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私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3権利の濫用は、これを許さない。
公共の福祉適合性(1項)
私権は公共の福祉に適合しなければならない。私権行使の最外延の制限であり、個別の制限規定の解釈指針となる。
信義誠実の原則(2項)
権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならない。具体的妥当性を確保する一般条項であり、矛盾挙動禁止・事情変更の法理等の根拠となる。
権利濫用の禁止(3項)
権利の行使がその社会的目的を逸脱する場合は許されない。判例は客観的態様と主観的態様を総合考慮(最判昭和10・10・5宇奈月温泉事件)。
民法
信義則・権利濫用と権利行使の限界
民法
信義則による契約解釈と付随的義務の導出
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この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
個人の尊厳
解釈の指導理念。家族関係・人格的利益の解釈で特に機能する。
両性の本質的平等
家族法解釈の指導理念。最大判平成27・12・16夫婦同氏訴訟等の根拠規定。
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私権の享有は、出生に始まる。
2外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
権利能力の始期は出生(1項)
全部露出説が通説・判例。私法上の権利義務の主体性を取得する。
外国人の権利能力(2項)
法令又は条約により禁止される場合を除き、原則として日本人と同様の権利能力を享有する。
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法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
法律行為の存在
法律行為とは、法律効果の発生を目的とした意思表示またはその組合せをいう。本条は法律行為が前提されており、単なる事実行為や準法律行為は対象外である。意思能力の欠缺が問題となるのは、法律行為としての意思表示が存在する場合に限定される。
意思表示の存在
意思表示とは、法律効果の発生を欲する意思を外部に表現する行為をいう。本条が対象とするのは、当事者が何らかの意思を表示した場合であり、意思表示それ自体の存在が前提要件となる。意思表示がない場合は本条の適用場面ではなく、法律行為自体が成立しない問題となる。
意思能力の欠缺(意思能力がないこと)
意思能力とは、自らの行為の法律的意味を理解し判断できる精神的能力をいう。通説・判例は、法律行為の内容を理解し判断することができる一般的な精神能力を要求する基準を採用している。意思能力の判断時期は『意思表示をした時』であり、その時点での精神状態(幼年者、心神喪失者等)が問題となる。
意思表示の時点との同一性
本条は『意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは』と規定しており、意思能力の欠缺が意思表示と同一の時点で存在することを要求する。後発的な意思能力の喪失や事後的な判定は本条の対象外である。この時間的関連性が構成要件の重要な限定要素となる。
法律行為の無効という法律効果
本条により、意思能力の欠缺があった場合、当該法律行為は当然に無効となる。無効とは遡及的に当初から法律行為の効力が生じなかったことを意味し、追認による治癒の余地がない絶対的無効である。この点が相対的無効である制限行為能力者の行為と区別される。
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年齢十八歳をもって、成年とする。
成年年齢は18歳
令和4年4月施行。単独で完全な法律行為能力を取得する基準年齢。
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未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
2ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
3前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
4第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。
5目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
法律行為に法定代理人の同意(1項)
未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を要する。単に権利を得るか義務を免れる行為は同意不要。
同意なき行為の取消し(2項)
同意を欠く法律行為は取り消せる。取消権者は本人・法定代理人(120条)。
処分許諾財産・営業許諾の例外(3項)
目的を定めて処分を許された財産・許された営業に関しては行為能力者と同一。
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一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
営業許可を受けた未成年者の能力
1種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有する。法定代理人の許可により未成年者の制限行為能力を部分的に解除する制度。
営業の特定性
「1種又は数種の営業」と限定されており、特定された営業に関する行為に限り成年者と同一の能力。営業外の法律行為(私的取引等)は依然として5条の制限行為能力に服する。包括的な能力付与は許されない。
営業の取消・制限(2項)
未成年者が営業に堪えられない事由があるときは、法定代理人は親族編の規定に従い許可の取消・制限が可能。事後的監督権を確保しつつ、取消・制限は将来効のみで遡及効はない。
営業許可の登記
商法5条により未成年者商人は登記を要する。登記により取引相手方は未成年者の営業能力を確認可能となり、取引安全が確保される。
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精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
