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第二百四十二条から前条までの規定により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も、消滅する。
2前項に規定する場合において、物の所有者が、合成物、混和物又は加工物(以下この項において「合成物等」という。)の単独所有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その合成物等について存し、物の所有者が合成物等の共有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その持分について存する。
付合等による他の権利の消滅(1項)
242条から246条(付合・混和・加工)により物の所有権が消滅したとき、その物に存する他の権利(抵当権・質権等)も消滅する。原始取得の絶対的効果。
単独所有者となった場合(2項前段)
物の所有者が合成物等の単独所有者となったときは、その物に存した他の権利は合成物等に存続する。所有権が単独に集中した場合は権利の継続性を確保。
共有者となった場合(2項後段)
共有者となった場合は、他の権利はその持分に存する。共有持分への変換。例えば抵当権の付いた材木と他人材木で建物を付合し共有となれば、抵当権は当該共有者の持分上に存続する。
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第二百四十二条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第七百三条及び第七百四条の規定に従い、その償金を請求することができる。
規律
242条から247条までの規定の適用によって損失を受けた者は、703条・704条に従い償金を請求できる。
趣旨
付合・混和・加工により所有権を失った者の救済。不当利得法による償金返還で経済的公平を回復。
703・704条適用の意味
①善意受益者: 現存利益の範囲で返還(703)、②悪意受益者: 利益+利息+損害賠償(704)。所有権取得者の主観で返還範囲が変わる。
請求権者
付合・加工等により所有権を喪失した元の所有者。請求の相手方は所有権を取得した者。
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各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
規律
各共有者は共有物全部について持分に応じた使用ができる(1項)。共有物を使用する共有者は他の共有者に持分超過使用の対価を償還する義務(2項、別段の合意除く)。共有者は善管注意で共有物を使用しなければならない(3項)。
2021年改正
改正前は1項のみで使用権限の根拠規定だった。改正で2項(償還義務)・3項(善管注意義務)が追加され、共有者間の利益調整を明文化。
2項の意義
1人が共有物全部を使用すれば他共有者の使用機会を奪う。持分超過分の対価償還を法定し、公平を確保。賃料相当額の月次清算が実務的処理。
3項の意義
共有者は自己物としての注意(自己の財産に対するのと同一の注意)ではなく、善管注意(一般人の合理的注意)を要する。共有物毀損リスクから他共有者を保護。
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各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
規律
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
趣旨
共有持分は本来当事者の合意または法律規定で定まるが、立証困難時のための補充規定。立証責任の所在を明確化。
推定の性質
「みなす」ではなく「推定する」。反証可能。出資割合・取得経緯等の立証で覆る。
実務
夫婦共有財産・兄弟共有相続財産等で持分割合が不明瞭な場合に機能。登記簿上の持分記載があれば反証材料となる。
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各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
規律
各共有者は他共有者の同意なしに共有物に変更(形状・効用の著しい変更を伴うもの)を加えることができない(1項)。他共有者の所在不明等で同意取得不可能な場合、裁判所は当該他共有者以外の同意で変更を許可する裁判ができる(2項)。
2021年改正
改正前は単に「変更を加えることができない」と全員同意主義だったが、改正で①「軽微変更」(形状・効用の著しい変更を伴わないもの)の除外と②所在不明共有者ありの場合の裁判所決定制度が追加。
変更の意義
共有物の物理的・法的状態に重大な変動を加える行為。土地の造成・農地転用・建物の重要部分改造等。軽微変更(外壁塗装・小規模補修等)は管理行為で過半数決定可(252)。
2項の意義
所有者不明土地問題への対応。所在不明者の存在で共有物利用が硬直化することを回避し、家裁関与で柔軟な利用を可能にする。
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共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
2共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
3裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
4共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
5共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
6前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
7共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等
共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。
2ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
3共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
4共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
5前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。
6ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
共有物管理者の権限(2021改正で新設)
共有物の管理者は共有物の管理に関する行為をすることができる。所有者不明土地問題への対処として、共有物の管理を実効化するための新設規定(2023年4月施行)。
管理者の選任
252条1項により共有者持分の過半数で決する。法人・自然人いずれも管理者となれる。共有者の中から選んでも外部の第三者を選任してもよい。
変更行為の制限(1項ただし書)
