が氏を異にした場合、家裁許可不要で届出のみで父母の氏に変更可能。家族の氏同一性確保。
未成年子・成年後復氏
15歳未満は法定代理人が代行。氏変更で未成年子は成年到達後1年以内に従前氏に復することができる(自己決定権保障)。
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二十歳に達した者は、養子をすることができる。
養親の年齢要件
20歳に達した者は養子をすることができる。2018年改正前は「成年に達した者」だったが、成年年齢18歳引下げに伴い20歳に固定(養親の成熟性確保のため)。
趣旨
養親には監護養育能力が必要であり、未成年や成年直後では不十分とする政策判断。養子縁組の安定性確保。
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尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
尊属・年長者養子の禁止
尊属または年長者を養子とすることはできない。
趣旨
親子関係の自然な秩序維持。年下が親、年上が子という擬制が社会通念に反するため。同年でも一日でも年長なら不可。
違反の効果
縁組無効(802条1号の要件違反として無効)。
この条文の練習問題を解く
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
2後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。
規律
後見人が被後見人(未成年被後見人・成年被後見人)を養子とする縁組には、家庭裁判所の許可が必要。後見人任務終了後も管理計算未了の間は同様。
趣旨
後見人と被後見人の人的・財産的関係は支配的になりやすく、計算責任の追及を縁組によって免れる潜脱を防ぐ。被後見人保護のための家裁の後見的関与。
違反の効果
許可を欠く縁組は無効ではなく取消事由(806条)。取消権者は養子またはその実方親族。管理計算終了後の追認・6か月経過で消滅。
798条との関係
未成年被後見人を養子とする場合は794条(後見人縁組許可)と798条(未成年養子の許可)の双方が必要。両者の許可は別個に審査される。
この条文の練習問題を解く
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。
2ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
配偶者ある者の未成年者養子(本文)
配偶者ある者が未成年者を養子とするには配偶者とともにしなければならない。夫婦共同縁組原則。
例外(但書)
配偶者の嫡出子を養子とする場合、または配偶者がその意思を表示できない場合は単独可。
趣旨
未成年者の養育環境安定のため夫婦そろっての縁組を要求。子の福祉重視。
成年養子との対比
成年養子の場合は796条のみで配偶者の同意で足り共同縁組不要。
この条文の練習問題を解く
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。
2ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
配偶者の同意(本文)
配偶者ある者が縁組をするには配偶者の同意を得なければならない。成年養子・養子になる場合も対象。
例外(但書)
配偶者とともにする場合(795条夫婦共同縁組)または配偶者がその意思を表示できない場合は同意不要。
違反の効果
806条の2により取消し原因。詐欺強迫による同意も同様に取消し可(806条の3)。
この条文の練習問題を解く
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。
3養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
4第一項の縁組をすることが子の利益のため特に必要であるにもかかわらず、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが縁組の同意をしないときは、家庭裁判所は、養子となる者の法定代理人の請求により、その同意に代わる許可を与えることができる。
5同項の縁組をすることが子の利益のため特に必要であるにもかかわらず、養子となる者の父母で親権を停止されているものが縁組の同意をしないときも、同様とする。
6第一項の承諾に係る親権の行使について第八百二十四条の二第三項に規定する請求を受けた家庭裁判所は、第一項の縁組をすることが子の利益のため特に必要であると認めるときに限り、同条第三項の規定による審判をすることができる。
代諾縁組(1項)
養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が代わって縁組の承諾をすることができる。15歳未満の意思能力に対応する制度。
監護者の同意(2項)
法定代理人が1項の承諾をするには、養子となる者の父母で監護権者でその他の者があるときはその同意を得なければならない。父母離婚後の監護親保護。
対象範囲
15歳以上の養子は自ら縁組意思表示可能(代諾不可)。
この条文の練習問題を解く
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
2ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
家裁許可(本文)
未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可を得なければならない。子の福祉審査の制度的担保。
例外(但書)
自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合は不要(孫養子・配偶者の連れ子養子は親族関係上問題なしとして許可不要)。
違反の効果
807条により取消し可。家裁が縁組の動機・養育環境・経済力等を実質審査。
この条文の練習問題を解く
第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組について準用する。
規律
婚姻に関する738条(成年被後見人の婚姻)・739条(届出による効力発生)の規定を縁組に準用する。
738条準用の意義
成年被後見人が縁組をするには成年後見人の同意は要しない。意思能力さえあれば本人の意思のみで縁組可能。婚姻同様、本人の身上に関する事項として後見人の干渉を排除する。
739条準用の意義
縁組は戸籍法の届出により効力を生ずる(要式行為)。届出は当事者双方および成年の証人2人以上が署名した書面または口頭で行う。
適用範囲
普通養子縁組のみ。特別養子縁組は家庭裁判所の審判により成立する(817_2)ため届出主義は採らない。
この条文の練習問題を解く
縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