精神上の障害
精神病、知的障害、認知症など、精神的機能の異常状態を意味する。単なる一時的な精神不安定では足りず、継続的・恒常的な状態であることが必要である。最判は医学的診断と法的評価を区別し、法的には事理弁識能力の喪失につながる障害であることを要求している。
事理を弁識する能力を欠く
事理を弁識する能力とは、自分の行為の性質・結果を認識し、それに基づいて判断・決定する能力をいう。通説・判例は、日常生活における簡単な事柄さえも理解できない程度の著しい精神的減退を要件とし、相応の高度な判断能力の欠如を要求する。
常況にある者
常況とは、一時的・間欠的ではなく、継続的・恒常的な状態が存在することを意味する。通説・判例は、その状態が相当期間継続し、改善の見込みが低いことを実質的に求める。後見の開始は原則として取り消し不可能な重大な措置であるため、一時的な状態では足りない。
請求権者の適格
後見開始の審判は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官のみが請求できる。これは本人の保護と濫用防止のバランスを図ったもので、検察官の請求は公益的観点から認められている。
家庭裁判所の審判
後見開始は家庭裁判所の審判により初めて効力を生じる。通説・判例は、家庭裁判所は医学的鑑定を含む慎重な調査を行い、事理弁識能力の喪失について確信を得る必要があるとする。単なる請求があるだけでは足りず、要件充足の立証責任は請求者にある。
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後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
後見開始の審判
家庭裁判所による後見開始の審判が存在することが要件である。これは民法7条に基づき、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について下されるもので、単なる申立てではなく確定した審判そのものが本要件の充足に必要とされる。最判は本審判の確定により法律上の地位が生じると解している。
成年被後見人としての身分取得
後見開始の審判を受けた者は当然に成年被後見人という法律上の身分を取得する。これは宣告的効果であり、その者の法的能力の制限を示す地位である。被後見人は民法9条に基づき、日常生活に関する行為を除き、自らなした法律行為の取消しを被後見人または成年後見人から主張されうる立場となる。
成年後見人の付与
後見開始の審判がされた場合、必ず成年後見人が付される。この付与は同時的・自動的なものであり、本条は成年後見人の選任が別個の手続きではなく後見開始審判と同時的効果であることを明示している。最判は後見人選任の要件・基準について、本人の利益を最優先とする立場を採用している。
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成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
2ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
成年被後見人であること
本要件は、家庭裁判所により後見開始の審判を受けた者を意味する。成年被後見人は精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると認められた者であり、戸籍に記載される。単なる判断能力の低下では足りず、常に判断能力を欠く状態が要求される。
法律行為であること
法律行為とは、私人の意思表示によって直接に法律効果の発生を目的とする行為をいう。契約、遺言、贈与など意思表示を必須とする行為が該当する。事実行為(物の引渡しなど)は含まれない。
日用品の購入その他日常生活に関する行為ではないこと(取消可能性の消極要件)
ただし書きは取消権の制限であり、日用品購入など日常生活に密接に関連する行為は取り消すことができないとする。判例は『日用品』を衣食住の基本的需要に関連するもの、『日常生活に関する行為』を金額・性質において通常の生活範囲内のものと解釈している。誤解しやすい点として、この例外が認められると民法9条1項の保護が全く働かないわけではなく、後見人の同意があれば有効となる点に注意が必要である。
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第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
第七条に規定する原因の消滅
成年後見開始の審判の基礎となった原因事実(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況)が客観的に消滅したことを要する。単なる本人の主観的な改善ではなく、医学的・客観的な判断により原因が実際に消滅していることが必要であり、通説・判例も本人の現在の状態が原因消滅の有無を判断する基準としている。
請求権者の限定列挙
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人または検察官の請求により初めて審判取消しが開始される。請求権者の列挙は限定的であり、利害関係人であっても請求権者に列挙されていない者(例えば五親等の親族)は直接請求できず、この点は成年後見制度における民主的統制と本人の地位安定性のバランスを示す規定である。
家庭裁判所の審判権
後見開始原因の消滅は家庭裁判所が後見開始決定と同様の手続を経て審判により確認される必要がある。本条は「取り消さなければならない」と規定し、原因消滅の事実が認定された場合には家庭裁判所に審判取消しの義務を課しており、行政庁の裁量を認めない強行規定である。
審判取消しの効果
後見開始の審判が取り消されると、遡及効を生じるか否かについて学説が対立しているが、判例は原則として将来効のみを認める立場をとっている。取消しの時点以降において本人は成年後見人の保護を受けなくなり、単独で法律行為をなしうる能力を回復する。
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精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。
2ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
保佐開始の審判の要件
