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限定承認者は、弁済期に至らない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。
2条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。
規律
限定承認者は弁済期未到来の債権についても929条に従い弁済しなければならない(1項)。条件付債権・存続期間不確定の債権は家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済する(2項)。
趣旨
清算手続の早期確定の要請から、債権の弁済期や条件成就を待たずに一括清算を行う規律。破産配当における未到来債権・条件付債権の取扱いと共通の構造。
鑑定評価
条件付債権や存続期間不確定の債権は現在の経済的価値を鑑定で算定して配当する。家庭裁判所選任の鑑定人による中立的評価が要件で、当事者間の合意のみでは足りない。
実務上の意義
保証債務・将来の損害賠償債務など評価困難な債権が相続財産に含まれる場合に重要。実務上は鑑定費用が清算費用として相続財産から支弁される。
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限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。
規律
限定承認者は929条・930条に従い相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をしてはならない。
趣旨
遺贈は被相続人の無償処分であり、債権者の利益に劣後すべきとの実体法上の優劣関係を清算手続上で具体化したもの。受遺者は債務を負担せずに利益を受ける者だから、債務弁済が優先する。
順序違反の効果
相続債権者に先んじて受遺者に弁済した場合、限定承認者は934条1項後段により損害賠償責任を負う。情を知って弁済を受けた受遺者には求償可(934条3項)。
受遺者間の処理
受遺者が複数いる場合は遺言の指定に従うが、特定遺贈と包括遺贈で扱いが異なる。包括受遺者は990条により相続人と同一の権利義務を持つため、相続債権者と並列の地位という見解も有力。
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前三条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。
2ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。
規律
929条から931条までの弁済のため相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は競売に付さなければならない。ただし家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部または一部の価額を弁済して競売を止めることができる(任意売却の禁止+先買権)。
趣旨
限定承認者の恣意による安価な処分(相続債権者を害する任意売却)を防止し、競売による公正価格での換価を強制する。同時に相続人の事業承継等の利益も配慮し、鑑定価額の支払で物自体を残せる先買権を認める。
競売の意味
民事執行法上の形式競売(換価のための競売)。担保権実行ではなく清算目的の換価で、被担保債権の存在は不要。執行裁判所が手続を主宰する。
先買権の行使
限定承認者が固有財産から鑑定額を支出して相続財産を取得する制度。家業承継した家屋・営業用財産を残したい場合に活用される。鑑定人選任は家庭裁判所が行う点が要件。
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相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。
2この場合においては、第二百六十条第二項の規定を準用する。
規律
相続債権者・受遺者は自己の費用で相続財産の競売または鑑定に参加することができる。共有物分割の参加に関する260条2項を準用する。
趣旨
換価価額・鑑定価額は配当原資を決定する重要な数値であるため、利害関係人である債権者・受遺者に手続関与の機会を与え、限定承認者と鑑定人の恣意を抑止する。
参加の意義
競売手続では入札参加(買受可能性)、鑑定手続では意見陳述・反証提出を意味する。費用は参加者負担で清算費用にはならない。
260条2項の準用
共有物分割で参加請求した者を排除して分割した場合、その分割は参加請求者に対抗できないとする規律を準用。手続関与の実効性を確保。
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限定承認者は、第九百二十七条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第一項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2第九百二十九条から第九百三十一条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
3前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の相続債権者又は受遺者の求償を妨げない。
4第七百二十四条の規定は、前二項の場合について準用する。
規律
限定承認者が①927条の公告・催告を怠り、または②公告期間内に弁済して他の債権者・受遺者への弁済を不能にしたときは損害賠償責任を負う(1項前段)。929条〜931条違反の弁済も同様(1項後段)。情を知って不当に弁済を受けた債権者・受遺者への求償は妨げない(2項)。724条(不法行為時効)を準用する(3項)。
趣旨
限定承認の清算ルール違反に対する不当弁済責任。相続債権者・受遺者の按分受領期待を保護し、清算手続全体の実効性を担保する。
責任の法的性質
通説は不法行為類似の損害賠償責任と解し、724条の時効規定が準用されることと整合する(3年/20年)。限定承認者は清算事務に着任した者として清算法規に従う注意義務を負うと構成される。
悪意受領者への求償
他の債権者・受遺者は、情を知って不当弁済を受けた者に対し直接求償可。限定承認者が無資力でも実効的回収を可能にする。
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第九百二十七条第一項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。
2ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。
規律
927条1項の公告期間内に申出をしなかった相続債権者・受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみ権利を行使できる。ただし相続財産について特別担保を有する者はこの限りでない。
趣旨
清算手続の終局性確保のため、申出を怠った債権者の責任財産を残余財産に限定する除斥効規定。集団的清算における失権効として機能する。
除斥効の射程