形状又は効用の著しい変更を伴う変更行為は共有者全員の同意が必要。管理者が単独で行えるのは「軽微な変更」までで、重大な変更は依然として全員同意が必要。
所在不明共有者がいる場合の特則(2項)
管理者の請求により裁判所は所在不明共有者以外の同意で変更を加えられる旨の裁判ができる。所有者不明問題対応の中核。
管理者の職務遂行義務(3項・4項)
共有者が管理事項を決した場合はこれに従う義務。違反行為は共有者に対抗できない(4項)。第三者保護のため4項ただし書で善意第三者には対抗できないとする。
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各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
規律
各共有者は持分に応じて管理費用その他共有物に関する負担を負う(1項)。共有者が1年以内に1項義務を履行しないとき、他の共有者は相当の償金を支払ってその持分を取得できる(2項)。
趣旨
共有物に関する費用負担の公平化と、長期間負担を怠る共有者からの持分強制取得制度。共有関係の維持と機能不全の解消を両立。
1項の対象費用
①管理費用(修繕費・固定資産税等)、②その他共有物関連負担(共益費・賦課金等)。各共有者は持分に応じて分担。
2項の取得制度
1年以上の不履行で他共有者が償金支払により持分を強制取得可能。共有関係の停滞解消装置。償金額は相当性が要件で個別判断。
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共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
規律
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
趣旨
共有物に関連して発生した債権の人的範囲を、持分の特定承継人にまで拡張。共有関係の物的牽連性ある債権の追跡可能性を確保。
対象債権
①管理費用立替金(253条1項関連)、②保存行為費用、③共有者間の損害賠償等。共有関係から生じた一切の債権。
効果
持分を譲り受けた者(特定承継人)は、譲渡人時代の対他共有者債務を承継。持分譲渡による債務逃れを防止し、共有関係の安定を図る。
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共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
規律
共有者の一人がその持分を放棄したとき、または死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属する。
趣旨
共有持分の無主物化を防ぎ、他共有者間で吸収する。共有関係の維持と共有持分の永続性を担保。
持分放棄
共有者の一方的意思表示で持分を消滅させる行為。受領者の同意不要。他共有者の持分が拡張する形で帰属。
相続人不存在との関係
本条と958_2(特別縁故者)・959(国庫帰属)の関係が問題。判例: 共有持分の場合は958_2・959に優先して255条が適用(最判平元年11月24日)。共有者保護のための特則。
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各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
2ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
3前項ただし書の契約は、更新することができる。
4ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
規律
各共有者はいつでも共有物の分割を請求できる(1項本文)。ただし5年を超えない期間で不分割契約可(1項但書)。不分割契約は更新可、更新時から5年を超えない(2項)。
趣旨
共有関係は本来暫定的・過渡的な状態とされ、各共有者にいつでも分割請求権を保障。長期的拘束による経済的不効率を回避。
分割請求権の性質
形成権的請求権。共有者は協議分割を試み、不調なら258条で裁判分割に移行。共有関係の解消手段。
不分割契約
全員合意による5年以内の不分割。実務上ありうる(家業継続・賃貸物件運用等)。期間経過後は更新可(5年単位)。
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前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。
境界標等への共有物分割不適用
前条(256条:共有物分割請求)の規定は、229条に規定する共有物(境界標・囲障・障壁・溝・堀)には適用しない。境界線上の物理的設備の共有関係には分割請求権を否定する例外。
立法趣旨
境界線上の設備は境界の物理的標識という公益的機能を持ち、分割請求を認めれば境界そのものが不安定化する。相隣関係の安定性を維持するための例外規定。
他の共有規定の適用
分割請求のみが排除され、その他の共有規定(使用249条・管理252条・変更251条等)は適用される。共有関係自体は維持される。
229条との連動
229条が境界標等の共有推定を定め、本条がその分割不可を定める。両者で境界線上共有物の特殊規律を完成させる。
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共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
3共有物の現物を分割する方法
4共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
5前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
6裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
規律
協議不調時は裁判所に分割請求可(1項)。裁判所は①現物分割、②全面的価額賠償(持分取得+金銭支払)のいずれかで分割を命じうる(2項)。前項で分割不可・著しい価額減少のおそれ時は競売命令可(3項)。裁判所は金銭支払・物引渡・登記義務履行等の給付を命令可(4項)。
2021年改正
改正前は現物分割原則・例外的競売の二択だったが、改正で全面的価額賠償方式(2項2号)を明文化。実務的取扱いを条文化。
判例の進化
改正前から判例(最判平8年10月31日)は全面的価額賠償を認めていたが、改正で正式に法定方法化。具体的妥当性のある柔軟な解決を可能にした。
4項の意義
分割裁判に付随する給付命令権(金銭・引渡・登記等)。一回的紛争解決を可能にし、実効性ある裁判結論を導く。
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共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。
2共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。
3ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。
4相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第一項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしなければならない。