精神上の障害により事理弁識能力が「著しく不十分」な者を対象とする。後見の「常況として欠く」状態より程度が軽く、補助の「不十分」より重い中間類型。1999年改正で禁治産制度を廃止し、本人の残存能力を尊重する3類型(後見・保佐・補助)に整理された際に置かれた中核規定。
請求権者の範囲
本人・配偶者・四親等内の親族・後見人・後見監督人・補助人・補助監督人・検察官。本人申立てを認める点が旧禁治産制度との大きな違い(自己決定権の尊重)。市町村長も老人福祉法32条等の特別法により請求可能。
後見との関係(ただし書)
後見原因(7条「事理弁識能力を欠く常況」)がある者は保佐ではなく後見によるべきで、保佐開始を重ねてすることはできない。同一人に複数の類型を併行させない趣旨。
効果
12条により被保佐人となり、保佐人が付される。13条1項列挙行為について保佐人の同意権・取消権が発生する。代理権は当然には付されず、876条の4の付与審判が別途必要。
この条文の練習問題を解く
保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
条文の機能
11条の保佐開始審判の効果を定める形式規定。審判を受けた者を「被保佐人」、付される者を「保佐人」と呼ぶ法律上の名称を確定する。
保佐人の選任
保佐人は家庭裁判所が職権で選任する(876条の2)。法人保佐人も可。複数の保佐人選任も可。被保佐人が自ら選ぶのではなく、家裁が本人保護の観点から適任者を選ぶ点が任意代理と異なる。
保佐人の地位
保佐人は同意権者(13条1項)であり、家裁の付与審判があれば代理権(876条の4)も持つ。後見人と異なり包括的代理権は当然には有しない点が制度の中間性を示す。
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被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
2ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3元本を領収し、又は利用すること。
4借財又は保証をすること。
5不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
6訴訟行為をすること。
7贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
8相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
9贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
新築、改築、増築又は大修繕をすること。
第十一条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。
2家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
保佐開始審判の取消(1項)
11条本文の原因(事理弁識能力の著しい不十分)が消滅したときに、家裁は請求により取消す。能力回復した者を長期間制限下に置かない趣旨。請求権者は11条と同範囲+未成年後見人・未成年後見監督人・保佐人・保佐監督人。
同意権拡張審判の取消(2項)
13条2項で拡張した同意権の対象行為について、家裁は請求により全部又は一部を取り消せる。能力の改善や生活状況の変化に応じた柔軟な調整を可能にする。
後見・補助への移行
本条の取消とともに、新たに後見開始(程度悪化)・補助開始(程度軽減)の審判をする運用も可能。家事事件手続法119条以下に手続が定められている。
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精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。
2ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
3本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
4補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
補助開始の審判(1項)
精神上の障害により事理弁識能力が不十分な者について、本人・配偶者・四親等内親族・検察官等の請求により家裁は補助開始の審判ができる。後見・保佐相当の者は除く(補助は最も軽度の類型)。
本人請求以外の場合の本人同意(2項)
本人以外の者の請求による補助開始審判には本人の同意が必要。被補助人の自己決定権尊重の表れ(後見・保佐は本人同意不要)。
同意・代理付与の必要性(3項)
補助開始審判は、17条1項の同意権付与または876条の9第1項の代理権付与の審判とともにしなければ効力を生じない。単独では意味を持たない。
この条文の練習問題を解く
補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
条文の機能
15条の補助開始審判の効果を定める形式規定。審判を受けた者を「被補助人」、付される者を「補助人」と呼ぶ名称規定。
補助制度の特徴
1999年改正で新設された3類型中最も軽度の保護類型。本人の同意なくして補助開始審判はできず(15条2項)、自己決定権を最大限尊重する設計。同意権・代理権は申立てにより個別に付与される(17条・876条の9)。
補助人の権限の個別性
後見・保佐と異なり、補助は「補助開始」だけでは本人の行為能力を制限する効果がない。17条の同意権付与審判または876条の9の代理権付与審判が併せて必要となる点が、制度設計の核。
この条文の練習問題を解く
家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
2ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
3本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
4補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
5補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
同意権付与審判(1項)
家裁は申立てにより、被補助人が「特定の法律行為」をするには補助人の同意を要する旨の審判ができる。対象は13条1項列挙行為の「一部」に限定される(13条1項全部に及ばせると保佐との区別がなくなるため)。
本人同意の要件(2項)