知れている債権者には公告だけで除斥できない(927条催告対象)ので、本条の除斥は限定承認者にとって知れなかった債権者にのみ及ぶ。誰が知れていたかは事実問題で立証責任は債権者側にある(通説)。
担保権者の例外
先取特権・質権・抵当権など特別担保を持つ債権者は、清算手続外で担保権実行できるため、除斥効を及ぼす必要がない。実体法上の担保権の優先性が反映されている。
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相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2前項の相続財産の清算人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の清算人について準用する。
4この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の清算人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする。
規律
相続人が数人ある場合、家庭裁判所は相続人の中から相続財産の清算人を選任しなければならない(1項)。清算人は相続人のために相続財産管理・債務弁済に必要な一切の行為をする(2項)。926条〜935条を準用し、927条1項の「限定承認後5日以内」は「清算人選任後10日以内」と読み替える(3項)。
趣旨
共同限定承認(923条)の場合、各相続人が個別に清算するのは混乱を招くため、清算人を選任して一元的に清算を行わせる。手続の合理化と債権者保護を両立。
清算人の地位
相続人代理人としての地位を持ち、相続人全員のために業務執行する。2024年改正前は「相続財産管理人」と呼ばれていたが、改正で「相続財産の清算人」に統一された。
他の清算人との関係
952条の相続財産清算人(相続人不存在の場合)と名称は同じだが、根拠条文・選任要件が異なる。本条は共同相続人がいる場合の清算人。
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限定承認をした共同相続人の一人又は数人について第九百二十一条第一号又は第三号に掲げる事由があるときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができる。
規律
限定承認をした共同相続人のうちに921条1号(処分行為)または3号(隠匿・消費等)の法定単純承認事由がある者がいるときは、相続債権者は相続財産で弁済を受けられなかった債権額について、当該共同相続人に対し相続分に応じて権利を行使できる。
趣旨
限定承認の効果は本来全員一律に及ぶ(923条)が、一部の相続人が単純承認事由に該当した場合、その者は固有財産で責任を負うべきとの不公平是正規定。
責任の範囲
限定承認財産で弁済しきれなかった残債権について、単純承認擬制を受けた相続人の固有財産が当該相続人の相続分に応じて責任財産となる。他の限定承認者の固有財産は責任財産にならない。
他の制度との比較
全員が単純承認すれば各相続人は相続分に応じて無限責任(899条・902条参照)。本条は共同限定承認の枠を維持しつつ、悪質な共同相続人にのみ責任を負わせる中間的処理。
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相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
相続放棄の方式
相続の放棄をしようとする者はその旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
申述期間
915条1項の熟慮期間内(自己のために相続開始があったことを知った時から3か月)。
性質
要式行為。家庭裁判所への単独行為であり、共同相続人の同意不要。
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相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
放棄の効力
相続の放棄をした者はその相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなす。
代襲相続なし
放棄者の子は代襲相続できない(887条2項反対解釈)。欠格・廃除と異なる点。
他の相続人への影響
次順位相続人に相続権が移行する。または同順位相続人の相続分が増加する。
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相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
2第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。
相続財産の保存義務(1項)
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって当該財産を保存しなければならない。
改正のポイント(令和3年改正)
改正前は「相続財産の管理」だったが、現に占有している場合に限定する形に修正。空き家問題等への対応。
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相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。
2相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
3家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。
4この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
5前項の規定による公告は、官報に掲載してする。
規律
相続債権者または受遺者は、相続開始時から3か月以内に、相続人の財産から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求できる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は3か月経過後も請求可(1項)。家庭裁判所が財産分離を命じたときは、請求者は5日以内に他の相続債権者・受遺者に対し財産分離の命令があったこと・一定期間内(2か月以上)に配当加入の申出をすべき旨を公告(2項)。公告は官報による(3項)。
趣旨
相続人が債務超過の場合、相続によって相続人の固有債権者が相続財産から弁済を受け、相続債権者が害される事態を防ぐため、相続財産と相続人固有財産を分離して相続債権者・受遺者の優先弁済を確保する第一種財産分離。
請求主体・期間
請求主体は相続債権者・受遺者。期間は原則相続開始時から3か月だが、財産混合がない限り延長可能。これは限定承認の熟慮期間(915条)と異なり、混合の有無で判断される。
950条との対比
950条の第二種財産分離は相続人の債権者が請求するもので、保護対象が異なる。941条は相続債権者保護、950条は相続人の債権者保護。両者は責任財産の方向が逆。
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財産分離の請求をした者及び前条第二項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。