共有物分割と遺産分割の調整(2021改正で新設)
共有物の全部又は持分が相続財産に属し共同相続人間で遺産分割すべき場合、当該共有物について258条の共有物分割訴訟を提起できない。遺産分割優先の原則。
10年経過後の例外(2項本文)
相続開始から10年経過後は、相続財産に属する持分について共有物分割が可能となる。長期間放置された遺産分割未了の共有関係を解消するための時限。
遺産分割請求と異議申出(2項ただし書・3項)
遺産分割請求があった場合に相続人が異議を申し出れば共有物分割は不可。異議は裁判所通知から2か月以内(3項)。手続的時間制限により遺産分割優先を担保。
改正の意義
従来は所有者不明問題の温床であった長期未了の遺産共有について、10年の時的限界を設けて法的紛争解決ルートを確保。2023年4月施行。所有者不明土地解消の柱の一つ。
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共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
2債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる。
共有者間の債権と分割時の弁済充当(1項)
共有者の一人が他の共有者に対し共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって弁済に充てることができる。分割局面での共有者間債権の優先弁済確保。
対象となる債権
共有物に関する債権(管理費用立替・修繕費用立替・共有持分の取得費用等)。共有関係から派生する債権を共有物分割と一括処理する実体法的調整。
売却請求権(2項)
債権者は弁済を受けるため債務者帰属部分の売却を必要とするときはその売却を請求できる。現物給付のみならず金銭化までを認める債権実現の保障。
破産法との関係
債務者である共有者が破産した場合の優先関係は破産法65条の別除権規定との関係で問題となる。本条は実体法上の優先権を定めるが、倒産処理での順位は別途検討を要する。
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共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
2前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
規律
共有物について権利を有する者および各共有者の債権者は、自己の費用で分割に参加できる(1項)。参加請求があったにもかかわらず参加させないで分割したときは、その分割は請求者に対抗できない(2項)。
趣旨
共有物に関連する第三者(用益権者・抵当権者・債権者等)の利益を分割手続で保護。第三者を巻き込まずに行われた分割の効力を制限。
参加者の範囲
①共有物の用益権者(賃借権・地役権者等)、②共有持分の担保権者(抵当権・質権者)、③共有者の一般債権者(債権者代位的観点)。
2項の効力
参加請求を無視した分割は、当該請求者に対抗不可。当該請求者は分割前の状態として権利行使でき、分割当事者間でのみ有効。
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各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。
規律
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。
趣旨
分割は実質的に持分の交換的取引であり、各共有者は売主類似の担保責任を負う。分割後の取得物の不適合リスクを共有者間で分担。
担保責任の内容
売買の契約不適合責任(562-566)が準用される。①追完請求、②代金減額類似請求、③損害賠償、④解除類似請求。持分割合で按分。
効果
分割で取得した物に瑕疵・権利欠陥があった場合、他の共有者全員に対し持分按分で担保責任追及可。分割の公平性確保。
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分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
2共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
3前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。
4協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
5証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。
証書保存義務(1項)
共有物分割が完了したときは、各分割者は取得した物に関する証書を保存しなければならない。所有権の沿革・権利関係を証明する証書の保管を分割者に義務付ける規定。
複数取得者がいる場合(2項)
共有者全員又は数人に分割した物の証書は、その物の最大部分取得者が保存。複数の取得者間で証書を一括保管する責任者を特定。
最大取得者がないとき(3項)
最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で保存者を定める。協議不調なら裁判所が指定。誰も保存しない事態を防ぐ補完規定。
保存者の使用許諾義務(4項)
証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて証書を使用させなければならない。所有権立証等のため他の分割者が証書を利用できることを保障。
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不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。
2この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按あん分してそれぞれ取得させる。
3前項の請求があった持分に係る不動産について第二百五十八条第一項の規定による請求又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。
4所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、第一項の裁判をすることができない。
5第一項の規定により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。
6前各項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
規律
不動産共有で他共有者を知ることができず又は所在を知ることができないとき、裁判所は共有者の請求により所在等不明共有者の持分を取得させる裁判をすることができる。請求者が複数なら持分割合で按分取得。
2021年改正・趣旨
所有者不明土地問題への抜本対応として新設(令和3年改正、令和5年4月施行)。共有者の所在不明により共有物の管理・処分が滞る事態を、持分集約により解消する制度。
要件
①不動産の共有、②他共有者が知れない又は所在不明、③裁判所への請求、④(相続財産の場合)相続開始から10年経過(4項)。258条1項の共有物分割請求等が先行し他共有者から異議があれば不可(3項)。