本人以外の者の請求の場合、本人の同意が要件。15条2項と同様に自己決定権尊重の表れ。
同意に代わる許可(3項)
13条3項と同様の規定。補助人が正当な理由なく同意しないとき家裁が代わって許可を与えられる。
取消権(4項)
同意又は許可を得ない行為は取消可能。120条1項により本人・補助人が取消権者となる。
この条文の練習問題を解く
第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
2家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
3前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。
補助開始審判の取消(1項)
15条1項本文の原因(事理弁識能力の不十分)が消滅したときに、家裁は請求により取消す。請求権者は本人・配偶者・四親等内の親族・未成年後見人・未成年後見監督人・補助人・補助監督人・検察官。
同意権付与審判の取消(2項)
17条1項の同意権付与審判について、家裁は全部又は一部を取消し可能。
全部取消の効果(3項)
17条1項の同意権付与審判と876条の9第1項の代理権付与審判のいずれも全部取り消す場合は、家裁は補助開始審判自体も取り消さなければならない。補助制度は同意権か代理権の少なくとも一方を伴うことが前提となっており、両方なくなれば制度自体の意味を失うため。
この条文の練習問題を解く
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。
後見開始時の処理(1項)
後見開始審判をする際、本人がすでに被保佐人・被補助人であるときは、家裁は保佐開始・補助開始審判を取り消さなければならない。同一人に複数の保護類型を併存させない(重畳禁止)趣旨。
準用(2項)
保佐開始の場合は後見・補助開始審判を取消し、補助開始の場合は後見・保佐開始審判を取消す。能力の変動に応じた類型移行を円滑にするための調整規定。
実務上の処理
家事事件手続法上、新類型の開始審判と旧類型の取消審判は通常同時に行われる。これにより本人保護の連続性が確保される(後見・保佐・補助の間に空白期間が生じない)。
この条文の練習問題を解く
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
2この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
3制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
4特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
5制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。
6この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
制限行為能力者の相手方の催告権(1項)
相手方は1か月以上の期間を定めて、制限行為能力者(行為能力者になった者)に対し当該行為を追認するかを催告できる。期間内に確答を発しないと追認とみなされる。
法定代理人等への催告(2項)
行為能力者となる前の者の法定代理人・保佐人・補助人に対する催告も同様で、確答なしは追認擬制。
特別の方式を要する行為(3項)
後見監督人同意等の特別方式を要する行為の催告で確答なしのときは取消し擬制(追認擬制ではない)。受領者の保護より相手方安定の利益が劣後。
被保佐人・被補助人本人への催告(4項)
被保佐人・同意権付与された被補助人本人に対する催告で確答なしのときは取消し擬制。本人が同意を得る手間を負うのを軽くするため。
この条文の練習問題を解く
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
制限行為能力者の詐術
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
詐術の意義
判例は単なる黙秘は詐術にあたらないが、他の言動と相まって相手方を誤信させまたは誤信を強めた場合は詐術にあたる(最判昭44・2・13)。
趣旨
取引相手方の信頼を保護し制限行為能力者の保護濫用を防ぐ。本人保護より相手方保護を優先する例外。
この条文の練習問題を解く
各人の生活の本拠をその者の住所とする。
住所の定義
「各人の生活の本拠」をもって住所とする。客観説(生活の中心という客観的事実で決まる)が通説・判例(大判明29・12・21)。住民票記載地と必ずしも一致しない(住民票は行政上の便宜であって民法上の住所そのものではない)。
住所単一性
通説は1人1住所説を否定し複数住所を認める(複数本拠を持つ生活実態に対応)。判例も同様の立場で、税法・選挙法など個別法ごとの住所概念とのずれを認める。
住所の機能
債務履行地(484条)、相続開始地(883条)、不在者の認定基準(25条)、訴訟管轄(民訴法4条)、国際私法上の連結点など、民法のみならず多数の場面で住所が重要な意味を持つ基準規定。
この条文の練習問題を解く
住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
2日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。
3ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。
居所の住所擬制(1項)
住所が知れない場合、居所をもって住所とみなす。住所が不明でも法律関係の連結点を確保するための補充規定。
外国人・在外日本人(2項)
日本に住所を有しない者は、国籍を問わず日本における居所を住所とみなす。日本法上の取引・訴訟関係の便宜のための擬制。
通則法による例外(2項ただし書)
法の適用に関する通則法に従い住所地法による場合は適用除外。国際私法上の連結点として外国の住所地法を選ぶべき場面では本条の擬制を働かせない趣旨。
この条文の練習問題を解く
ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。
仮住所の擬制
ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては仮住所を住所とみなす。当事者の合意により特定取引について履行地・送達先等を画一化する便宜的規定。
適用範囲
当該行為に「関しては」とあるため、選定した取引・契約等の範囲内でのみ住所として扱われ、それ以外の法律関係には及ばない。仮住所の効果は限定的。