規律
財産分離の請求をした者および941条2項の公告で配当加入の申出をした者は、相続財産について相続人の債権者に先立って弁済を受ける。
趣旨
第一種財産分離の中核効果。相続財産という独立した責任財産から、相続債権者・受遺者が相続人の固有債権者に優先して弁済を受ける優先関係を確立する。
優先順位
相続財産につき、①特別担保権者→②財産分離請求者・配当加入申出者→③相続人の固有債権者の順。固有財産については948条により逆転し、相続人の債権者が優先する。
配当加入の意義
公告期間内に申出をすれば請求者と同列の優先弁済を受けられる。申出をしなかった相続債権者は本条の優先弁済を受けられず、固有債権者と同列に降格する。
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財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。
規律
財産分離の請求があったときは家庭裁判所は相続財産管理について必要な処分を命ずることができる(1項)。家庭裁判所が相続財産管理人を選任した場合、不在者財産管理に関する27条〜29条を準用する(2項)。
趣旨
財産分離は相続人と相続債権者の利益相反を含むため、家庭裁判所による中立的管理を可能にし、相続人の浪費・隠匿から相続財産を保全する。
管理人の地位
27条〜29条準用により管理人は善管注意義務を負い、家庭裁判所の監督下で財産目録作成・管理計算等を行う。報酬は相続財産から支弁。
保全機能
財産分離請求から弁済完了までの間、相続人の処分行為を阻止し、配当原資を確保する。実務上は不動産仮処分や預金封鎖等の保全処分が用いられる。
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相続人は、単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理をしなければならない。
2ただし、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したときは、この限りでない。
3第六百四十五条から第六百四十七条まで並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。
規律
相続人は単純承認後でも財産分離請求があれば、以後その固有財産におけるのと同一の注意で相続財産を管理しなければならない(1項)。家庭裁判所が管理人を選任すれば本義務は免れる(同項ただし書)。受任者の規定645条〜647条、650条1・2項を準用(2項)。
趣旨
単純承認により相続人は本来自由に処分できる立場だが、財産分離請求があると相続債権者・受遺者の優先弁済の前提として相続財産保全義務が復活する。
注意義務の程度
固有財産と同一の注意(自己同一注意義務)であり、限定承認者(926条)と同水準。善管注意義務より緩和されている。
準用範囲
報告(645)、引渡(646)、受領金銭支払(647)、利息+損害賠償(650条1・2項)が準用される。647条が追加されている点が限定承認の準用範囲と異なる。
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財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
規律
財産分離は不動産については登記をしなければ第三者に対抗することができない。
趣旨
財産分離の対抗力を不動産については登記要件にかからしめることで、相続人と取引した第三者の取引安全と財産分離請求者の優先弁済権を調整する。
登記の意義
通説は財産分離の効力自体は当事者間で命令により発生するが、不動産の差押え的効果として第三者対抗には登記を要すると解する。家庭裁判所の命令を受けて当事者が嘱託登記等を行う実務。
177条との関係
対抗要件主義の応用形。財産分離請求者は登記を経て初めて相続人の固有債権者の差押え・取引相手方に優先弁済権を主張できる。
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第三百四条の規定は、財産分離の場合について準用する。
規律
先取特権の物上代位に関する304条の規定を財産分離の場合について準用する。
趣旨
相続財産に属する物が売却・滅失等により金銭債権等に変じた場合、財産分離請求者の優先弁済権がその代替物に及ぶことを保障する。物上代位の応用。
代位の対象
売買代金債権・保険金請求権・損害賠償請求権など、相続財産が転化した金銭債権が対象。差押え(仮差押え)を要件として優先弁済を受けられる。
実務的意義
相続人が相続財産を換価・処分してしまった後でも、代金や保険金等への優先弁済権を確保でき、第一種財産分離の実効性を担保する。
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相続人は、第九百四十一条第一項及び第二項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2財産分離の請求があったときは、相続人は、第九百四十一条第二項の期間の満了後に、相続財産をもって、財産分離の請求又は配当加入の申出をした相続債権者及び受遺者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。
3ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
4第九百三十条から第九百三十四条までの規定は、前項の場合について準用する。
規律
相続人は941条1・2項の期間満了前は相続債権者・受遺者に弁済を拒める(1項)。期間満了後は相続財産で配当加入申出者+財産分離請求者に債権額の割合に応じて按分弁済(2項本文)、優先権者を害さない(2項ただし書)。930条〜934条を準用する(3項)。
趣旨
財産分離も限定承認と同様、債権者総体を把握してから配当する集団的清算手続として構成し、按分弁済原則を導入する。
限定承認との対比
規律構造は限定承認(927〜934条)とほぼ並行。違いは①請求主体(債権者vs相続人)、②管理者(相続人or管理人vs限定承認者)、③適用前提(相続人債務超過リスクvs相続財産債務超過リスク)。
準用規定
930条(弁済期未到来・条件付債権)、931条(受遺者後順位)、932条(競売義務)、933条(参加)、934条(不当弁済責任)が準用され、清算技術が完全に移植される。
この条文の練習問題を解く
財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。
2この場合においては、相続人の債権者は、その者に先立って弁済を受けることができる。
規律
財産分離請求者・配当加入申出者は、相続財産から全部の弁済を受けられなかった場合に限り、相続人の固有財産について権利を行使できる。この場合、相続人の債権者がこれに先立って弁済を受ける。
趣旨
相続財産と相続人固有財産の責任の方向を逆転させる規律。相続財産については相続債権者優先(942条)、固有財産については固有債権者優先と整理することで、双方の債権者の合理的期待を保護する。
二段階構造