効果と償金
所在等不明共有者は時価相当額の支払請求権を取得(5項)。持分喪失の対価として法定の金銭請求権が発生する構造。所有権を除く使用収益権の共有にも準用(6項)。
この条文の練習問題を解く
不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。
2所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。
3第一項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。
4前三項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
規律
不動産共有で所在等不明共有者がいる場合、裁判所は共有者の請求により、他の共有者全員が特定の者に持分全部を譲渡することを停止条件として、所在等不明共有者の持分も当該特定の者に譲渡する権限を付与する裁判ができる。
2021年改正・趣旨
262条の2が「自己取得型」であるのに対し、本条は「第三者譲渡型」。共有不動産を第三者に一括売却する場面で、所在不明共有者の持分も含めて一体譲渡する道を開く。
要件
①不動産共有・所在等不明共有者の存在、②他共有者全員の第三者への持分全部譲渡(停止条件)、③裁判所の権限付与裁判、④相続財産は10年経過。停止条件構造により譲渡実行と持分処分を連動。
効果と償金
所在等不明共有者は譲渡した共有者に対し、不動産時価を持分按分した額の支払請求権を取得(3項)。譲受人は完全所有権を取得でき、所在不明共有者は対価で保護される。
この条文の練習問題を解く
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
規律
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、本節(共有規定)の規定を適用する。
趣旨
入会権という慣習法的団体的所有関係について、慣習を最優先しつつ、補充的に民法の共有規定を適用する二段階構造。地域共同体の伝統的利用関係を尊重。
入会権の意義
村落共同体員が山林・原野・漁場等を共同利用する慣習的権利。物権法上の特殊な団体的権利。所有形態に応じて「共有の性質を有する」(本条)と「地役の性質を有する」(294)に分類。
慣習法の優位
①地方慣習が最優先、②慣習が不明・不存在分野で民法共有規定を補充適用。地域固有の伝統的調整原理を尊重する立法。
この条文の練習問題を解く
この節(第二百六十二条の二及び第二百六十二条の三を除く。)の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。
2ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
規律
本節(249-263、262_2・262_3を除く)の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合(準共有)について準用する。ただし法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
趣旨
所有権以外の財産権(地上権・賃借権・知的財産権・債権等)を数人で有する場合に共有規定を準用。準共有関係の処理ルールを統一。
適用対象
①用益物権(地上権・地役権・永小作権の共有)、②担保物権(抵当権の準共有)、③債権(共同債権・準共有債権)、④知的財産権(特許権・著作権の共有)。
「特別の定め」
知的財産法(特許法73等)・組合法(民法667以下)等の特別規定が優先。準共有規定は補充的役割。
この条文の練習問題を解く
裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。
2所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)にある動産(当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
3所有者不明土地管理命令は、所有者不明土地管理命令が発せられた後に当該所有者不明土地管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。
規律
所有者を知ることができず又は所在を知ることができない土地(共有の場合は所在不明共有持分)について、裁判所は利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる。
2021年改正・趣旨
従来の不在者財産管理人・相続財産管理人は所有者単位の包括管理で、対象土地に限定した機動的管理ができなかった。本条は対象土地に特化した管理制度を新設し、所有者不明土地問題に対応。
効力の及ぶ範囲
命令対象土地(共有持分対象なら共有物である土地)の上にある所有者所有の動産にも効力が及ぶ(2項)。管理処分により管理人が得た財産にも継続的に命令効力が及ぶ(3項)。
管理人選任
命令時に裁判所が所有者不明土地管理人を必ず選任(4項)。利害関係人請求が要件のため、隣地所有者・地方公共団体・買取希望者等が請求権者。
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前条第四項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。
2所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
3ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。
4保存行為
5所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
規律
所有者不明土地管理人選任により、所有者不明土地等の管理処分権は管理人に専属する。保存行為・性質変更しない範囲の利用改良行為を超える行為には裁判所の許可が必要。許可なきことは善意の第三者に対抗できない。
趣旨
管理人に強い処分権限(売却含む)を与えつつ、本来の所有者保護のため裁判所許可を要求。同時に取引安全のため善意第三者保護規定を置く。
管理処分権の専属
従来の不在者財産管理人と異なり、対象土地について管理人に管理処分権が「専属」する。所有者本人の処分行為は無効となる強い権限。
許可不要の範囲
①保存行為(修繕等)、②性質を変えない利用改良行為(賃貸・改良工事)。これを超える売却・建築・大規模変更等は裁判所許可必要。善意第三者保護は取引相手の調査負担を軽減する取引安全条項。
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所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。
規律
所有者不明土地管理命令が発せられた場合、所有者不明土地等に関する訴えは所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。
趣旨
所有者不明のため当事者適格が確保できない事態を回避し、訴訟手続上の当事者を管理人に集約。管理対象土地に関する権利義務関係の確定を可能にする訴訟法的手当。
対象訴訟
所有者不明土地等に関するあらゆる訴え(所有権確認・登記請求・賃料請求・損害賠償等)。管理人の訴訟追行権は法定訴訟担当として位置付けられる。