実務
国際取引で履行地を当事者間で画一的に定める場面や、出張・出向中の連絡先指定などで活用される。住所地と異なる場所での弁済・通知の効力を生むための基礎規定。
この条文の練習問題を解く
従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
3前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。
不在者の定義
「従来の住所又は居所を去った者」を不在者と呼ぶ。生存・所在不明であることまでは要件ではなく、長期不在で財産管理人を置かない者を広く含む。
管理人不設置の場合(1項前段)
管理人を置かなかった場合、家裁は利害関係人(債権者・配偶者・推定相続人等)または検察官の請求により、財産管理の必要な処分を命じることができる。具体的には管理人の選任が中心。
管理権限消滅の場合(1項後段)
本人不在中に管理人の権限が消滅(死亡・辞任等)した場合も同様の処分が可能。財産管理の空白を生じさせない趣旨。
本人による選任後の取消(2項)
家裁が命令した後に本人自身が管理人を選任したときは、家裁は管理人等の請求により命令を取り消さなければならない。本人の自己決定が回復した場合に家裁関与を退かせる調整規定。
この条文の練習問題を解く
不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。
管理人改任の要件
不在者自身が選任した管理人がいる場合に、不在者の生死不明となったときは、家裁が利害関係人・検察官の請求により管理人を改任できる。本人選任管理人の権限濫用・能力不足等のリスクに対応する。
生死不明要件の意味
単に行方不明では足りず、生死そのものが不明であることが要件。生存が明らかであれば本人と管理人との委任関係を尊重し、家裁は介入しない。
改任後の管理人
改任された新管理人は、家裁選任の管理人として27条・28条・29条の適用を受け、本人選任管理人とは異なる扱いとなる。
この条文の練習問題を解く
前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。
2この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
3不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
4前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。
財産目録の作成(1項)
家裁が25条・26条で選任した管理人は、管理対象財産の目録を作成する義務を負う。費用は不在者財産から支弁。財産管理の透明性確保のための基本的義務。
本人選任管理人への命令(2項)
不在者自身が置いた管理人についても、生死不明の場合は家裁が利害関係人・検察官の請求により目録作成を命じうる。家裁監督下に置かれる契機。
保存処分(3項)
家裁は管理人に対し財産保存に必要な処分(火災保険締結、修繕等)を命じることができる。管理人の善管注意義務(家裁選任の場合644条準用)を具体化する規定。
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管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。
2不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
管理人の権限範囲
原則として103条の権限内行為(保存・利用・改良の管理行為)に限られる。処分行為(売却・贈与等)は本来権限外。
家裁許可の要件
103条の権限を超える行為(不動産売却、抵当権設定、長期賃貸借等の処分行為)を必要とする場合、家裁の許可を得て行為できる。許可なき処分行為は無権代理として効力を生じない(判例:最判昭28・12・28)。
本人選任管理人への適用
不在者の生死不明で本人選任管理人が本人定めの権限を超える行為を要する場合も家裁許可を要する。家裁監督下に統合される。
この条文の練習問題を解く
家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
2家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。
担保提供(1項)
家裁は管理人に対し、財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。管理人の不正・濫用に備える本人財産保護の趣旨。
報酬付与(2項)
家裁は事情に応じて不在者財産から相当な報酬を管理人に与えることができる。家裁選任の管理人は本来法定の管理職務だが、職務に見合った対価を支給する制度設計。
実務上の運用
弁護士等の専門職管理人を選任する場合に報酬付与が活用される。担保は親族管理人で資力不安の場合に求められる例が多い。
この条文の練習問題を解く
不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。
2戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
普通失踪(1項)
不在者の生死が7年間明らかでないとき、家裁は利害関係人請求により失踪宣告ができる。
特別失踪(危難失踪・2項)
戦地に臨んだ者・沈没船舶中にあった者・その他死亡原因となるべき危難に遭遇した者の生死が危難去後1年間明らかでないときも失踪宣告ができる。
効果(31条と連動)
宣告により失踪者は普通失踪では7年期間満了時、特別失踪では危難去時に死亡したものとみなされる。
この条文の練習問題を解く
前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
普通失踪の死亡擬制時期
30条1項の失踪宣告を受けた者は7年期間満了時に死亡したものとみなされる。
特別失踪の死亡擬制時期
30条2項の宣告を受けた者は危難が去った時に死亡したものとみなされる。
効果の範囲
従来の住所を中心とする私法上の法律関係(婚姻・相続・契約)について死亡と同等の効果。権利能力自体は失わない(戻ってきた失踪者は他地で活動可能)。
この条文の練習問題を解く
失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。
2この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