相続債権者・受遺者は①まず相続財産から優先弁済(942条)、②不足分について固有財産で行使、ただし③固有財産では固有債権者に劣後する、という二段構造。
限定承認との違い
限定承認は相続人の固有財産に責任が及ばないのに対し、財産分離は不足分について固有財産(ただし劣後)に責任が及ぶ点で根本的に異なる。
この条文の練習問題を解く
相続人は、その固有財産をもって相続債権者若しくは受遺者に弁済をし、又はこれに相当の担保を供して、財産分離の請求を防止し、又はその効力を消滅させることができる。
2ただし、相続人の債権者が、これによって損害を受けるべきことを証明して、異議を述べたときは、この限りでない。
規律
相続人は固有財産で相続債権者・受遺者に弁済し、または相当の担保を供して、財産分離請求を防止し、またはその効力を消滅させることができる。ただし相続人の債権者がこれにより損害を受けるべきことを証明して異議を述べたときはこの限りでない。
趣旨
財産分離の前提(相続人の責任財産悪化リスク)が解消された場合、清算手続を回避して相続関係を通常化することを認める防止権・消滅権。相続人の固有財産権の保護も働く。
防止権・消滅権
命令発令前なら防止権として、発令後なら消滅権として作用。弁済または担保供与(保証・抵当権設定等)が要件。担保の相当性は裁判所が判断する。
固有債権者の異議権
相続人の固有財産から相続債権者へ弁済すると固有債権者の責任財産が減少するため、損害を立証して異議を述べれば防止・消滅は阻止される。利害調整規定。
この条文の練習問題を解く
相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2第三百四条、第九百二十五条、第九百二十七条から第九百三十四条まで、第九百四十三条から第九百四十五条まで及び第九百四十八条の規定は、前項の場合について準用する。
3ただし、第九百二十七条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。
規律
相続人が限定承認をできる間または相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は家庭裁判所に対して財産分離を請求できる(1項)。304条、925条、927条〜934条、943条〜945条、948条を準用する。ただし927条の公告・催告は財産分離請求者がしなければならない(2項)。
趣旨
第二種財産分離。相続人が債務超過の場合、相続によって相続財産が相続人の固有債権者の責任財産に取り込まれることで、相続債権者にとっては有利・固有債権者にとっては不利となるため、固有債権者が相続財産との切り離しを請求できるようにしたもの。
第一種との対比
請求主体が相続人の債権者(固有債権者)である点が941条と逆。保護目的も逆で、固有債権者が相続財産の影響を遮断するための制度。実務上の利用は稀。
公告義務の特則
通常は限定承認者(927条)または家庭裁判所選任管理人が公告するが、本条では財産分離請求者自身が公告・催告を行わなければならない。請求者の手続負担が重い。
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相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
相続財産法人の擬制
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする。相続人不存在状態における相続財産の帰属主体を法人として擬制する規定。
立法趣旨
相続人不存在の場合、相続財産を誰の権利義務とするか不明確だと取引安全を害する。法人として擬制することで権利義務の帰属主体を確保し、清算手続を進められる構造とする。
「明らかでない」の意義
戸籍上相続人の存否が不明、又は相続人全員が放棄・欠格・廃除等で相続人がいないと判定される状態。判例(最判昭51・3・25)は当然に相続人不存在となる場合だけでなく、調査により判明しない場合も含む。
法人の解消(955条)
後日相続人が判明したときは、当初から法人は成立しなかったものとみなされ、相続財産の清算人の行為のみ効力が維持される。法人格擬制は便宜的・補充的なもの。
この条文の練習問題を解く
前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。
3この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。
相続財産清算人の選任(1項)(2021改正)
951条の場合、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により相続財産清算人を選任しなければならない。相続人不存在の法人の業務執行者を法定する。
公告義務(2項)
家庭裁判所は清算人選任時に、選任の旨及び相続人があれば一定期間内に権利主張すべき旨を公告しなければならない。期間は6か月以上。相続人が現れた場合の救済機会を確保。
2021改正の意義
改正前は「相続財産管理人」とされていたが、職務の実質が清算業務であることを明確化するため「相続財産清算人」に名称変更。これに伴い不存在以外の場面の管理人(897_2条等)と職務範囲を整理。
「利害関係人」の範囲
相続債権者・受遺者・特別縁故者など、相続財産の処分・帰属に法律上の利害を有する者。事実上の利害を有するにとどまる者(隣人等)は含まれない。
この条文の練習問題を解く
第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の清算人(以下この章において単に「相続財産の清算人」という。)について準用する。
不在者財産管理規定の準用
27条〜29条(不在者の財産管理)の規定は、952条1項の相続財産清算人について準用する。本章以下では単に「相続財産の清算人」と呼ぶ。
準用の効果
①27条:管理人の事務報告・財産目録作成義務、②28条:管理人の権限超過行為に家裁の許可を要する、③29条:管理人の担保・報酬の家裁による定め。清算業務全般について不在者財産管理と同型の規律。
用語の確定
「相続財産の清算人」という用語を相続編全体で統一して使用することを明示。条文の参照関係を整理する技術的規定。
改正前の連続性
2021改正前の「相続財産管理人」の地位・職務関係はそのまま「相続財産清算人」として引き継がれる。手続的連続性を確保する規定。
この条文の練習問題を解く
相続財産の清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。
相続財産清算人の報告義務
相続財産清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、請求した者に相続財産の状況を報告しなければならない。利害関係人による情報アクセス権の保障。
立法趣旨
相続財産は相続債権者・受遺者の弁済原資であり、その状況把握なくして権利行使が困難。清算人を通じた情報開示請求権を法定し、利害関係人の権利を実効化する。
「請求があるとき」の解釈
報告は請求があれば応じる義務。請求なき情報提供は義務ではない。請求の方式は問わないが、後日の証拠化のため書面が望ましい。
報告内容
相続財産の状況(資産・負債・収益状況等)を相続債権者・受遺者の権利行使に必要な範囲で報告。財産目録・帳簿の閲覧請求も本条の趣旨に含まれると解される。