効果
判決効は本来の所有者にも及ぶ(既判力の拡張)。管理人が訴訟当事者となることで、所有者不明状態でも訴訟による紛争解決が可能になる。
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所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。
2数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。
規律
所有者不明土地管理人は、所有者(共有持分権者を含む)のために、善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって権限を行使しなければならない。数人の共有持分対象なら全員のため誠実かつ公平に行使。
趣旨
強力な管理処分権を与える代償として、本来の所有者の利益を保護する善管注意義務と公平義務を課す。所有者不在下でも所有者保護を実現する基本規律。
善管注意義務
通常の管理人と同水準の注意義務。644条の受任者の善管注意義務と同質。違反すれば損害賠償責任を負う。
公平義務(2項)
複数共有持分対象の場合、共有持分権者間の利害が対立しうるため、誠実・公平義務を明文化。特定共有者に偏った処分を禁ずる。
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所有者不明土地管理人がその任務に違反して所有者不明土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。
2所有者不明土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
規律
管理人が任務違反により所有者不明土地等に著しい損害を与えた等の重要事由があるとき、裁判所は利害関係人請求により解任できる(1項)。管理人は正当事由があれば裁判所の許可を得て辞任できる(2項)。
趣旨
管理人の職務適格性を継続的に担保する仕組み。所有者保護のため不適格管理人を排除し、管理人側の事情変化にも対応する。
解任要件
①任務違反、②著しい損害、③その他重要事由。利害関係人(隣地所有者・地方公共団体等)の請求に基づき裁判所が判断。
辞任要件
①正当事由(健康悪化・利益相反等)、②裁判所許可。一方的辞任を許さず、許可を要件として管理継続性を確保。
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所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。
規律
所有者不明土地管理人は所有者不明土地等から、裁判所が定める額の費用前払及び報酬を受けることができる(1項)。管理に必要な費用・報酬は所有者(共有持分権者含む)の負担(2項)。
趣旨
管理人就任のインセンティブを確保しつつ、費用負担を本来の利益帰属主体である所有者に課す。所有者不明土地から直接費用を支弁できる仕組みで管理人の資金繰りを保障。
費用前払
実費を事前に支出できる。管理活動の機動性確保。
所有者負担の意味
所有者が現れた場合、管理人費用は所有者負担となる。所在判明後の精算は土地から優先的に支弁されるため、所有者の手元資金がなくとも土地から回収可能。
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裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。
2所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。
裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地管理人(第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「管理不全土地管理命令」という。)をすることができる。
2管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産(当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
3裁判所は、管理不全土地管理命令をする場合には、当該管理不全土地管理命令において、管理不全土地管理人を選任しなければならない。
規律
所有者による土地管理が不適当であることにより他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され又はそのおそれがあるとき、裁判所は利害関係人請求により管理不全土地管理人による管理を命じる処分(管理不全土地管理命令)ができる。
2021年改正・趣旨
所有者は判明しているが管理放棄により隣地・周辺に損害(雑草・崖崩れ・空き家化等)を与えるケースに対応する新制度。所有者不明土地管理命令との対概念(所有者判明×管理不良)。
要件
①所有者の管理不適当、②他人の権利・法律上保護される利益の侵害又はそのおそれ、③必要性、④利害関係人の請求。所有者の特定は問わない(判明していても可)。
効力の範囲(2項)
管理不全土地上の所有者所有動産にも効力が及ぶ。所有者不明土地管理命令と同様の効力範囲。
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管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
3ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
4保存行為
5管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
6管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。
規律
管理不全土地管理人は管理不全土地等の管理処分権限を有する。保存行為・性質変更しない利用改良行為を超える行為は裁判所許可必要。許可なきことは善意無過失第三者に対抗できない(2項)。処分許可には所有者の同意必要(3項)。
趣旨
所有者不明土地と異なり所有者が判明しているため、所有者の処分権を完全には奪わない。処分行為には所有者同意を要求する点が決定的相違。
264_3との対比
①「専属」ではない(所有者処分権を奪わない)、②善意第三者保護要件が「善意無過失」と厳格化、③処分許可に所有者同意が必要。所有者の処分権との調整原則。
所有者同意要件
所有者が判明している以上、最終的処分権は所有者にある。同意なき処分は所有権侵害となるため、所有者の手続的保障を担保。
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管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。
2管理不全土地等が数人の共有に属する場合には、管理不全土地管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。
規律
管理不全土地管理人は管理不全土地等の所有者のために善管注意義務をもって権限を行使。数人共有の場合は共有持分権者全員のために誠実かつ公平に行使。
趣旨
264条の5(所有者不明土地管理人の義務)と同質の善管注意義務・公平義務。所有者判明の場合でも管理人の職務遂行水準を統一する。