3失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。
4ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。
取消しの要件(1項前段)
失踪者の生存または擬制時期と異なる時期の死亡が証明されたとき、家裁は本人・利害関係人請求により失踪宣告を取り消さなければならない。
善意の取引保護(1項後段)
宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。判例は当事者双方善意必要説(最判昭40・10・8類推)。
現存利益返還(2項)
宣告によって財産を取得した者は取消しによりその権利を失う。ただし現に利益を受けている限度で返還義務(不当利得の特則)。
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数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
同時死亡の推定
数人が死亡し、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定する。事故・災害等で複数人の死亡先後関係が証明できない場合に法律関係を確定するための擬制規定。
相続法上の意義
相続開始時に生存していなければ相続人になれない(同時存在の原則・886条等)。本条により同時死亡と推定されると、相互間で相続が発生しない。例:親子同時死亡→子は親を相続できず、親は子を相続できない。
代襲相続との関係
親子同時死亡の場合、子は親を相続しないが、子の子(孫)は親を代襲相続できる(887条2項の「相続開始以前に死亡したとき」に同時死亡も含むと解されている)。判例実務はこの解釈で確立している。
推定の覆滅
「推定」であるため、いずれかが先に死亡した証拠があれば覆る。立証責任は時間差を主張する側にある。
この条文の練習問題を解く
法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
2学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。
法人法定主義(1項)
法人は本法その他の法律の規定によらなければ成立しない。法人格付与の根拠を法律に限定し、当事者の自由意思のみで法人を作ることを禁ずる原則。
立法趣旨
法人は権利義務の主体となり取引関係に立つため、その範囲・要件を法律で画一的に定めることで取引安全と公益保護を図る。明治民法以来の伝統的原則。
法人種類の概観(2項)
公益目的法人(学術・技芸・慈善・祭祀・宗教等)と営利目的法人、その他の法人について、設立・組織・運営・管理は本法又は他の法律に従う。2006年公益法人改革により各種法人法(一般社団法人法・公益認定法・会社法等)に詳細を委ねる構造に整理。
権利能力なき社団との関係
法人法定主義の帰結として、法人格を有さない団体(権利能力なき社団)が登場する。判例(最判昭39・10・15)は実態に応じた権利義務関係を認め、財産帰属を構成員総有とする等の解釈を展開。
この条文の練習問題を解く
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
法人の権利能力の範囲(目的の範囲内)
法人は法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負う。法人の権利能力の限界を定款目的により画する規定。
「目的の範囲」の解釈
判例(最判昭45・6・24八幡製鉄政治献金事件)は目的を緩やかに解し、目的遂行に直接間接必要な行為まで含む。営利法人については特に広く、社会通念上有益な行為一般を含むと解される。
非営利法人での厳格適用
公益目的法人・特殊法人については目的の範囲が比較的厳格に解される傾向がある(最判昭44・4・8農協政治献金事件等)。営利法人と公益法人の取扱いを分ける実質的判断基準。
目的範囲外行為の効果
通説は目的範囲外行為を無効とする(権利能力否定説)。これに対し有効説(行為能力制限説)・代表権制限説等の対立があるが、判例は無効説を採る。
この条文の練習問題を解く
外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社を除き、その成立を認許しない。
2ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
3前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。
4ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。
外国法人の認許原則(1項本文)
外国法人は、国・国の行政区画・外国会社を除き、その成立を認許しない。法人法定主義の対外的帰結として、外国の法令に基づく法人を日本で当然には法人として認めない原則。
認許の例外(1項ただし書)
法律又は条約の規定により認許された外国法人は認許される。例:日米友好通商航海条約等。実務では国際取引の必要性から多くの法人類型が認許される。
認許外国法人の権利能力(2項)
認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。内国法人と平等の処遇を原則とする内国民待遇。
私権制限(2項ただし書)
外国人享有不可の権利(一定の不動産所有権等の制限)及び法律・条約の特別規定がある権利は別途規律。例:放送法・電波法による外国資本制限。
この条文の練習問題を解く
法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。
法人および外国法人の登記
法人および外国法人は、本法その他の法令の定めるところにより登記する。法人登記制度の根拠規定。商業登記法・法人登記制度の出発点。
この条文の練習問題を解く
外国法人(第三十五条第一項ただし書に規定する外国法人に限る。以下この条において同じ。)が日本に事務所を設けたときは、三週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。
2外国法人の設立の準拠法
3目的
4名称
5事務所の所在場所
6存続期間を定めたときは、その定め
7代表者の氏名及び住所
8前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、三週間以内に、変更の登記をしなければならない。
9この場合において、登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。