この条文の練習問題を解く
相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。
2ただし、相続財産の清算人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
相続人発見時の法人不成立のみなし
相続人があることが明らかになったときは、951条の法人は成立しなかったものとみなす。ただし相続財産清算人がその権限内でした行為の効力は妨げられない。
立法趣旨
後日相続人が判明した場合、当初から相続財産は相続人に帰属していたものとして処理すべきだが、その間の清算人の有効な行為(債権者への弁済等)まで覆すと取引安全を害する。両者のバランスを取る規定。
「明らかになった」の意義
相続人の存在が判明した時点。具体的には相続人捜索の公告期間中に相続人が現れた場合等。相続人不存在の確定(958条)後は本条の適用余地がなくなる。
ただし書の効果
清算人が権限内で行った行為(債権者への弁済・受遺者への遺贈執行等)は有効として維持される。相続人は清算人による既了行為を覆せず、残余財産のみを承継する。
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相続財産の清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2前項の場合には、相続財産の清算人は、遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければならない。
相続人承認による清算人代理権消滅(1項)
相続財産清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。承認により相続人が確定的に相続財産を承継するため、清算人による代理は不要となる。
計算報告義務(2項)
代理権消滅時、清算人は遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければならない。事務引継ぎとしての計算報告義務。
計算の内容
清算人就任以降に行った財産管理・処分・弁済・受領等の経過と結果。相続人が承継財産の状況を把握し、清算人の責任を判断する基礎となる。
955条との関係
955条で法人不成立がみなされ、本条で代理権消滅が確定する。両条併せて相続人発見時の清算人地位の終了プロセスを規律する。
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第九百五十二条第二項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。
2この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。
3第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。
債権者・受遺者への請求申出公告(1項)
952条2項の公告(相続人捜索の公告)があったときは、相続財産清算人は全相続債権者・受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて請求申出すべき旨を公告しなければならない。
期間の制約
請求申出公告の期間は、952条2項の相続人捜索期間(6か月以上)内に満了するものでなければならない。相続人捜索と債権者・受遺者請求申出を並行的に進める手続効率化。
限定承認規定の準用(2項)
927条2項〜4項・928条〜935条(限定承認における債権者・受遺者への弁済規定)が準用される(932条ただし書を除く)。配当弁済・優先弁済・除斥弁済等のルール。
立法趣旨
相続人不存在状態での清算は限定承認に類似する。両者を共通の弁済ルールで処理することで、清算手続の整合性と効率性を確保する。
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第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
相続人不存在確定の効果
952条2項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者・受遺者は権利を行使できない。
「権利を行使できない」の意義
実体権の消滅ではなく、清算手続における権利の除斥。相続人不存在確定後の残余財産国庫帰属(959条)に対しては請求できない。
立法趣旨
清算人が知り得なかった債権者・受遺者を保護することは清算手続の確定性を害する。一定期間内に名乗り出なかった者の権利を除斥することで、清算と国庫帰属の確定性を確保。
特別縁故者の権利との関係
本条による権利除斥後、958_2条により特別縁故者への財産分与の手続(家裁の審判)が開始される。さらにその後に959条の残余財産国庫帰属となる三段階の処理。
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前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
特別縁故者への財産分与(1項)
前条の場合(相続人不存在)に、相当と認めるときは、家庭裁判所は被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部または一部を与えることができる。
請求期間(2項)
958条の期間満了後3か月以内に家庭裁判所に対して請求しなければならない。
趣旨
国庫帰属(959条)の前段階として、特別の縁故関係にあった者の権利保護。内縁配偶者・事実上の養子等の救済。
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前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
2この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。
残余財産の国庫帰属
前条(958_2)の規定により処分されなかった相続財産は国庫に帰属する。
趣旨
相続人不存在で特別縁故者にも分与されなかった財産の最終的帰属。所有者なき財産の防止。
帰属時期
相続財産清算人による清算・特別縁故者分与手続完了時。
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遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
遺言方式法定主義
遺言は本法に定める方式に従わなければ、することができない。遺言を要式行為として民法所定の方式に限定する原則規定。
立法趣旨
遺言は被相続人の死亡後に効力を生じ本人による意思確認ができないため、意思の真正性・明確性を確保するため厳格な方式を要求する。方式違反は遺言を無効とすることで本人の意思推定の確実性を担保。
方式の種類
①普通方式:自筆証書遺言(968条)・公正証書遺言(969条)・秘密証書遺言(970条)、②特別方式:危急時遺言(976条・979条)・伝染病隔離時遺言(977条)・船舶中遺言(978条)等。
方式違反の効果