264_5との関係
規律はほぼ同一。所有者の所在判明・不明に関わらず管理人の基本義務は同一水準で統一する立法政策。
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管理不全土地管理人がその任務に違反して管理不全土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全土地管理人を解任することができる。
2管理不全土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
規律
管理不全土地管理人が任務違反により管理不全土地等に著しい損害を与えた等の重要事由があるとき、裁判所は利害関係人請求により解任できる(1項)。管理人は正当事由があれば裁判所許可を得て辞任できる(2項)。
趣旨
264条の6(所有者不明土地管理人の解任辞任)と同質。管理人の職務適格性継続担保。
264_6との関係
規律は同一。管理不全土地と所有者不明土地で管理人交代手続を統一。
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管理不全土地管理人は、管理不全土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2管理不全土地管理人による管理不全土地等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全土地等の所有者の負担とする。
規律
管理不全土地管理人は管理不全土地等から裁判所が定める額の費用前払及び報酬を受けることができる(1項)。管理に必要な費用・報酬は管理不全土地等の所有者の負担(2項)。
趣旨
264条の7と同質。所有者判明の場合、所有者は管理人費用を負担する責任を負う。管理放棄のコストを所有者に帰属させる立法政策。
所有者責任の明確化
管理を怠ったため管理人選任を要した責任は所有者にある。費用負担を所有者に課すことで、管理放棄のディスインセンティブを設計。
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裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。
2管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。
4第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。
規律
所有者による建物の管理が不適当で他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され又はそのおそれがあるとき、裁判所は利害関係人請求により管理不全建物管理人による管理を命じる処分(管理不全建物管理命令)ができる。264条の10から13までを準用。
趣旨
管理不全土地管理命令の建物版。空き家問題への対応として、所有者判明・管理放棄ケースに機動的管理を導入。建物特有の敷地利用権にも効力を及ぼす。
効力の範囲(2項)
建物内の所有者所有動産+建物を所有するための敷地利用権(賃借権等)にも及ぶ。建物管理に敷地利用権管理が不可欠との配慮(264_8と同様の構造)。
準用規定
管理人の権限(処分許可に所有者同意必要)・義務・解任辞任・報酬は264条の10から13まで準用。所有者保護と管理人権限のバランス維持。
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地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
規律
地上権者は、他人の土地において工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
趣旨
他人土地利用のための物権としての地上権を定義。賃借権(債権)と並ぶ土地利用権の主要類型。
地上権と賃借権の対比
①性質: 物権 vs 債権、②対抗力: 登記による対抗(177) vs 登記+借地借家法、③譲渡・転貸: 自由 vs 賃貸人承諾要(612)、④存続期間: 設定行為で定める vs 借地借家法の最低保障。
対象
「工作物又は竹木」。工作物は建物・橋・トンネル・道路等の人工構造物。竹木は植林された林木。野菜・穀物等の一年生作物は永小作権(270)の領域。
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第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
地代支払地上権への永小作権規定準用(1項)
274条〜276条(永小作権の小作料関係)の規定は、地上権者が土地所有者に定期地代を支払う場合について準用。地代支払型の地上権について永小作権ルールを借用する規定。
準用の効果
274条(不可抗力でも減免不可)・275条(不可抗力で3年無収益等の場合の放棄)・276条(2年以上地代不払で消滅請求)の各規定が地代支払地上権者に準用。地代の安定確保と債務不履行時の処理。
賃貸借規定の準用(2項)
地代については本条1項の準用に加え、性質に反しない限り賃貸借に関する規定を準用する。601条以下の賃貸借規定が地代関係に補充的に適用。
立法趣旨
地上権は物権だが、地代支払型の場合は経済実態が賃貸借に類似する。賃貸借ルールの借用により実態に即した規律を実現。
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前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。
2ただし、第二百二十九条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。
相隣関係規定の準用(本文)
前章第一節第二款(相隣関係:209条〜238条)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地所有者との間に準用する。地上権の権利行使範囲についても相隣関係の調整ルールを適用。
準用される規定
隣地使用権(209条)・囲繞地通行権(210-213条)・ライフライン設備権(213_2-3)・水流関係(214-222条)・境界標(223-228条)・建築距離(234-238条)等。
境界標等に関する例外(ただし書)
229条(境界標等の共有推定)は、境界線上工作物が地上権設定後に設けられた場合に限り地上権者について準用。設定前の既存工作物は土地所有者の共有関係に属するという区別。
ただし書の趣旨
地上権設定時に既に存在した境界標等は地上権者の関知しない権利関係であり、地上権者を共有者として組み入れるのは適切でないという衡平の判断。
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設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。
2ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
3地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
存続期間定めなき場合の放棄権(1項)
設定行為で地上権存続期間を定めず、別段の慣習もないときは、地上権者はいつでも放棄できる。期間不定の地上権からの離脱を保障。