規律
縁組届の受理は、その縁組が792条から799条までの規定およびその他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、できない。
趣旨
戸籍事務管掌者(市町村長)に実質的審査義務を課し、無効・取消事由のある縁組を水際で阻止する。婚姻の740条に対応する規定。
違反受理の効果
実質的審査義務違反で受理されても、縁組自体の効力は妨げられない(739条準用の届出受理により成立)。形式審査と実質審査の区別。事後的に取消事由として処理。
審査対象
養親20歳以上(792)、尊属・年長者でないこと(793)、後見人縁組の家裁許可(794)、夫婦共同縁組(795)、配偶者同意(796)、代諾権者の同意(797)、未成年養子の家裁許可(798)等。
この条文の練習問題を解く
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。
2この場合においては、第七百九十九条において準用する第七百三十九条の規定及び前条の規定を準用する。
規律
外国在住の日本人間で縁組をする場合、駐在大使・公使・領事に届出ができる。この場合739条(届出主義)・800条(受理要件)を準用する。
趣旨
在外日本人の身分行為について本国の戸籍秩序への組み入れを容易にする。婚姻の741条に対応。在外公館で受け付け、本籍地市町村に送付して戸籍記載される。
適用要件
①当事者双方が日本人、②当事者双方が当該外国に在ること、③外国の方式(婚姻方式準拠法)によらず日本法上の方式を選択する場合。
実務
在外公館の領事が戸籍法上の市町村長の機能を代行する。受理後は本籍地に送付。準拠法は日本民法(婚姻准用構造)。
この条文の練習問題を解く
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
2人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
3当事者が縁組の届出をしないとき。
4ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
縁組無効事由(1号)
人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは縁組は無効。
縁組無効事由(2号)
当事者が縁組の届出をしないとき。ただし届出が739条2項規定の方式を欠くにすぎないときは無効としない。
縁組意思の意義
判例は「真に親子関係を成立させる意思」(実質的縁組意思説)。専ら他の目的(相続税対策・在留資格取得等)のための縁組は意思を欠き無効(最判昭23・12・23参照)。
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縁組は、次条から第八百八条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
規律
縁組の取消しは、804条から808条までの規定によらなければすることができない。
趣旨
縁組取消事由を法定し、限定列挙とする。身分行為の効力を不安定にしないよう、一般の意思表示瑕疵法理(民法総則)の適用を排除する原則を明文化(744条の婚姻取消に対応)。
総則規定の排除
錯誤(95条)・詐欺強迫(96条)等の一般取消事由は適用されない。808条が詐欺・強迫を特則として取り込む。心裡留保・虚偽表示(93・94)も適用排除されるが、縁組意思を欠く場合は無効(判例・通説)。
無効と取消の区別
縁組意思の欠缺・縁組届出を欠く場合は当然無効(802条)。取消は804-808条所定の事由のみ。
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第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2ただし、養親が、二十歳に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
規律
792条違反(養親が20歳未満)の縁組は、養親またはその法定代理人から家裁に取消請求できる。ただし養親が20歳に達した後6か月経過または追認したときは取り消せない。
趣旨
20歳未満養親の縁組について、判断力不足から養親を保護する趣旨。養親側に取消権を限定(養子・第三者は取消不可)。20歳到達後6か月の期間制限と追認制度で身分関係の早期安定を図る。
取消権者
養親本人またはその法定代理人。養子側は取消請求できない(養親保護目的のため)。
追認・期間制限
20歳到達後の追認意思または6か月の経過により取消権は確定的に消滅。20歳未満のうちは期間は進行しない。
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第七百九十三条の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
規律
793条違反(養子が尊属または年長者)の縁組は、各当事者またはその親族から家裁に取消請求できる。
趣旨
尊属年長者の養子化は家族秩序の根本に反するため、取消権者を広く認め、追認・期間制限も設けない。793条違反は身分秩序保護の絶対的要請に基づく。
取消権者
各当事者(養親・養子)またはその親族。804条と異なり親族にも取消権がある。
追認・期間制限なし
804条・806条・807条と異なり、追認や期間制限の定めがない。秩序維持の絶対性から取消権は時効消滅しない(通説)。
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第七百九十四条の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
3前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
4養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第一項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。
規律
794条違反(後見人と被後見人の家裁許可なき縁組)は、養子またはその実方親族から家裁に取消請求できる。管理計算終了後に養子が追認または6か月経過したときは取消不可。
趣旨
被後見人保護のため取消権者を養子側に限定。後見人側からの取消は認めない。管理計算による責任関係の清算後に追認・期間経過で取消権を消滅させ、身分関係の早期安定を図る。
追認の効力要件(2項)
養子の追認は、養子が成年に達し、または行為能力を回復した後でなければ効力を生じない。判断能力ある状態での追認のみ有効。
期間の起算(3項)
管理計算終了時に養子が未成年または行為能力未回復の場合、6か月期間は養子が成年到達または行為能力回復時から起算。