本条所定の方式に違反した遺言は無効。本人の意思が明らかであっても方式違反であれば効力を生じない。判例(最判昭54・5・31)は自筆証書遺言の押印欠如等を厳格に判断。
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十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
規律
15歳に達した者は遺言をすることができる。
趣旨
遺言能力の起算年齢を15歳に独自に設定。婚姻適齢(731条・男女18歳)や成年年齢(4条・18歳)と異なる年齢制限であり、遺言が一身専属的・最終的意思表示であることに鑑み若年者にも認める政策。
他制度との関係
未成年者の法律行為一般は法定代理人の同意を要するが(5条)、遺言については962条で5条等の適用が排除される。年齢のみが遺言能力の客観的要件となる。
効果違反
15歳未満の者の遺言は無効。撤回や追認の余地はない(通説)。15歳到達後に有効に作成された遺言を15歳未満時の事情で取り消すことも不可。
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第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
規律
未成年者(5条)、成年被後見人(9条)、被保佐人(13条)、被補助人(17条)に関する制限行為能力規定は、遺言については適用しない。
趣旨
遺言は遺言者本人の最終意思を尊重すべき一身専属行為であり、財産取引保護のための制限行為能力制度を一律に及ぼすのは不適切とする政策判断。961条の15歳年齢制限と973条の成年被後見人特則で代替的に処理。
適用排除の意味
未成年者は法定代理人の同意なしに単独で遺言可、被保佐人・被補助人は保佐人・補助人の同意なしに単独で遺言可。成年被後見人のみ973条で医師立会いの特則が課される。
遺言取消との関係
本条は遺言能力面で制限を解くものであり、遺言の内容について公序良俗違反(90条)や錯誤・詐欺・強迫(95条・96条)による無効・取消は別途適用される。
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遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
規律
遺言者は遺言をする時に遺言能力を有しなければならない。
趣旨
遺言能力(意思能力+15歳到達)の判断基準時を遺言作成時と明示。遺言作成後に能力を喪失(認知症等)しても遺言の効力は維持され、作成時に能力を欠いていれば後の回復によっても効力を生じないとする。
意思能力の要件
通説は本条の能力に意思能力(自分の行為の意義と結果を判断する能力)を含むと解する。判例(最判昭和31.10.4等)も遺言作成時の意思能力欠如を遺言無効事由とする。
実務上の意義
認知症高齢者の遺言の有効性が問題となる訴訟で本条が決定的根拠となる。診療録・長谷川式スケール等が証拠として用いられ、当時の能力の有無が事実認定される。
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遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
包括遺贈・特定遺贈による財産処分
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。遺言による財産処分の二類型(包括遺贈・特定遺贈)の根拠規定。
包括遺贈
「全財産の1/3を○○に与える」のように、相続財産に対する割合的・包括的処分。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有し(990条)、相続債務も負担する。共同相続人類似の地位。
特定遺贈
「土地Aを○○に与える」のように、特定の財産を指定して処分。特定受遺者は債権者として遺贈の履行を相続人に請求する地位に立つ。相続債務は負担しない。
両者の重要な差異
対抗要件(包括は889条準用で当然取得・特定は177条の登記必要)、放棄方式(包括は915条相続放棄類似・特定はいつでも放棄可能)、相続債務(包括は負担・特定は不負担)等。遺贈の解釈で重要論点。
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第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
規律
胎児の権利能力に関する886条と相続欠格に関する891条を、受遺者について準用する。
趣旨
受遺者の地位を相続人の地位と並行して扱う規律。遺贈を受ける利益の保護と、遺言者に対する非行行為への制裁を相続と同じ枠組みで処理する。
886条準用(胎児受遺)
胎児は遺贈につき既に生まれたものとみなされ、受遺能力を有する。死産の場合は適用されない。母を法定代理人とする胎児中の権利行使の可否は判例(大判昭和7.10.6)で停止条件説が採られている。
891条準用(受遺欠格)
受遺者が①遺言者を故意に死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられたこと、②遺言の偽造・変造・破棄・隠匿、③詐欺・強迫による遺言作成・撤回妨害等の欠格事由に該当すれば受遺資格を失う。
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被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
被後見人の後見人利益遺言の制限(1項)
被後見人が、後見の計算終了前に、後見人又はその配偶者・直系卑属の利益となる遺言をしたときは、その遺言は無効。後見関係を利用した不当な遺言を阻止する。
立法趣旨
後見人は被後見人の財産管理権限を有し、被後見人に対し精神的・身体的影響力を行使しうる立場。後見計算終了前は財産関係が清算されておらず、不当影響のリスクが高いため、当該期間中の遺言を一律に無効化する。
適用除外(2項)
後見人が直系血族・配偶者・兄弟姉妹の場合は適用なし。これらの近親者には親族としての本来的な遺贈受領可能性があり、後見関係を理由に遺言を一律無効化するのは過剰な制限となるため。
「後見の計算終了」
870条による後見終了時の財産管理計算の完了。計算終了により後見人の影響力が排除されたと評価され、被後見人は通常の遺言能力を回復する。
この条文の練習問題を解く
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。
2ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
普通方式の3類型
遺言は自筆証書(968条)・公正証書(969条)・秘密証書(970条)によってしなければならない。
特別方式の例外(但書)
特別の方式によることを許す場合(危急時遺言976-979条、伝染病隔離者・在船者遺言977-979条)はこの限りでない。
要式性
遺言は厳格な要式行為。方式違背は遺言全体の無効を招く(977条等の特則を除く)。
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自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。