地代支払時の予告・支払(1項ただし書)
地代を支払うべき場合は1年前の予告又は期限未到来1年分の地代支払が必要。土地所有者の収益期待を保護する経過的制限。
放棄しない場合の存続期間決定(2項)
地上権者が放棄しない場合、裁判所は当事者請求により20年以上50年以下の範囲で、工作物・竹木の種類状況・設定当時の事情を考慮して存続期間を定める。
立法趣旨
存続期間不定の地上権を放置すれば法律関係が不安定化するため、放棄又は裁判による期間決定で確定させる。当事者意思と裁判所の補充的役割を組み合わせた解決。
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地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。
2ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
3前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
地上権者の収去権(1項本文)
地上権消滅時に、地上権者は土地を原状回復して工作物・竹木を収去できる。投下資本回収のための権利。
土地所有者の買取請求権(1項ただし書)
土地所有者が時価相当額を提供して買い取る旨を通知したときは、地上権者は正当な理由がなければ拒めない。社会経済的損失を防ぐための強制買取制度。
「正当な理由」
地上権者の主観的・経済的事情で工作物保存に特別の利益があるとき等が該当。実務上は限定的に解される。
慣習優先(2項)
前項と異なる慣習があるときは慣習に従う。地域固有の地上権慣行を尊重する任意規定。
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地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。
2この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
3前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。
4この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
規律
地下・空間は工作物所有のため上下の範囲を定めて地上権の目的にできる(1項前段)。設定行為で地上権行使のため土地使用に制限を加えることが可能(1項後段)。第三者使用収益権がある場合でも、関係権利者全員の承諾があれば設定可、地上権行使を妨げられない(2項)。
趣旨
土地の上下範囲を限定した区分地上権を法定。地下鉄・送電線・大深度地下利用等、現代的土地利用の高度化に対応。
区分地上権の特徴
通常の地上権が土地全体に及ぶのに対し、上下範囲を限定(例: 地下10m〜30m)。表層土地は所有者・他用益権者が利用可。空間的多層利用を可能にする。
実務
地下鉄事業・地下街・送電線(高圧線)・橋梁の脚部空間等。大深度地下使用法(地下40m超)との関係も問題。
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永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
永小作権の定義
永小作人は小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。物権としての永小作権の本質規定。
「物権性」と賃借権との区別
永小作権は物権であり、登記により第三者対抗(177条)。一方、農地賃借権は債権(農地法16条の特則あり)。物権ゆえに譲渡・賃貸が原則自由(272条)で、賃借権より強い権利。
対象は耕作・牧畜
「耕作又は牧畜」に限定されるため、林業・水産業は対象外。農地法等の特別法が現代の農業経営の主軸となり、永小作権の新規設定は実務上ほぼ消滅。
歴史的位置づけ
明治初期の地租改正に伴う旧来小作慣行の物権化として制度化された。現代では戦後農地改革・農地法の制定により実質的に機能を失い、既存永小作権が存続するのみ。
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永小作人は、土地に対して、回復することのできない損害を生ずべき変更を加えることができない。
回復不能変更の禁止
永小作人は、土地に対して回復することのできない損害を生ずべき変更を加えることができない。土地の本質的価値を保全する永小作人の義務。
「回復することのできない」損害
土地の地目変更(畑→宅地等)・地形改変・土壌汚染・地下資源採掘等が該当。可逆的な耕作方法の変更は本条の禁止対象ではない。
違反の効果
違反による損害は不法行為(709条)として賠償義務。さらに重大な違反は信義則違反として永小作権消滅請求(276条類推)の原因となる可能性。
立法趣旨
永小作権は長期間(20-50年)の物権だが、土地所有者の地的基盤を保全するため、土地の本質的価値を毀損する変更は禁止。耕作・牧畜目的との両立を確保する。
この条文の練習問題を解く
永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。
2ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。
永小作権の処分自由(本文)
永小作人は権利を他人に譲渡し、又は存続期間内において耕作・牧畜のため土地を賃貸することができる。物権としての永小作権の処分の自由を保障する規定。
賃借権との対比
賃借権は土地所有者の承諾なくして譲渡・転貸できないのが原則(612条)が、永小作権は原則自由。物権と債権の対称的扱いを示す典型例。
設定行為による禁止(ただし書)
設定行為で禁じたときは譲渡・賃貸不可。当事者意思による物権の自由処分性の制限を許容。物権法定主義の枠内での合意による調整。
違反の効果
ただし書による禁止違反は、譲渡・賃貸自体は無効と解する説が有力。判例実務は永小作権の実効性が低いため蓄積が少ないが、賃借権の無断譲渡(612条)と類似の処理が想定される。
この条文の練習問題を解く
永小作人の義務については、この章の規定及び設定行為で定めるもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
賃貸借規定の準用
永小作人の義務については、本章の規定・設定行為で定めるもののほか、性質に反しない限り賃貸借に関する規定を準用する。永小作権の規律不足を賃貸借ルールで補充する規定。
準用される規定
賃借人の用法遵守義務(616条)・修繕義務(606条解釈)・通知義務等。物権性に反する規定(賃貸人の協力・承諾要件等)は性質に反するため準用されない。
「性質に反しない限り」の限界
永小作権の物権性・対抗力・処分自由性に反する規定は準用排除。具体例:612条(無断譲渡)は本条で準用排除(272条本文と矛盾)。
本条と266条との比較
266条は地上権者の地代について賃貸借規定準用、本条は永小作人の義務について準用。準用範囲の対象が異なる点に注意。
この条文の練習問題を解く
永小作人は、不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除又は減額を請求することができない。
不可抗力による小作料免減請求の否定