10代表者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その登記をしなければならない。
削除
削除条文(38-84条)
民法38条から84条までは2008年一般社団法人・財団法人法施行に伴い削除された旧法人規定。法人通則は現行3章(33-37条)に残存、社団・財団法人制度は一般法人法へ移管。
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この法律において「物」とは、有体物をいう。
物の定義(有体物)
本法において「物」とは有体物をいう。民法上の物の範囲を空間の一部を占める有体物に限定する原則。
立法趣旨
物権の対象は支配可能で識別可能な有体物に限ることで法律関係を明確化。電気・熱・光等のエネルギーは民法上の「物」ではないが、判例(大判明治36・5・21)は窃盗罪における「財物」には含めるなど刑法と民法で別概念。
債権・無体財産権との区別
債権・著作権・特許権等の無体財産権は本条の「物」ではなく、別個の権利体系(債権法・知的財産法)で規律される。物権法定主義(175条)の前提となる対象画定規定。
情報・データの扱い
デジタルデータ・暗号資産等の現代的財産は本条の有体物ではないが、特別法(資金決済法等)や契約で取扱いが規律される。立法的課題として議論が継続。
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土地及びその定着物は、不動産とする。
2不動産以外の物は、すべて動産とする。
不動産の定義(1項前段)
土地及びその定着物は不動産とする。土地と土地への定着物(建物・立木・線路等)を不動産として動産から区別する規定。
建物の取扱い
判例上、建物は土地と独立した不動産として扱われる(土地と別個の権利客体)。これは英米法と異なる日本法の特徴で、土地と建物が別個の所有権の対象となる。
定着物の意義
「定着物」は土地に継続的に固定された物を意味する。立木・樹木は原則として土地の一部だが、立木法・明認方法により独立の取引対象とできる。
動産(2項)
不動産以外の物はすべて動産。動産・不動産の区別は対抗要件(177条登記/178条引渡し)・取得時効期間(162条)・即時取得(192条)等で重大な差異を生む。
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物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2従物は、主物の処分に従う。
主物・従物の関係
物の所有者が常用に供するため自己所有の他の物を附属させたときは、附属物を従物とする。主物の利用効用を補完する関係。
従物の要件(判例)
①主物への附属、②主物の常用に供すること、③場所的に主物に密接、④独立の物(主物の構成部分でない)、⑤同一所有者に属すること(判例:最判平2・4・19)。
主物の処分への従属(2項)
従物は主物の処分に従う。主物の売買・抵当権設定等の効果が当然に従物にも及ぶ。例:家屋の畳、ガソリンスタンドの地下タンク・洗車機等(最判平2・4・19)。
本条と抵当権の効力
判例(大連判大8・3・15石灯篭事件)は抵当権設定当時の従物にも抵当権効力が及ぶとする。370条の付加一体物との関係を含めて重要論点。
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物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
天然果実の意義(1項)
物の用法に従い収取される産出物。植物の実・家畜の子・鉱物等。
法定果実の意義(2項)
物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物。賃料・利息等。
この条文の練習問題を解く
天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
2法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
天然果実の帰属(1項)
天然果実は元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。果実収取権を所有権から分離して規律する基本則。
天然果実の意義
物の用法に従い収取される産出物(果実88条1項)。例:果樹の果実、農作物、牛の乳・畜産物、鉱山の鉱石、温泉地の温泉。元物との関係は自然的・生物的・地質的。
法定果実の帰属(2項)
法定果実(利息・賃料等)は収取権の存続期間に応じて日割計算で取得。賃貸借期間中に貸主が交代した場合の賃料配分等で問題となる(判例:最判昭49・3・19)。
果実収取権の帰属者
原則は所有者だが、地上権者(266条)・永小作人(270条)・賃借人(606条解釈)・善意占有者(189条)等も法定の場合に収取権を有する。
この条文の練習問題を解く
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
法律行為であること
意思表示を要素とする法律事実。契約のほか単独行為・合同行為も含む。
公の秩序又は善良の風俗に反すること
判例は内容・動機・目的・態様を総合考慮(基本権侵害・正義観念違反・暴利行為等)。動機の不法は、動機が相手方に表示され法律行為の内容となった場合に考慮される(動機表示説:大判大正13・5・27、最判平成11・6・10等)。
効果:無効
絶対的無効。追認不可。給付されたものは原則として不当利得(708条の不法原因給付に注意)。
民法
公序良俗違反の要件と不法原因給付(708条)との関係
民法
動機の不法が契約を無効にする条件
この条文の練習問題を解く
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
任意規定と異なる意思の優先
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定(任意規定)と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。私的自治の原則の中核規定。
任意規定と強行規定の区別
「公の秩序に関しない規定」=任意規定。これに対し公の秩序に関する規定(強行規定)は当事者の合意で排除できない。家族法・物権法・公法的規制は強行規定が多く、契約法は任意規定が多い。
意思表示の解釈
当事者の意思が任意規定と異なるかは契約解釈の問題。明示の合意のみならず黙示の合意でも足りる。実務上は契約書条項と任意規定との関係が頻出論点。