取消権者
養子またはその実方親族(後見人側=養方は取消不可)。
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第七百九十六条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2ただし、その者が、縁組を知った後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
3詐欺又は強迫によって第七百九十六条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
4ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
配偶者同意なき縁組の取消し(1項)
796条違反(配偶者ある者が単独で養子縁組・配偶者同意なし)の縁組は、同意していない配偶者から家庭裁判所に取消請求可能。縁組を知った後6か月経過または追認で失権。
詐欺・強迫による同意の取消し(2項)
詐欺強迫で796条同意した者は取消請求可能。6か月期間制限。
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第七百九十七条第二項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
3前条第二項の規定は、詐欺又は強迫によって第七百九十七条第二項の同意をした者について準用する。
子の監護者同意なき縁組の取消し
797条2項違反(15歳未満養子・監護者同意なし)の縁組は、同意していない監護者から取消請求可能。追認または養子15歳到達後6か月経過で失権。
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第七百九十八条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
規律
798条違反(未成年者の養子縁組について家裁許可を欠く)の縁組は、養子・その実方親族・養子に代わって縁組を承諾した者(代諾権者)から家裁に取消請求できる。ただし養子が成年到達後6か月経過または追認したときは取消不可。
趣旨
未成年者保護のため家裁許可違反を取消事由とする。取消権者は養子側に限定。成年到達後の追認・期間経過で取消権を消滅させ早期安定を図る。
取消権者の範囲
①養子本人、②実方親族、③代諾権者(797条の法定代理人)。養親側は取消不可。
806条との対比
806条(後見人縁組)が追認の効力要件として成年・行為能力回復を要求するのに対し、本条はそうした制限を置かない。両条とも未成年保護だが、後見人事案の方が利益相反性が高いため要件が加重されている。
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第七百四十七条及び第七百四十八条の規定は、縁組について準用する。
2この場合において、第七百四十七条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
3第七百六十九条及び第八百十六条の規定は、縁組の取消しについて準用する。
婚姻取消し規定の準用(1項)
744条・745条・747条の規定は縁組について準用。詐欺強迫による縁組も取消し可。
離婚規定の準用(2項)
769条・816条の規定は縁組取消しに準用。離縁同様の効果(復氏・子の監護)。
意義
縁組取消しの効果を体系的に整理。準用構成により条文経済を実現。
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養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
規律
養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得する。
趣旨
縁組の中核的効果。法定血族関係を発生させ、養親子間に嫡出親子と同一の身分関係(扶養・相続・親権等)を生じさせる。
実方との関係(普通養子)
普通養子は実方の親族関係を維持したまま養親方の親族関係を新たに取得する(二重の親族関係)。実親も養親も親権者となりうる構造。
特別養子との対比
特別養子(817_9)では実方との親族関係が原則終了する。両者の本質的相違点。
相続上の効果
養子は養親の第1順位法定相続人(887)。実親に対しても相続権を保持(普通養子の場合)。代襲相続では縁組前出生子は養親系列の代襲相続権を持たない(887_2但書)。
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養子は、養親の氏を称する。
2ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
規律
養子は養親の氏を称する。ただし婚姻によって氏を改めた者は、婚姻中に定めた氏を称すべき間は養親の氏に変更しない。
趣旨
養子縁組の身分関係的効果として氏の同一化を原則とする一方、婚姻氏優先の原則(750条)との調整を図る。婚姻による氏の選択を尊重し、夫婦同氏を破壊しない。
但書の意義
婚姻で配偶者の氏を称した者は、養子縁組をしても婚姻氏を維持。離婚または配偶者の死亡で婚姻氏が消滅した時点で養親の氏に変更する(実務)。
特別養子との対比
特別養子も同様に養親の氏を称するが、実方親族関係終了(817_9)と相まって完全な家族統合となる。普通養子は実方との二重関係のため氏のみが養親方となる点で差異がある。
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縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その双方又は一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5この場合においては、第八百十九条第七項の規定を準用する。
6第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
7縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
協議離縁(1項)
縁組の当事者は協議により離縁できる。当事者の自由意思による離縁を認める。
養子が15歳未満の場合(2項)
養親と養子の離縁後の法定代理人となるべき者との協議による。代諾離縁。
法定代理人がいない場合(3項)
2項の協議者がないとき、または死亡時は家裁が選任した者と協議する。
親子関係不存在の特例(4項)
養子の父母が死亡しているとき等は4項により家裁の許可で離縁できる。
養親死亡後の離縁(5項・6項)
養親死亡後は養子の意思で家裁の許可を得て離縁可能(死後離縁)。