永小作人は不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除・減額を請求できない。永小作人がリスクを負う原則。
賃借人との対比
賃借人は611条1項により減収に応じた賃料減額請求が可能(2017改正で「請求」→「当然減額」に強化)。これに対し永小作人は本条により減免請求権なし。物権の対価としての小作料負担の固定性。
立法趣旨
永小作権は長期物権で、永小作人は処分の自由(272条)等の強い権利を享有する代わりに、収益リスクは自ら負担する原則。リスクとリターンの対称性。
275条との連動
本条による無減免原則の代償として、275条は引き続き3年無収益・5年小作料割れの場合の永小作権放棄を認める。長期持続のリスクは放棄権で吸収する制度設計。
この条文の練習問題を解く
永小作人は、不可抗力によって、引き続き三年以上全く収益を得ず、又は五年以上小作料より少ない収益を得たときは、その権利を放棄することができる。
不可抗力による永小作権放棄権
永小作人は不可抗力により引き続き3年以上全く収益を得ず、又は5年以上小作料より少ない収益を得たときは、永小作権を放棄できる。長期収益悪化時の脱出権。
274条との関係
274条が小作料減免請求を否定する代わりに、本条が放棄権を認めることで永小作人を保護。減免より放棄という二者択一構造で当事者の利益調整。
要件の厳格性
「3年全く無収益」又は「5年小作料割れ」の継続が要件。一時的な収益悪化では足りず、長期間の継続性が必要。判定は客観的事実による。
放棄の効果
永小作権は将来効として消滅。269条準用(279条)により工作物収去権・買取請求の関係に進む。既発生の小作料債務は別途残存する。
この条文の練習問題を解く
永小作人が引き続き二年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる。
小作料不払による永小作権消滅請求
永小作人が引き続き2年以上小作料の支払を怠ったときは、土地所有者は永小作権の消滅を請求できる。所有者側からの永小作権消滅手段。
要件の客観性
「2年以上の不払」継続が要件。賃貸借の解除(541条)と比べて要件を厳格化することで、物権としての永小作権の安定性を確保。
消滅請求の性質
形成権としての消滅請求。一方的意思表示により永小作権を消滅させる。判例(旧法時代)は催告不要と解する(賃貸借解除との差異)。
275条との対比
275条が永小作人による放棄権、本条が所有者による消滅請求権。両当事者にそれぞれ離脱手段を保障する均衡的設計。
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第二百七十一条から前条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
永小作権規定の慣習優先
271条から前条(276条)までの規定と異なる慣習があるときは慣習に従う。永小作権の中核的義務規定の任意規定としての性格を明示。
対象規定
271条(回復不能変更禁止)・272条(譲渡賃貸自由)・273条(賃貸借準用)・274条(不可抗力免減否定)・275条(不可抗力放棄権)・276条(不払消滅請求)の各規定。
立法趣旨
永小作権は地域固有の小作慣行を物権化したものであり、慣習尊重が制度の核心。中央集権的な立法で各地の小作慣行を一律規律することの困難から、慣習優先で柔軟性を確保。
現代的意義
戦後農地改革により永小作権はほぼ消滅したが、既存永小作権の処理について地域慣行を踏まえた解決が可能となる規定。実務的意義は限定的。
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永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。
2設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
3永小作権の設定は、更新することができる。
4ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
5設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。
存続期間の制限(1項)
永小作権の存続期間は20年以上50年以下。設定行為で50年より長い期間を定めたときも、期間は50年に短縮される。長期物権の上限を法律で画する強行規定。
更新(2項)
永小作権の設定は更新可能。ただし更新後の存続期間は更新の時から50年を超えられない。半永久的な永小作権の発生を防ぐ。
存続期間定めなき場合(3項)
設定行為で期間を定めないときは、別段の慣習がある場合を除き30年。中間値的な期間で当事者意思を補充。
他の用益物権との比較
地上権は期間制限なし(268条で不定期の場合の処理のみ)、地役権も期間制限なし。永小作権は期間制限がある点で他用益物権と区別される。
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9十年
10前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等
11五年
12建物の賃借権等
13三年
14動産の賃借権等
15六箇月
16各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
規律
共有物の管理事項(管理者選解任含み、変更を除く)は各共有者持分価格の過半数で決する(1項)。所在不明・賛否不明確な場合は裁判所が当該共有者以外の過半数で決する裁判ができる(2項)。共有者間決定で使用する共有者に特別影響時は承諾要(3項)。賃借権等期間制限(4項: 山林10年/土地5年/建物3年/動産6か月)。保存行為は各共有者単独可(5項)。
2021年改正
改正前は「過半数で決する」のみで簡素だったが、改正で①管理者選任、②所在不明者対応、③使用共有者保護、④期間制限賃借権等、⑤保存行為単独性を整備。
3類型の対比
①変更(251)= 全員同意、②管理(本条)= 過半数、③保存(本条5項)= 単独。物に対する影響度に応じた決定要件のグラデーション。
4項の意義
短期賃貸借(602条類似)の物上版。長期賃借権設定は実質的処分にあたるため、過半数決定権の対象外とし、4項の期間内に限定。
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5第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。
規律
所有者不明又は所在不明な建物(共有なら所在不明共有持分)について、裁判所は利害関係人請求により所有者不明建物管理人による管理を命じる処分(所有者不明建物管理命令)ができる。264条の3から264条の7までを準用。
趣旨
所有者不明土地管理命令の建物版。土地と異なり建物は朽廃リスク・倒壊危険があるため、敷地利用権(賃借権等)にも管理人の効力を及ぼす建物特有の規律を追加。
効力の範囲(2項)
建物内の所有者所有動産+建物を所有するための敷地利用権(賃借権等の使用収益権、所有権除く)にも及ぶ。建物管理には敷地利用権の管理が不可欠との配慮。
準用規定
管理人の権限・訴訟当事者・義務・解任辞任・報酬の規律は264条の3から7まで準用。土地と建物で管理規律の基本構造を統一。
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