92条との連動
92条は慣習による任意規定の置換えを規律。本条が個別意思による置換え、92条が慣習による置換えと整理される(強行規定はいずれによっても置換え不可)。
この条文の練習問題を解く
法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。
任意規定と異なる慣習の優先
法令中の任意規定と異なる慣習がある場合、当事者がその慣習による意思を有していたと認められるときは、慣習に従う。
事実たる慣習と慣習法
本条は事実たる慣習(当事者意思の解釈基準)について規律。これに対し慣習法(法の適用に関する通則法3条)は法律と同位置の規範。判例(大判大10・6・2)は法的確信のある慣習は慣習法、当事者意思推認の手がかりにすぎないものは事実たる慣習と区別。
「慣習による意思」の認定
黙示の合意又は当事者の合理的意思を慣習から推認する形で認定。慣習の存在・地域性・継続性・取引慣行性を考慮。立証責任は慣習を主張する側。
91条との関係
91条は明示の意思表示による任意規定排除、本条は慣習推認による排除。実質的には当事者意思の探究の延長として共通する制度。
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意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
2ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
3前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
心裡留保の意思表示(1項本文)
表意者が表示と内心の不一致を自覚しながら行う意思表示。原則として有効。
相手方の悪意又は有過失(1項但書)
相手方が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたとき。意思表示は無効。
善意の第三者保護(2項)
1項但書の無効は善意の第三者に対抗できない。第三者の無過失は不要(判例)。
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相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
通謀虚偽表示(1項)
相手方と通じてした虚偽の意思表示。当事者間では無効。
善意の第三者保護(2項)
1項の無効は善意の第三者に対抗できない。判例は無過失不要。第三者は虚偽表示の外観を信頼して新たに法律上の利害関係を持った者。
94条2項類推適用
意思外形対応型・意思外形非対応型で要件異なる。後者は権利者の帰責性と110条法意の要件(無過失)が必要(最判昭和43・10・17等)。
民法
虚偽表示と94条2項類推適用による第三者保護
民法
通謀虚偽表示の要件と善意第三者の範囲
民法
94条2項・110条の重畳適用
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11第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
12前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
13家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
14ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
15保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
16保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
保佐人同意を要する行為の列挙
重要な財産行為を限定列挙(元本領収・利用、借財・保証、不動産等重要財産の得喪、訴訟行為、贈与・和解・仲裁合意、相続承認・放棄、贈与の申込拒絶、新築・改築・増築・大修繕、長期賃貸借等)。1項列挙の趣旨は、定型的に被保佐人を害するおそれの高い類型を明示化することで取引の安全と本人保護を両立させる点にある。
日用品購入と日常生活行為
9条ただし書を準用し、日用品の購入その他日常生活に関する行為は同意不要。本人の自己決定権を尊重する1999年改正の中核思想。
同意権の拡張(2項)
家裁は申立てにより1項列挙以外の行為についても同意を要する旨の審判ができる。ただし日常生活行為は除外。
同意に代わる許可(3項)
保佐人の同意を得るべき行為につき、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しないときは、家裁が同意に代わる許可を与えられる。
取消権(4項)
同意又は許可を得ないでした行為は取消し可能(120条1項により本人・保佐人)。判例(最判昭52・3・25)は、同意なき訴訟行為は無効ではなく取消し可能と解する。
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11この場合においては、前項後段の規定を準用する。
12前二項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が到達した日から起算する。
13外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。
14外国法人が事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
15同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。
16外国法人の代表者が、この条に規定する登記を怠ったときは、五十万円以下の過料に処する。
外国法人の登記必須事項(1項)
外国法人(35条1項ただし書該当)が日本に事務所を設けたときは、3週間以内に事務所所在地で、①設立準拠法、②目的、③名称、④事務所所在場所、⑤存続期間、⑥代表者の氏名住所を登記必須。
変更登記・対抗要件(2項)
登記事項変更時3週間以内に変更登記。登記前は変更を第三者対抗不可。
初回登記前の成立否認(5項)
外国法人が初めて日本事務所を設けたときは、事務所所在地登記まで第三者は法人成立を否認可能。
登記懈怠の過料(8項)
代表者が登記を怠ったとき50万円以下の過料。
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