3この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
4自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
自筆要件(1項)
自筆証書遺言は遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
財産目録の例外(2項)
前項にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合は、その目録については自書を要しない(毎葉に署名押印すれば足りる)。2018年改正。
加除変更の方式(3項)
加除その他の変更は遺言者がその場所を指示し変更した旨を付記し署名し変更箇所に印を押さなければ効力を生じない。
判例
氏名は通称・雅号でも本人特定できれば可。押印は実印不要、拇印も可(最判平元・2・16)。
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公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
2証人二人以上の立会いがあること。
3遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
4前項の公正証書は、公証人法(明治四十一年法律第五十三号)の定めるところにより作成するものとする。
5第一項第一号の証人については、公証人法第三十条に規定する証人とみなして、同法の規定(同法第三十五条第三項の規定を除く。)を適用する。
公正証書遺言の方式
①証人2人以上の立会い、②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授、③公証人が口述を筆記し遺言者・証人に読み聞かせまたは閲覧、④遺言者・証人が筆記の正確性を承認した後各自署名押印、⑤公証人が方式に従って作成された旨を付記し署名押印。
口がきけない者・耳が聞こえない者の特則(969_2)
口授・口述に代えて通訳人による通訳または自書により遺言の趣旨を公証人に伝達できる。
メリット
検認不要(1004条2項)・原本公証役場保管・形式的瑕疵なし。
この条文の練習問題を解く
口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第一項第二号の口授に代えなければならない。
2公証人は、前項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に記載し、又は記録しなければならない。
規律
口がきけない者が公正証書遺言をする場合、遺言者は公証人・証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述、または自書して、969条1項2号の口授に代えなければならない(1項)。公証人はこの方式によった旨を証書に記載・記録する(2項)。
趣旨
1999年改正で新設。従来口がきけない者は公正証書遺言を作成できなかったが、手話通訳・自書による代替を認め、障害者の遺言の自由を拡大した規律。
通訳人・自書
手話通訳人による意思表示の伝達、または遺言者自身による筆記(自書)のいずれかで口授要件を代替できる。公証人の前で同時に行うことが要件で、事後の補完は不可。
公証人の記載義務
代替方式によった旨を証書に明記することで、後日の方式違反争いを防止する手続的保障。記載漏れは方式違反となり遺言無効事由となる可能性がある。
この条文の練習問題を解く
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
2遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
3遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
4遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
5公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
6第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
規律
秘密証書遺言は①遺言者がその証書に署名押印、②証書を封じ用いた印章で封印、③公証人1名・証人2名以上の前で封書を提出し自己の遺言書・筆者の氏名住所を申述、④公証人が提出日付・申述を封紙に記載し遺言者・証人とともに署名押印、の4方式に従う(1項)。968条3項(加除変更方式)を準用(2項)。
趣旨
遺言内容を秘匿しつつ存在・改ざん防止を確保する方式。自筆証書(968条)と公正証書(969条)の中間的方式で、内容の秘密保持と形式的真正担保を両立する。
他人筆記の許容
本文部分は他人による筆記やワープロ作成も可(自筆証書と異なる)。署名のみ遺言者の自書が要件。筆者の氏名住所申述で代筆者の特定が必要。
方式違反の救済
971条により、秘密証書遺言として無効でも自筆証書遺言の方式を備えていれば自筆証書遺言として有効となる転換規定がある。実務上は自筆証書遺言で代用される例が多く本方式の利用は稀。
この条文の練習問題を解く
秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。
秘密証書遺言から自筆証書遺言への転換
秘密証書遺言が前条(970条)の方式に欠けるものがあっても、968条(自筆証書遺言)の方式を具備しているときは、自筆証書遺言としての効力を有する。方式違反による遺言無効を救済する転換規定。
立法趣旨
秘密証書遺言は厳格な手続を要するため方式違反が生じやすい。一方、秘密証書遺言は実際に遺言者の意思を反映している場合が多いため、自筆証書遺言の方式が具備されていれば、その範囲で効力を維持する。
自筆証書遺言の方式(968条)
全文自書・日付・氏名の自書・押印が必要。秘密証書遺言で遺言者が証書を自書していた場合、本条により自筆証書遺言として救済される。判例(最判昭56・9・11)も同様の解釈。
転換の限界
他人が代筆した秘密証書遺言は本条により救済されない(自書要件を満たさない)。あくまで自筆証書遺言の方式具備が前提となる。
この条文の練習問題を解く
口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第九百七十条第一項第三号の申述に代えなければならない。
2前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
3第一項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第九百七十条第一項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。
口がきけない者の秘密証書遺言の特則(1項)
口がきけない者は、公証人・証人の前で、証書が自己の遺言書である旨と筆者の氏名・住所を、通訳人の通訳又は封紙への自書により、970条1項3号の申述に代えなければならない。
通訳人による申述(2項)
遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人はその旨を封紙に記載しなければならない。手続的事実の証明として封紙への記載を要求。
自書による申述(3項)
遺言者が封紙に自書したときは、公証人は970条1項4号の申述記載に代えてその旨を封紙に記載しなければならない。
立法趣旨
聴覚・言語障害者にも秘密証書遺言の利用を保障する手続的配慮。通訳人による意思疎通又は自書による意思表示で口頭申述を代替する。バリアフリー化された遺言制度。
この条文の練習問題を解く
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。
3ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
規律
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言をするには、医師2人以上の立会いが必要(1項)。立会医師は遺言者が遺言時に精神上の障害により事理弁識能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記し署名押印しなければならない(2項本文)。秘密証書遺言では封紙に記載・署名押印(同項ただし書)。
趣旨
成年被後見人にも遺言の自由を認めつつ、遺言時の意思能力(962条で適用排除される9条と異なる意思能力の存在)を医師立会いで客観的に保障する特則。962条の制限行為能力規定不適用の例外的補完。
立会医師の要件
精神保健指定医である必要はなく一般医でよいとする通説。ただし精神科医が望ましいとされる。2名の独立した医師の立会いと付記が要件で、付記漏れは方式違反となり遺言無効事由となる。
違反の効果
本条の方式違反は遺言を無効にする(通説)。962条で制限行為能力規定が排除される中で本条のみが成年被後見人の遺言能力を実質的に縛る規定として機能する。
この条文の練習問題を解く
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
2未成年者
3推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
4公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
遺言の証人・立会人の欠格事由
次の者は遺言の証人・立会人となれない:①未成年者、②推定相続人・受遺者・これらの配偶者・直系血族、③公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人。
1号(未成年者)の趣旨
判断能力の未熟を理由とする欠格。遺言の重要性に鑑み、証人・立会人として遺言の真正性確認に責任を負える年齢的・精神的成熟が必要。
2号(利害関係人)の趣旨
遺言から利益を受ける者及びその近親者の証人参加を排除し、遺言の公正性・客観性を確保。判例(最判昭51・5・27)はこの欠格を厳格に解する。
3号(公証人関係者)の趣旨
公証人の家族・従業員等は公証人と利害共通の関係にあり、公証手続の中立性確保のため証人適格を否定。公証行政の客観性確保のための制度。
違反の効果
欠格者を証人・立会人とした遺言は方式違反として無効。ただし証人数が法定数を満たしていれば、欠格者を除いた残りの証人で要件を充足する場合は判例(大判大7・3・15)は有効と解する余地あり。
この条文の練習問題を解く
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
規律
遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができない(共同遺言禁止)。
趣旨
遺言は一身専属的・撤回自由(1022条)の特性を持つため、複数人が同一証書で行うと相互拘束的になり撤回の自由が事実上制限される。これを防止するため共同遺言を一律に禁止する。
禁止の範囲
判例(最判昭和56.9.11)は夫婦であっても1通の証書による共同遺言を無効とする。同一証書性の判断は物理的に1通かではなく、遺言相互の関連性・撤回不可性等の実質を考慮する見解も有力。
違反の効果
全体が無効。一部の遺言部分のみを有効として救うことはできない(通説)。各人が別個の証書で同趣旨の遺言を作成すれば適法。
この条文の練習問題を解く
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。
2この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
3口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
4第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
5前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
6家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。
規律
疾病等で死亡危急に迫った者は証人3名以上の立会いをもって、その1名に遺言の趣旨を口授し、口授を受けた者が筆記して遺言者・他証人に読み聞かせ・閲覧させ、各証人が筆記の正確さを承認し署名押印する(1項)。口がきけない者は通訳人通訳による申述で代える(2項)。耳の聞こえない遺言者・証人は通訳人通訳で読み聞かせに代える(3項)。20日以内に証人または利害関係人から家庭裁判所に確認請求して確認を得なければ効力を生じない(4項)。家庭裁判所は真意に出たとの心証なきとき確認不可(5項)。
趣旨
死亡危急時遺言(一般危急時遺言)。普通方式(自筆証書・公正証書・秘密証書)が困難な状況で簡略方式での遺言を可能にしつつ、家庭裁判所の確認手続で真意性を担保する規律。
20日確認期間
遺言日から20日以内の家庭裁判所確認請求が効力発生要件(一般の検認1004条は効力要件でないのと対照的)。期間徒過は無効事由となる厳格性。
確認の意味
家庭裁判所は真意性のみを審査し、内容の適否・遺言能力の有無は審査しない。確認後も別途遺言無効確認訴訟は可能。確認は遺言を有効化する事実審査的手続。
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伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。
伝染病隔離者遺言の特別方式
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。隔離環境下の特別方式遺言。
立法趣旨
公証人や通常の証人を確保困難な隔離状況での遺言を可能にする緊急的制度。検疫法・感染症法による隔離処分等が想定される。
立会人の要件
警察官1人(公的立場の証明者として)と証人1人以上(通常の遺言証人として)。公的立場と私的証人の組み合わせにより、遺言の真正性と隔離下の特殊性を両立。
980条との連動
本条による遺言は980条により遺言者・筆者・立会人・証人の全員署名押印が必要。通常方式と異なる立会人構成だが、本人確認と意思真正性の確保は維持される。
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