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養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。
2ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
夫婦養親と未成年者の共同離縁
養親が夫婦である場合に未成年者と離縁するには夫婦が共にしなければならない。ただし夫婦一方が意思表示不能時は除く。共同養子縁組(795条)と対応する共同離縁原則。
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第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。
2この場合において、同条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
規律
738条(成年被後見人の婚姻)・739条(届出主義)・747条(詐欺強迫による婚姻の取消)を協議離縁に準用する。747条2項の「3箇月」は「6箇月」と読み替える。
738条準用
成年被後見人の協議離縁にも後見人同意は不要。本人の意思のみで離縁可能(婚姻離婚と同一構造)。
739条準用
協議離縁は戸籍法の届出により効力を生ずる(要式行為)。届出受理が成立要件。
747条準用+6か月への読替
詐欺・強迫により協議離縁した者は取消請求できる。期間制限は婚姻取消の3か月でなく6か月(縁組関係の慎重な解消を担保)。
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離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定並びに第八百十一条及び第八百十一条の二の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。
規律
離縁届の受理は、812条で準用する739条2項・811条・811条の2その他の法令に違反しないことを認めた後でなければできない(1項)。違反受理されても離縁の効力は妨げられない(2項)。
趣旨
形式的審査と実質的審査を区別。市町村長に形式違反のない受理を求めるが、誤って受理された場合の身分関係の安定性を優先(婚姻離婚における765条の対応)。
1項の審査対象
①証人2人の署名(739条2項)、②未成年養子の場合の親権者協議・家裁関与(811条)、③夫婦である養親と未成年養子の共同離縁(811_2)等の要件適合性。
2項の重要性
違反受理でも離縁効力は維持される。協議離縁の身分行為としての安定性を保護。婚姻離婚の765条2項と同一構造。
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縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
2他の一方から悪意で遺棄されたとき。
3他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
4その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
5第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。
裁判離縁事由(1項)
縁組当事者の一方は次の場合に離縁の訴えを提起できる。①他の一方から悪意で遺棄されたとき、②他の一方の生死が3年以上明らかでないとき、③その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
悪意の遺棄
正当な理由なく扶養同居義務を放棄。判例は経済的遺棄も含む。
縁組継続困難事由
暴力・虐待・著しい人格不一致・養親養子の事実上の親子関係破綻等。
770条準用(2項)
770条2項の規定(裁量棄却)は裁判離縁に準用。事由があっても継続適当と認めれば棄却可。
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養子が十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。
15歳未満養子の裁判離縁当事者
養子が15歳未満であるときは811条2項の規定により養親と離縁の協議をすべき者から、またはこれに対して、離縁の訴えを提起する。
趣旨
意思能力不十分な養子に代わり監護権者等が訴訟当事者となる。15歳基準は797条代諾縁組と平仄を合わせる。
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養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。
2ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
3縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
離縁による復氏(1項)
養子は離縁により縁組前の氏に復する。ただし配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁の場合は復氏しない。
離縁の際に称していた氏の継続使用(2項)
縁組の日から7年経過後に離縁した者は、離縁の日から3か月以内に届け出ることにより縁組中の氏を称することができる(婚氏続称類似の制度)。
趣旨
原則として復氏で身分関係を縁組前に戻すが、長期にわたる縁組では社会生活への影響を考慮して続称を認める。
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11前項の規定は、同項に規定する子の法定代理人が第一項の認知の無効の訴えを提起する場合には、適用しない。
12第一項及び第二項の規定により認知が無効とされた場合であっても、子は、認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
認知無効訴え(2022改正で大幅整備)
改正前は提訴期間制限なしだったが、改正で7年の出訴期間を設定。子・親権者は認知を知った時、認知者は認知時、子の母は認知を知った時から各7年以内。
子の利益による母の制限
子の母による無効主張が「子の利益を害することが明らか」なら不可。母独自の権利として認めつつ子の福祉優先。
子の特別期間(同居3年未満)
認知者との同居期間3年未満の子は、原則7年経過後も21歳まで無効訴え可。短期同居で実体的親子関係薄い場合の子の権利保障。ただし認知者の利益を著しく害する場合は不可。
監護費用償還義務免除
認知無効確定後も子は認知者が支出した監護費用償還義務を負わない。子の利益保護を貫徹。
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